池間のジャック・スパロウ
池間のジャック・スパロウ
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歴史文化
初回投稿日:2017.11.21
最終更新日:2024.08.06
最終更新日:2024.08.06
2017年8月、チリチリと肌が焼けるような昼下がり。宮古島(みやこじま)の北に位置する池間島(いけまじま)へ、ひとりふらりとドライブに出掛けました。宮古島から池間大橋を渡ると、そこはもう池間島。周囲10キロほどの島には、ぐるりと一周道路が通っています。どこにも立ち寄らなければ、ゆっくりクルマを歩かせても10分ほどで池間島一周旅行をすることができます。
池間島の一周道路には、すぐに海へアクセスできる小さな入口がいくつかあります。取材でもプライベートでも何度も足を運んでいる池間島。今回はとくに目的はありませんが、せっかく来たのだから素通りするのはもったいないかな、と思い、少しでも気になったところはクルマを停めて降りることにしました。いくつかある浜の入口のなかから、数年振りに立ち寄ったのは、島の北東にあたる「フナクス(船越)」です。浜の入口には、むかしはなかった海道具のレンタル・ショップもできていました。ショップを横目に、まずは海へ向かいました。
道路から小路をほんの少し歩くと、その先には青い水平線が見えてきました。海岸へ出てみると、目の前には、飛び込みたくなるような透明度の高いソーダ色の海が広がりました。
小さなビーチですが、ここ最近、フナクスがもっとも池間島で人気のあるビーチだそう。
ソーダ色の海を眺めていると、「こんにちは!」と明るい声がしました。振り返ると、帽子が似合う真っ黒なニーニー(お兄さん)が笑顔で立っていました。
気さくに話掛けてくださった声の主は、池間生まれ池間育ち、生粋の池間民族である池間島観光協会の仲間広二さん。「映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の主人公ジャック・スパロウに似ている!」と言って、仲間さんのことを「池間のジャック・スパロウ」と呼ぶ観光客の方もいらっしゃるのだとか。
浜の入口にあったのは、池間島観光協会が夏季限定で運営している「MARINE CLUB(マリン クラブ)」という海遊び道具のレンタル・ショップ。夏の間、池間島のジャック・スパロウはこちらのショップにいらっしゃるそう。「自然を壊すことなく、いつでも元の状態に戻せることを念頭につくっているんです」と仲間さん。簡易シャワー、一休みできる木陰スペース、ハンモックなどがあるシンプルなお手製ショップは、地形や木樹をうまく利用してつくられていました。
「池間島はもともと、池間と前里というふたつの島だったんです。西側の島・前里に集落があり、東側の島・池間は畑ばかりでした。2つの島の間には南北に海峡があって、北側にはイーヌブーと呼ばれる入江があったんですよ」と池間の歴史のお話。
「池間島の最大行事ミャークヅツは、“マジャムトゥ”、“アギマスムトゥ”、“マイヌヤー”、新しい“マエザトムトゥ”、この4つのムトゥに分かれて行事を進めます。3日間開催されるのですが、中日は、ふだん入ることができない大主神社へ参拝に入ることができますよ」と池間の伝統行事のお話。
「ミルク酒は、1升瓶に純水(※1)を半分入れて、ワシミルク(※2)を1缶入れたものです。水は入れません。言ってみれば、池間ミルク・カクテルですね(笑)」と池間の酒文化のお話などなど。
島風が吹き抜ける気持ちのよい木陰で、仲間さんたちとしばし池間話に花が咲きました。
ピッチャガマ(少し)補足いたしますと、ミルク酒は池間を代表する泡盛の飲み方です。甘くて口当たりは良いのですが、アルコール度数の強い泡盛カクテルであるため、宮古人のなかでも「ミルク酒」と聞くと少し逃げ腰になる方もいらっしゃいます(笑)
(※1)宮古諸島あたりでは、何も混ぜていない泡盛(泡盛100%原液)を「純水」と呼びます。
(※2)「ワシミルク」とは、甘い練乳のことです。
池間島についてはもちろんのこと、海にも詳しく、ゆんたく上手な池間のジャック・スパロウ。お話していて、池間島をこよなく愛し、島の未来を真剣に考えるアツい想いの持ち主だと感じました。池間島ドライブでの出会いとご縁に感謝です。今度はフナクスで泳いでみようかな。来年の夏も、仲間さんたちに会いに池間島に来よう。来年の夏の楽しみがひとつ増えました。みなさまも池間のジャック・スパロウに会いに行ってみませんか?!
フナクスビーチ
- 住所 /
- 沖縄県宮古島市平良池間
- HP /
- https://miyako-guide.net/(宮古島観光協会)
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