あたらしい離島旅行 ちいさな島での暮らし

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歴史文化

初回投稿日:2015.06.17
 最終更新日:2024.03.27

あたらしい離島旅行 ちいさな島での暮らし

5月に「あたらしい離島旅行」という本をだしました。この本は、八重山諸島、宮古諸島、瀬戸内の島々と、五島列島の福江島、奄美諸島の与論島を巡り、カフェやクラフト作家、宿、雑貨屋さんを巡り綴ったガイドブックです。
 
ただ「お店の紹介」をするのではなく、お店の雰囲気や、営む人の思いなどを通して、すこしでも「ちいさな島での暮らし」がどんなものなのかが伝われば良いなーと言う思いで取材してきました。
 
波照間島の西浜
 
スタートは昨年の9月末、琉球と薩摩の文化が入り交じった、映画「めがね」のロケ地にもなったそのちいさな与論島からでした。1泊2日の短い時間のなかでカフェを取材し、海辺の食堂のかき氷、うつくしいビーチなど、おすすめしてもらった島のいたるところを巡りました。
 
続いて向かったのは宮古島です。素朴ながらも個性溢れるお店が揃うこの島には1週間ほど滞在したでしょうか。橋が開通する前の伊良部島へ渡り、来間島のカフェを巡り、帰ってきてすぐにまた飛行機に乗って五島列島の福江島へ。その後八重山諸島を巡り、最後が瀬戸内の島々。すべての取材が終わったのは11月も半ばを過ぎた頃で、最後の取材地である今治市の大島に滞在したときは、日焼けしながら取材していたのが遠い昔のような、涼やかな風が吹いていました。それはまさに、旅のような日々でした。
 
黒島のカフェ「ICONOMA」
 
八重山諸島のなかでは石垣島のほかに、黒島、波照間島、与那国島、西表島に足を伸ばしました。それは10月の半ばのことで、例年であれば台風の心配をし、また波照間島や西表島の上原港行きのフェリーをたびたび欠航させる北風が吹き始めることでもあります。予定通りには行かないのが離島の旅、と思いつつも限られた日程、予算のなかで制作しているので、予定変更になると厳しい。。そんな不安をかかえながら八重山諸島に向かいました。 
 
由布島にむかう水牛
 
八重山諸島は数ある離島のなかでも個性が際立っているような気がします。それは自然のなかにいて、地元の人々に大切にされてきた神様の存在を近くに感じられること。たとえば瀬戸内海の淡路島もいまやパワースポットとして人気の島ですが、ぼくはいわゆる聖地と呼ばれる場所に行かなくても神様の存在が感じられるようで、八重山(とくに石垣島からフェリーで行く島々)のほうにより強く、神秘性を感じました。ぼくが石垣島に滞在した一週間のなかで上原港行きのフェリーが運航したのは、たしかぼくが乗船した日だけでした。波照間島行きのフェリーも僕が乗船する日まで数日連続して欠航していたと記憶しています。結局、奇跡的に予定通りの日程で取材を進めることができて、この本を完成させるために、なにか見えない力に導かれているように感じたのでした。
 
与那国島で「雑貨 さくら」を営む稲川さん
 
ともかく、同じ離島といっても、それぞれに文化、人の数、島のサイズ感や食など、本当にさまざま。アクセスするまでの道程や、おおらかな雰囲気の人々との出会い、豊かで個性溢れる食、自然。離島には「旅」の魅力が詰まっています。もちろん良いことばかりではないだろうけど、旅のその先には、心を豊かにしてくれるような「暮らし」のカタチが見えるような気がするのです。
 
波照間島のカフェ「あやふふぁみ」
 
みなさんのそんな旅のきっかけに、この本がなれたならしあわせだな、と思っています。
 

セソコマサユキ

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