沖縄観光情報:「おいしい!」を探し求めてたどり着いたのは太陽と風の力で作る塩【多良間海塩研究所(多良間島)】

「おいしい!」を探し求めてたどり着いたのは太陽と風の力で作る塩【多良間海塩研究所(多良間島)】

post : 2016.12.25 12:00

 

眩しい太陽と、海を渡る風だけで結晶になった完全天日塩。 重油はもちろん薪さえも、燃料というものをいっさい使わずに、自然の力で海水から取り出された“ナチュラル”な塩。言葉にするのは簡単だけど、海水を塩に変えるのは生易しいことではない。ましてやそれで生計を立てるのは並大抵の覚悟でできるものではない。それができるのは、おそらく“変わり者”と呼ばれる人だろう。

 

 

沖縄には変わった人が実に多い。台風をのぞけば一年中穏やかな気候風土が人を伸びやかにするのだろうか、変わり者を許容する懐の深さを育むのだろうか。理由ははっきりとは分からないが、実のところ沖縄には100%ナチュラルな塩にこだわって製塩に励んでいる人がいるという。そう聞いて、宮古島(みやこじま)からプロペラ機で20分ほどの多良間島(たらまじま)に飛んでみた。

 

 

いったいどんな人が完全天日塩を作っているのだろう、そしてその塩はどんな味がするのだろう。興味にかられて訪ねたのは多良間海塩研究所の長岡秀則(ながおか・ひでのり)さん。「しょっぱい塩は塩じゃない」が信条の笑顔が素敵な男性だ。

 

長岡さんの勧めるままに自慢の塩をさっそく味見した。「なんだろう?」今まで抱いていた塩の常識が一瞬で崩れるような衝撃が舌を襲う。塩辛さ特有の尖った感じがしない、柔らかい味に驚いた。甘いとさえ感じる塩だった。

 

「同じ海水を使っても、同じ味の塩ができるわけではないんですよ。私の塩づくりは『塩の甘みを引き出す』やり方。どうやったら甘い塩ができるかいつも追求しているんです」。長岡さんによれば、甘い塩を作る秘訣はゆっくり時間をかけて結晶にすること。真夏だと3週間、それ以外は23ヶ月、テントの中でじっくり結晶化させる。

 

 

結晶化したあとは、テントの外に出し、天日に直接当てて仕上げを行う。長岡さんが「渋柿理論」と呼んでいる太陽が渋柿を甘くする作用を塩にもあてはめたのだという。「ただし、干し過ぎるとミネラル分も一緒に蒸発してしまうし、成分変化が進みすぎて尖った感じになってしまうので注意が必要なんです。だから、この工程では12時間おきに味の変化を確認してるんですよ」と長岡さん。

 

 

完全天日製法で角の取れた丸みのある塩ができるのは、水分がゆっくりやさしく飛ばされていくためだという。ミネラル分がたくさん残っているという理由以外にも、海水が受ける刺激が少ないということが柔らかい味の秘密らしい。「たまたま半年かかって結晶した塩があるんですけどね、格段に丸みがあって甘いんですよ」と勧められた塩は、じゅうぶん甘いと感じた最初の塩に比べてもさらに甘い味がした。

 

 

「手間ひまかかるし、儲けにもつながらない天日干しを続けてるのは、『これだ!』という塩づくりの哲学があるからなんです」。もともとは報道カメラマンだったいう長岡さんが塩とあらためて出会ったのは、べトナムでの撮影旅行の帰り道に立ち寄った香港で、酒を飲みすぎて倒れてしまった時のこと。一ヶ月入院して生理用食塩水の点滴を受け続けてようやく体調を回復してから、塩のことをあらためて考えるようになったという。

 

その後、友人に誘われて、熊本でしばらく療養生活していた長岡さんは、イルカウォッチングで知られる天草の通詞島(つうじじま)で塩づくりを始めようと決意。そのようにして、塩づくりの世界に入ることになる。

 

 

やがて、関心は塩づくりが日本でもっとも盛んな沖縄に。離島を含め沖縄各地を巡ったあと、多良間島に落ち着いたのは、海水の透明感が見た目にも際立っていたし、科学的なデータからもそれが裏付けられたからだそうだ。

 

 

「塩の世界には塩を薬のように崇める人もいるようですが、取りすぎは良くないんですよ。『いい塩梅』っていうでしょ。バランスが大切なんだよね。お酒と一緒、ガッハッハ」。豪快な笑い声とともにそう語る長岡さんがコツコツと作っている塩は定番の「くがにまーしゅ」と熟成塩「にがり塩」、粗塩「塩の華」のほか「海藻塩」、「ワイン塩」、「カレーしお」とバリエーション豊富。多良間島空港内の直売所ではいずれも30g300円。100g700円で購入できる。また、名物の「塩コーヒー」もぜひ、お試しを。長岡さんとの塩談義に花を添えてくれるはずだ。

 

 

住所/沖縄県宮古郡多良間村仲筋2351-7

電話/0980-79-2500

営業時間/飛行機が発着する時間

定休日/不定休

 

 

沖縄CLIPフォトライター 福田展也

 

 

《沖縄で自分の人生を生きている人》

 

木育家・木工職人・大工:古我知毅さん

ヨナグニウマふれあい広場代表:久野照雅さん

沖縄の田んぼで人をつなぐ人:大城雅史さん

 

 

 

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沖縄県宮古郡多良間村仲筋2351-7