沖縄みやげにいかが? 日々のごはんにおつまみに「ポークランチョンミート」

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初回投稿日:2015.09.02
 最終更新日:2024.03.27

沖縄みやげにいかが? 日々のごはんにおつまみに「ポークランチョンミート」

ポークランチョンミートは頼もしい。忙しさにかまけて冷蔵庫がすっからかんのとき、その存在をみつけると、ほっとひと安心。カリッと焼いて、平たくにぎったごはんにのせたら、のりでくるりん。ポークおにぎりの完成だ。

ポークランチョンミートいろいろ
 
沖縄でポピュラーなポークランチョンミートは、県外ではスパムという呼び名のほうがなじみ深いかもしれない。実際にはスパムは商品名で、沖縄では通称ポークと呼ばれている。
 
よく食べられるだけあって、スーパーに行くと種類の多さに舌を巻く。アメリカ産の「SPAM(スパム)」、デンマーク産の「TULIP(チューリップ)」、沖縄産の「わしたポーク」etc.味もサイズもいろいろ。いったいどれがおいしいの!? 目が泳いでしまう。

わしたポーク
 
何度か食べ比べた結果、わが家のひいきは、沖縄産の豚肉を使い、鶏肉もブレンドされたわしたポークに落ち着いた。他より塩分と油脂が少なく、あっさり食べやすい。外国産のものより小ぶりで、食べきりサイズ。黒糖入りのところも、島とうがらし入りのスパイシー味があるところもいい。

わしたポーク
 
缶を開けるときがまた楽しいのだ。まず、底に張りついている鍵のような形のタブをぱちんとはずす。先っぽにある細長い穴を側面に引っかけて、ゆっくり回す。
 
めりめりめり。側面の一部が巻き取られていき、柔和な肌色がちらり見える。にやり。ちょうど1周すると缶が上部と下部に分けられて、中身を取り出せる仕組みになっている。
 
ぱっかーん。かくして、まな板の上に参上。

ポークおにぎり
 
横にスライスすれば、ポークおにぎりにちょうどいい大きさ。薄すぎず厚すぎずを心がけて切ったら、油をひかないフライパンにオン。火を通すうちに、じわりじわり脂がにじみ出る。その脂でこんがり両面を焼くのだ。
 
あとは、ごはんにのせて、のりのベルトをぴちっと巻くだけ。ちなみに、のりはケチらず太めが身上。かみしめるたびに、磯の風味がいいアクセントになるからだ。
 
人気のおにぎらず風にして、ごはんでポークと卵焼きをはさめば、沖縄のソウルフード、ポークたまごおにぎりの完成(辛子マヨネーズを薄く塗るとおいしい)。どちらを作るかは、いつもその日の気分しだいだ。

パンのり巻き
器/陶房 火風水
 
のり巻きにするときは、細長く切って焼く。わが家で人気なのはパンのり巻き。8枚切り食パンに薄焼き卵をのせ、マヨネーズとマスタードを薄くのばす。そこにポークをのせ、手前からきっちり巻いて、ラップに包んで形をなじませればできあがり。巻きすいらずだし、ごはんのように、むにゅっと米粒がはみ出る悲劇も防げる。扱いやすくて作りやすいのだ。
 
ぱくり。ひと口食べてびっくり。ふわふわの食感にみな驚く。うしし。思惑通り。ようはロールサンドのようなもの。かくし味のマスタードがいい仕事をしてくれる。
 
ごはんのり巻きの場合は、のりにうすーくごま油を塗ったりする。そこに酢飯またはごはんを広げ、白ごまをぱらり。ポークときゅうりを一緒に巻いて、ほんのり中華風に仕上げる。卵焼きやアボカドを入れてマヨネーズと巻くのもいい。
 
いずれにしても、きゅうりは欠かせない存在だ。ポークは皮のないウインナーのようなもの。かみごたえがないから、カリッコリッ。食感にリズムをつくるものがほしくなる。これがあるかないかでは、おいしさがぐっと変わると思うのだ。
 
チャーハン
器/佐藤尚理(BONOHO)
 
チャーハンなら、さいのめ切りに。この時、玉ねぎはしゃりっと存在感よく大きめに切る。同様に他の野菜もいつもより気持ち大きめに切りたい。口の中でいろんな食感が躍るようにしたいから。
 
沖縄料理の定番、ゴーヤチャンプルーには短めの棒状に切ったものを。ポークが入るだけであら不思議、普段は苦手意識を全面に出す子どもたちがそろりそろりと箸をのばす。これは嬉しい。ポークマジックだ。
 
ふわふわオムレツの具にしてよし、マスタードをきかせたジャーマンポテトに入れてよし。カレーやタコライスの具にも合うと聞いた。いったん仲よくなれば、メニューの幅がぐんと広がるのがポークの魅力。いつものおかずに変化球をつけられる。
 
とはいえ、こんなに距離が縮まったのはかれこれ1年ほど前から。それまでは時おり外国産のポークを買っては使いきれず、量の多さに気おくれして、なかなか手がのびずにいたのだ。

SPAM(スパム)
 
けれど。
 
ある日、引き出しのすみに肩身をせまそうにしてちょこんと座っていたポークを発見。久々にポークおにぎりを作ってみたら……
 
「わあっ」
 
子どもたちの顔がぱあっと輝いた。黒い瞳は驚くほどきらんきらんしている。かくしてその笑顔が忘れられず、ふだんのおかずはもちろん、弁当におやつに大活躍。日々のごはんのメリハリ役として、食卓をにぎやかにしてもらっている。
 
おまけにね、ポークを沖縄旅行に来ている友人に渡すと、たいそう喜んでもらえるのだ。食べ方のメモもちょこっと添えてね。沖縄で過ごした時間を思い出してもらえるといいな。また来てね。そんな気持ちも一緒に手渡している。
 

沖縄CLIP編集部

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