沖縄観光情報:南の島の風景が形になったシマシマポタリの器たち

南の島の風景が形になったシマシマポタリの器たち

post : 2016.10.15 21:00

 
2本の大きなガジュマルの樹。その向こうには広い空が広がっている。「暮らしたい場所沖縄本島編」というものがもしあれば、ベスト5に入りそうな読谷村(よみたんそん)の北の端に、口笛でも吹きたくなる陽気な名前の工房がある。
 
 
シマシマポタリ。ふわりとしたパステル系の淡い色、どっしりとした重厚な色、雨風を長年受けてかすれたような味のある色。いく種類かのテイストを使いつつ、「あ、これはあそこの工房のだ」とすぐにわかる世界観を色と形で表現している小さな陶房だ。
 
 
 
切り盛りしているのは京都出身の山城真理(やましろ・まり)さんを中心に、旦那さんと、ふたりのお子さん、家族全員で助け合って営まれている工房ということになる。だから、山城家の4人を表す4本のシマシマが器の裏に刻印されているのだ。
 
 
真理さんは芸術系の大学のテキスタイル科を卒業したあと、職業訓練校で磁器の絵付けを1年ほど学び、茶道具の絵付けの世界の門をくぐった。やりがいのある仕事だったけれど、普段の暮らしで使えるものをもっと自由に作りたいと、別の世界に移ることを決意。いろいろな縁が重なって、しばらく修行をするつもりで沖縄に来た。実際に住んでみたらすごく居心地がよかったので、そのまま居ついしてしまったのだそう。
 
 
「沖縄はせかせかしてないし、ゆっくりマイペースで仕事をしたかった私にはほんとにぴったりだったんです」と真理さん。青い唐草の絵付けで知られる「眞正陶房」で10年ほど修行を積んだあと独立。それからは、「沖縄の暮らしの中で日々感じたことをどうやったらデザインまで持っていけるか」をいつも考えながら、使いやすさも重視した器を作り続けている。
 
 
例えば、スープカップとしても十分使えそうな大きめのコーヒーカップ。この形の元になっているのは、沖縄の食卓に欠かせないパパイヤだという。両手のひらでで包み込むようにつかめるから、子どもでもおじいさんでも持ちやすい。絵柄は真理さんが「トタン」と呼んでいるシリーズで、いい感じにエイジングされた手作りの小屋をイメージしたものだ。
 
「ある日、農道を走っていたときに、おじいさんが建てた小屋が目にとまったんです。おしゃれだなあって…。たぶん意図して色を合わせたりはしてないはずなのに、センスがいいのが沖縄っぽくておもしろいから器にしたいと思ったんです」。
 
真理さんが大切にしているのは、器を通して食卓が少しでも楽しくなること。「この形、フグみたいじゃない?」とか、「この丸い模様ってなんだろう?」とか、会話が始まるようにとデザインと色使いを考えているのだという。
 
 
そのようにして、小さな工房から生み出されているシリーズには、「電照菊」、「カチャーシー」、「石敢當」(いしがんとう)、「外人住宅」、「かたぶい」(にわか雨)など、沖縄色豊かなものばかり。
 
 
「電照菊」は沖縄で生産されている切り花のブランド「太陽の花」からヒントを得たという。生花が入ったダンボール箱に描かれた「太陽の花」という言葉に、「いったいどんな花が入っているんだろう」と、ぐるぐる想像力を働かせたのだそうだ。よほど、名前のインパクトが強烈だったのだろう。箱の中に詰められているのが電照菊だとわかって、さっそくレパートリーに加えることに決めたという。
 
 
 
「カチャーシー」はご存知のように、アップテンポの三線に合わせて両手をしなやかに動かす沖縄の踊り。「石敢當」は沖縄の集落でよく見かける中国発祥の魔除けの石板。T字路の突き当たりの壁に埋め込んであることが多く、直進してきた魔物が石敢當にぶつかると消えて無くなると伝えられてきた。「めっちゃ怖いはずのマジムン(魔物)が、沖縄では真っ直ぐにしか進めないという設定がかわいいい」からとシリーズの一つに加えられた。「外人住宅」は何度も塗り直しされた壁の風合いがぐっとくるから採用になったのだそうだ。
 
 
そういうユニークなシリーズでもときどき廃盤になることがあるし、色づかいは焼くたびに少しずつ変わるという。行く先々で「ああ、これいいなあ」と思った景色や風景や建物や植物の色使いなどを、写真に撮って残しておいて、印象深いものをそこから選んで器作りに活かすのが、真理さんの仕事の流儀なのだ。
 
シマシマポタリの器は、だから同じものがなかなかない。めぐり合わせのご縁のように、そのときに、心にとまったものをがあれば、迷わず購入したほうがいいのかもしれない。
 
 
シマシマポタリ
住所/沖縄県読谷村瀬名波1048-1
営業時間/9:00~17:00
定休日/不定休
Webサイト/https://www.facebook.com/shimashima.pottery/
 
沖縄CLIPフォトライター 福田展也
 
 
 
 
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Information

沖縄県読谷村瀬名波1048-1