離島、宮古島伊良部島を「記録する」

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歴史文化

初回投稿日:2015.07.18
 最終更新日:2024.03.27

離島、宮古島伊良部島を「記録する」

伊良部島へ向かうフェリーからの眺め

先日、とある航空会社の機内誌の取材で宮古島へと行ってきました。前にも少し書いたかもしれないけど、ガイドブックや旅行情報誌の取材というのは誌面がでるのをハイシーズンに合わせるので、取材時期が年明けから春頃になることが多いわけです。そうすると、曇りが多かったり、日差しがあまり強くなくて海の青さが写真に写らなかったり、いつも天候に悩まされることが多いのです。
 
今回はありがたいことに7月上旬の夏真っ盛りの宮古島を訪ねることができました。夏の宮古島の海の色はやっぱり格別で、撮影ポイントに到着するたびにいちいち感動していました。沖縄の本来の海の美しさ、を堪能したいなら、やっぱり夏がおすすめだなー、と思います。そして本島に暮らしていても、離島は格別ですね。
 
そうそう、今回は初めて(!)伊良部島でシュノーケリングにも挑戦してきましたよ。ボードの上から見る海は、なんとも形容しがたい青をしていてそれはそれは美しく、ひとたび海の中に入れば10数m下の海底まで見渡せて、カラフルな魚たちと一緒に、まるで空を飛んでいるかのようでした。
 
橋
伊良部大橋を渡って
 
伊良部大橋が開通したこともあって、伊良部島に賑わいが。soraniwa hotel & cafeは駐車場にいっぱいのレンタカー、渡口の浜はたくさんの観光客が離島でのひとときを楽しんでいました。ほんの数年前に初めて訪ねたときは、とても静かな印象だったので、賑わう様子を見たときに、この美しい島をたくさんの人に知ってもらえた嬉しさと、とっておきの場所がバレてしまったような寂しさと、なんだか複雑な気持ちになりました。
 
目の前に海が広がる人気のsoraniwa hotel & cafe
 
橋が開通する前は、伊良部島へは宮古島の平良港からフェリーに乗って向かいました。大抵の場合、レンタカーをそのままフェリーに載せます。ここ最近はそういったカーフェリーの大半が、車を前進で載せて、前進で降りることができる(載せたのとは逆側から降りられる)のですが、伊良部島行きのフェリーは違いました。バックで載せるのです(もちろん逆でも良いですが、たいていはバックで載せていました)。しかも少しでも多く車を載せようと車幅ギリギリに船会社の威勢の良いおじさんたちが誘導するので、毎度ドキドキです。いまとなってはそれも旅の良い思い出で、なくなってみると寂しさを感じるものです。
 
県内有数のうつくしさと言われる渡口の浜
 
島の人にとってフェリーは仕事や買い物などで日常的に乗るものだったので、島民同士が顔を合わせる機会になっていたそうです。なにはなくてもフェリーで顔を合わせ、世間話をする。その機会がなくなってしまったと寂しそうに話してくれた人がいました。フェリーがただの交通機関以上の存在だったんだな、と感じます。もちろん橋が開通したことで便利になり、人が出入りするようになることで経済効果も生まれ、島にとってはメリットがあるはずです。一方で、こうやって失われていく風景があることも忘れてはいけないな、と思いました。
 
集落の風景
 
何人かの伊良部島の人が「これ以上変わらなくていいかな」といっていました。経済的に潤うことや、生活が便利になることも大切ですが、一方で、島の素朴な暮らしも大切にしていきたい。闇雲に開発するのではなくて、その島にとっての「良い状態」を知ることも重要な気がしています。僕たちは「取材」という名目で離島を訪れ、もともとは知人ではなくても、島で暮らしを紡いできたひとの話しを直接聞くことができます。もちろん、その多くは紙やwebの媒体を通して、観光資源としての魅力を伝える、ということが目的なのだけれど、ある意味では島の素朴な暮らしを繋いでいくために「記録する」という役割も担っているのではないか、そんなふうに思うことがあるのです。
 

セソコマサユキ

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