沖縄観光情報:1970年創業! 国際通り入口・久茂地の老舗沖縄料理店『ゆうなんぎい』

1970年創業! 国際通り入口・久茂地の老舗沖縄料理店『ゆうなんぎい』

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初回投稿日:2016年01月22日
 最終更新日:2023年12月03日

1970年創業! 国際通り入口・久茂地の老舗沖縄料理店『ゆうなんぎい』

観光の拠点、旅のスタート地点と言えば、もちろん那覇市『国際通り』。説明不要、県内最大のメジャーストリートで、常に数多の観光客で賑わいます。となると、当然のことながら地価は眼を見張るものがあり、店舗の変遷も激しいのが実情です。特に、沖縄県庁側の久茂地(くもじ)エリアは、飲食店や居酒屋はもちろん、お土産屋やコンビニなど多種多様な店舗が立ち並ぶ、まさに激戦区…。この地で、特に飲食店として看板を掲げ続けるのは、真の実力とズバ抜けた人気が無ければ、到底務まりません。そんな沖縄観光の一丁目一番地、久茂地交差点から徒歩1分。メインストリートから10メートルほど入ったビル1Fで、ひっそりと看板を掲げる沖縄料理店『ゆうなんぎい』は、なんと1970年創業! 復帰前、つまりアメリカ統治時代から暖簾を下ろす、老舗中の老舗。沖縄で初めて“郷土料理と泡盛”を看板に掲げたという、歴史ある名店です。

 
細長い店内は、カウンター席、テーブル席、座敷席がそれぞれ設置(座席39)。夜はもちろん居酒屋ですが、この界隈の沖縄料理店では珍しくランチも営業。お昼時は、45年以上変わらぬ「沖縄そば」(570円 *以下全て税込)の味を求めて、サラリーマンや地元客で行列ができるほど。また、予約可能な席は、夜の開店時に数席のみ。アっと言う間に満席に…。待たずに入るポイントは、平日夕方早めな時間の入店がおすすめです。

 
自慢はもちろん沖縄の郷土料理。各種チャンプルーを中心に、豆腐や島野菜などを用いた、基本の沖縄家庭料理をほぼコンプリート。沖縄料理の初心者からツウまで誰もが納得の品揃え。特に注目は、「(沖縄では)鳴き声以外すべて食べる」と言われている豚肉料理の数々です。

 
豚肉。四肢、胴体はもちろん、内臓、皮、顔、脂、そして血に至るまで様々な伝統的調理方法が確立されている、言わずと知れた県民食材です。中でも、宮廷から庶民にまで広く愛されてきた重鎮的存在が、「ラフテー」(750円)。沖縄の郷土料理を代表する豚の角煮で、皮付きの三枚肉、またはもも肉を、泡盛や醤油で甘辛く味付けする、おなじみのメニューです。しかし、一言でラフテーと言っても、そのレシピは作り手によって千差万別。ゆうなんぎいでは、三枚肉を使用し、独自の味噌で味付けする、完全オリジナル。各種沖縄ガイドブック等で「美味しいラフテー」として、ほぼ確実にノミネートされている、名うての一品です。

 
全国的に知られるその味は、どの様に生み出されているのでしょうか? 厨房におじゃまして、気になる調理工程を拝見です。なんと早朝に仕込みを始め、5〜6時間かけてじっくり泡盛と水で煮込み、何度も取り出しては余分な脂をじっくり&しっかり取り続けるなど、ほぼ付きっきり! 

 
手間ひまを惜しまないことで、醸成される芳醇な味わいと、香り漂う洗練された風合い。豚肉特有の臭みが一切無い上品さが際立ちます。そして、箸ですっと切れるほどに柔らかくなれば、ほぼ完成。一噛みでホロっホロにとろける贅沢食感に加え、秘伝の手作り味噌だれが、素材の奥行きを一層引き立て、何とも言えぬ安心感をもたらします。

 
他にも、充実する豚肉料理の数々。(写真上から)「ソーキ骨の煮付」(750円)。とろけるほどに煮込まれたボリューミーなソーキ(豚のあばら肉)は、ジューシーな肉質で食べごたえ満点です。3時間かけて煮込んだ「てびち」(640円)は、一つ一つの毛をカミソリで剃るなど想像以上に手の込んだ下処理が施されています! さらに、甘い白味噌仕立ての沖縄風豚汁「いなむるち」や、豚の内臓で作るお吸い物「中味のしるもの」(ともに600円)など、汁物も充実。あれもこれも試してみたくなりますね。




 
創業以来「主婦だけで切り盛りして来たのよ」と、いつでも元気いっぱいの女将・辻野 愛子(つじの あいこ)さん。「全てのメニューが手作りなので、どの料理にもこだわりがあるんですよ。もちろん、野菜は手に入る物は沖縄県産の採れたてを。夜メニューのお魚も、その日の獲れたて新鮮な近海魚を、毎日市場で直接仕入れています」。結果的に、“地産地消”となっているのは、地元のあんまー(お母さん)にとっては、むしろ当たり前なのかもしれませんね。
 
 
45年以上変わらぬ、沖縄の家庭的おふくろの優しい味。そして、それを支える丁寧なてぃーあんだー(手料理)…。長きに渡り、地元客やリピーター、そして日々訪れる観光客を惹き付けてきたのも、大いに納得です。
 
 

ゆうなんぎい

住所 /
沖縄県那覇市久茂地3-3-3 
電話 /
098-867-3765 
営業時間 /
12:00~14:30・17:30~22:00 
定休日 /
日曜日・祝日

小川 研(Qey Word)

沖縄CLIP編集部

~ もっと、沖縄が好きになる。沖縄CLIP ~