沖縄観光情報:沖縄そばの新しい可能性を探求。ちょっとおもしろいそばが食べられる新感覚の沖縄そば屋「OkinawaSobaEIBUN」

沖縄そばの新しい可能性を探求。ちょっとおもしろいそばが食べられる新感覚の沖縄そば屋「Okinawa Soba EIBUN」

post : 2017.08.26 12:00

やちむん(焼きもの)の発祥地として知られる那覇市壺屋(つぼや)。石畳が続く「やちむん通り」を始め、昔ながらの風情が残る壺屋は、国際通りから徒歩圏内にありながらも、喧噪を離れゆったりとした時間を過ごせるエリア。老舗の工房や新進作家の作品を扱う雑貨店、おしゃれなカフェなどが立ち並び、まさに伝統と新しい感性が共存する街です。そんな魅力的な街の一角に、「新しいスタイルの沖縄そば屋」と話題の「Okinawa Soba EIBUN」があります。
 
 
オープンは2016年4月。「あえて沖縄そば屋に見えない作りにしたかったんです」と語るのは、店主の中村栄文(えいぶん)さん。店名は、ご自身の名前なんですね。カフェのような白い壁の外観、木の温もりが引き立つ落ち着いた雰囲気の内装。店内奥には、一際目を引く大木のオブジェもあります。「お店の中にどうしても木を立てたい」と、自ら流木を集め、もともとあった大きな柱にデザイン。沖縄の大地にそびえ立つ、ガジュマルの木に見立てて創作したそうです。カウンター席が多めで女性1人でも気軽に立ち寄りやすく、まさに沖縄そば屋としては新感覚の空間です。
 
 
いざメニューを見てみると、「牛もやしそば」に、「特製ジュレダレぶっかけまぜそば」など、ふだん沖縄そば屋で見かけないメニューがずらり。しかも、トッピングにパクチー⁉ なるほど、これが新しいスタイルといわれる所以ですね。まずは、めずらしい冷やしの沖縄そば「特製ジュレだれぶっかけまぜそば」を。麺は特注の生麺とモズク麺、イカスミ麺、フーチバー(よもぎ)麺の4種類から選べます。おすすめのフーチバー麺は、なんとも上品な緑色。
 
 
麺の下にはベースとなる醤油だれがあり、上には仕込みの際に出るというコロコロの「賄い肉」、そしてキラキラ輝くジュレとフーチバーの葉がどっさり。「醤油だれと出汁ジュレは、違う味。それを混ぜ合わせて食べるおもしろさがある。独自のこだわりですね」。ジュレが麺によく絡むので、しっかりと出汁の味を堪能でき、かつお節と賄い肉からほんのり出る甘みとフーチバーの苦みとのコンビも絶妙です。「あたたかい出汁も飲んでもらいたい」と、今夏よりゆしどうふもプラス。じゅーしー(炊きこみごはん)も付いたボリューム満点のセットでいただけます。
 
 
デザートには自家製とろとろミルクプリン。なめらかなプリンにパッションフルーツとレモンの爽やかな食感、酸味が新鮮です。沖縄そば屋でもデザートがあるのは、「僕が甘いものが好きだから」とのこと。店主の好きなもの、好きな味が集まったお店、それが「EIBUN」なのです。
 
 
これまで食べ歩いてきた沖縄そば屋は、なんと約500軒。沖縄本島のみならず、宮古島、八重山諸島、久米島まで。その沖縄そばにかける情熱たるや!と感動していると、「実はもともとそんなに好きでもなかったんです(笑)」と驚きの発言。岩手県出身で、暑いところは大の苦手。南の島、沖縄にはまったく興味がなかったといいます。
 
 
料理人を目指して上京したのが18歳のとき。フランス料理店に就職するも途中で挫折し、アパレル業に転職。のちにサラリーマンになり、海外事業部として2年間、東南アジアへ赴任することに。「1番長くいたのがインドネシアのロンボク島。暑いところが苦手だったのに、不思議と毎日が楽しかった。いざ日本へ帰国する辞令が下りても、海外で働き続けたいという思いが強くて、思いきってシンガポールの会社に転職を決めたんです」。
 
 
ビザの関係で岩手の実家へ滞在することになった数か月。その間に東日本大震災が起こり、シンガポール行きは取りやめることに。地元で復興のためのボランティア活動を続けたそうです。「それでもやっぱり海外に行きたい、何かを始めたいという思いはあって。そんなときに沖縄出身の友達から沖縄そばの話を聞いたんです。沖縄には、そば専門店が何百軒もあるんだよって。沖縄そばは東京で数えるほどしか食べたことがなかったし、専門店があるなんて知りもしなかった。だからその話がものすごく新鮮に感じたんですよね」
 
 
日本蕎麦、うどん、ラーメン。今や日本の麺文化は海外へ広く進出しているというのに、なぜ沖縄そばだけ浸透していないのか。その疑問が浮かんだとき、海外で仕事をするのではなく、日本から海外へ発信する側になろうと決意したそうです。「いつか海外で沖縄そば屋を出す。そのためにまず現地でそば屋を始めよう」。そんな夢を抱いて移り住んだのが2012年。旅ですら訪れたことのない地。生まれて初めて訪れた沖縄で、本場の味を知るべく食べ歩きの日々が始まりました。
 
 
1年目はホテルの厨房で料理人として働きながら、2年目からは恩納村の名店「なかむらそば」で修行を積みながら、休みを見つけては1日に4~5軒はしごして食べ歩く。「おいしいそばが食べられる」と聞きつければ、専門店ではないスナックでさえも足を運んだといいます。「実際に食べ歩いてみると、地域や店によって味も麺もまったく違うことに驚きました。細麺や平麺、ちぢれ麺、かつお出汁に豚出汁……この違いってラーメンと同じだな、と。でもラーメンの場合、北海道は味噌、九州は豚骨とか、日本全国で違いがあるわけで。沖縄そばは1つの県内でこんなにも違う。これだけおもしろい食文化があるのに外に出ていかないのはもったいない、これはやらなきゃ!と」
 
 
修行すること2年半。こだわりは、約8時間じっくり煮込んだ豚ガラと、かつお節、昆布の一番出汁をブレンドした無化調のスープ。500軒もの食べ歩きの経験から、「これ」というべき自分の食べたい味を追求したそうです。
「沖縄そばは“アジクーター(味が濃いもの)”が多いから、僕は毎日でも食べられる優しい味にしたかった。食べてすぐおいしい!というパンチはないけれど、最後まで飲み干せるような、体にじわじわ浸透していくおいしさを目指しています」
 
 
斬新な変わり種そばに注目が集まる「EIBUN」ですが、一番の人気メニューは「軟骨ソーキそば」。7 時間コトコト煮込んだソーキとねぎだけを乗せた、沖縄そばのスタンダードというべきメニューです。この日、いただいたのはトロトロのソーキが香ばしく炙られた「炙り軟骨ソーキそば」。透明感のあるスープは、さっぱりしているのに味わい深く、飲むたびに旨みが増していくよう。しっかりと染み込んだソーキの濃厚な味と調和して、絶妙なバランス。まさにじわじわくる、ほっと優しいおいしさです。つるっとした喉ごしが印象的な麺は、製麺所と試作を繰り返し、共同開発したもの。シンプルだからこそ、沖縄そばの魅力が随所から伝わる一品です。
 
 
「沖縄そばに新しい可能性を感じて、いろいろ変わったメニューを考案していますが、一番大切なのは本来の沖縄そばを守っていくことだと思っています。将来、海外に出していくものは『これが沖縄そばです』と胸を張れるものじゃないと。今でこそ生麺が人気だけど、本来の沖縄そばは茹でて油でまぶして使うのがベース。沖縄の気候に合わせて保存するための先人の知恵なんですよね。だから、うちでも『軟骨ソーキそば』や『沖縄そば』に使っているし、そういうベースがちゃんとあった上で生麺を使いたいな、と。無化調スープを作るのも、昔は化学調味料なんてなかったから。古くからあるもので伝統的な沖縄そばを作る。それを外の人にもおいしいと言ってもらえたら最高ですね」
 
モーニングメニュー「画像提供:Okinawa Soba EIBUN」
 
伝統は守りつつ、遊びをプラスしていく。今後実現したいのは、ベースを楽しんだあと、トッピングで自分好みの味に変えていく“味変”だとか。「宮古島のそば屋にはS&Bのカレー粉が置いてある。途中で入れてカレー味にするんです。八重山だったらピパーチ(島胡椒)もあるし、それと同じ感覚で“味変”できるオリジナルのトッピングを開発していきたい。ナンプラー的なコーレーグースとか、海外でも通用するものを考え中です」。8月下旬には、そば出汁を使った味噌汁を提供するモーニングがスタート。今後は朝限定のそばが登場するなど、あたためていたアイデアが続々と実現されている様子。メニュー構成は毎週変更されるので、訪ねるたびに楽しい発見がありそうです。
 
 
「沖縄そばがあるからここにいる。沖縄そばがなくならない限り、沖縄から離れることはないですね」と笑う栄文さん。スタッフの横山実沙さんも着ているお揃いの沖縄そばTシャツは、南城市の工房「doucatty」とのコラボアイテム。手描きならではのぬくもりにあふれたイラストは、食べるとほっこり笑顔になるEIBUNのそばそのものです。「沖縄そばが嫌いな人もいると思う。でもそういう人たちがうちのそばを食べて、『ちょっといいかも』くらい思ってくれたら嬉しい」。愛情いっぱいのそばを是非味わってみてください。
 
 
Okinawa Soba EIBUN
住所/沖縄県那覇市壺屋1-5―14
電話/098-914-3882
営業時間/朝食8:00~10:00(土日のみ)、そば11:30~17:00
定休日/水曜日・隔週木曜日
公式facebook/https://www.facebook.com/sobaeibun/
 
沖縄CLIPフォトライター 岡部徳枝
 
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沖縄県那覇市壺屋1-5―14