沖縄観光情報:世界につながる沖縄旅行。「世界に一番近い街」コザにある小さな小さなカフェシアター『THEATERDONUT』

世界につながる沖縄旅行。「世界に一番近い街」コザにある小さな小さなカフェシアター『THEATER DONUT』

post : 2018.01.06 09:00




本土ではなかなか味わうことのできない沖縄特有の空気感を楽しむことができる街がいくつかある。昔ながらのアジア的な雰囲気が残る那覇(なは)の栄町市場周辺や、アメリカのライフスタイルの影響を色濃く映す浦添(うらそえ)から宜野湾(ぎのわん)にかけての外人住宅街などがその一例だろう。旅の楽しみの一つはそうした街との非日常的な出会いだと考える人に、ぜひおすすめしたい場所がある。それは1974年まで実在した、日本で唯一カタカナの名前がついた市町村で、現在は沖縄市の一部となっているコザだ。



 
沖縄戦中からアメリカ軍が駐屯し、その後、アメリカ人だけでなく、インド人、フィリピン人、中国人が加わって、沖縄でもっともインターナショナルな街としての地位を築いたこの街に、ユニークなミニシアターが2015年にオープンした。

 


シアタードーナツと名付けられたこの映画館は沖縄で初めてのカフェシアター。文字通り、ゆったり流れる時間をコーヒーや紅茶とともに楽しむカフェと、スクリーンの向こうに広がる未知なる世界に没入する映画館が一つになった空間で、多文化が共生するコザという街を通じて、果てしない大きな世界が見えてくる、そんな場所かもしれない。




 入居しているのは国道330に面した古い建物で、バス停がすぐ目の前にある。バスを待つ地元の人の脇を抜けて木製のドアを開け、階段を上ると落ち着いた雰囲気のカフェがある。




メニューはコーヒー、紅茶にマンゴーなどのジュース類とハンドメイドのドーナツ各種。ドーナツはオーナー夫人の宮島智子さんの作。揚げてあるのに油っぽさがまるでないサクサクした歯触りが特徴。おすすめはサニーレモンとWチョコクランチ。ほろ酔い気分でリラックスして映画を観たいという人のためにウイスキーとビールも置いていある。




 劇場内には固定式の椅子の代わりに、ビンテージハウスのリビングルームにありそうなクラシカルなソファや椅子が、映画館らしからぬ配置で並べられている。「おうちで映画を観てるみたい」。実際、そんな声がお客さんからしばしば聞かれるそうだ。そして、音響はJBLのスピーカー。小さい箱ながらもリアルな音を楽しめる。

座席を詰めれば50人は座れるはずのスペースなのに並ぶ座席は20人分。隣の人の存在を必要以上に気にすることなく、居心地よい状態で、映画に没頭してほしいという気配りだろう。こんな感じのユニークなミニシアターのオーナーはコザに生まれ育った宮島真一(みやじま しんいち)さん。


 
ラジオパーソナリティやTVのMCなど、マルチに才能を発揮してきた宮島さんと映画の出会いは、小学校4年生の時に観た『E.T.』だったという。「映画にはもちろん圧倒されました。でもね、それ以上に衝撃的だったのは、お互いに見ず知らずの人たちが、同じ空間で、笑ったり怒ったり、そして大の大人まで泣いていたこと。それが僕にはとんでもなく驚きだったんです。観てる人は映画が作り物だとわかっているはずなのに、沖縄ではなく、日本でもなく、海の向こうのアメリカで作られた映画なのに、なんで大人がこんな風に感動できるんだろうって、映画の力は凄いなあと思ったんです」。それからというもの、映画少年としての人生を歩んで自分自身が大人になって、宮島さんはコザというある意味不思議な街に映画館をつくったわけだ。




「映画が大好きと言ったけど、映画館を始めてみて、自分が好きだったのは映画というより、映画館だったんだって気付いたんです。映画を観終わってお客さんが出てくるでしょ。その時の表情を見るのが何よりの喜びなんです。映画は観て終わりじゃなくて、『おみやげ』を映画館から持って帰れるんですよね。それは奮い立つ感動だったり、出会いだったり、発見だったり、気づきだったりするわけですが、そういうものは、自分の人生にそのまま役立つものですよね。生き方とか、社会との関わり方を見つめ直すきっかけにもなるじゃないですか」。シアタードーナツで上映される映画は宮島さんがセレクトする。空想の世界を旅するフィクションだったり、知らなかった現実を垣間見るノンフィクションだったりするわけだけれど、どちらにも共通しているのは、他者に対してのいろんな視点を与えてくれるという点だろう。




「すべての映画はコミュニケーションなんですよね。人と人、人と自然、あるいは人と宇宙。僕は映画には『丸い世界』をつくる力があると信じてるんです」。言葉が熱を帯び始めてきた。「丸い世界とは他者を受け入れる度量というか、寛容さに満ちた世界だと思うんです」。宮島さんが育ってきたコザの街は、基地の街と呼ばれることが多い。フェンスが街を二つに分け、こちら側と向こう側には違う時間が流れている。その両方の世界をまじかに見ながら育っていくなかで、いろいろな現実に、ひとつひとつ違う正義に、向かい合ってきたのだろう。

「シアタードーナツのキャッチフレーズは『月に1本映画を観よう!』なんです。映画ファンだけでなく、普段は映画と縁がないけれど、映画のテーマに引き寄せられてくる人たちのための場所でもあるんです。沖縄に住んでる人が、月に一度ここに足を運んでくれる。それが習慣になる。今まで映画館に馴染みがなかった人がやってきて、映画を通して社会とつながる。ある時はここで誰かとつながれるかもしれない。そういう風に新しいコミュニケーションが増えていくことで世の中が丸くなる。それが僕の理想です」。




本土とは温度も湿度も、そして、見える世界も違う沖縄で、旅の途中に映画を観る。観た後は窓越しに通りを行き交う人を眺めたり、居合わせた人とおしゃべりしたり、あるいは、旅で感じた色んなことをゆったりと反芻する。そういう風に非日常な状況のなかで日常に想いを馳せることで、沖縄の旅がより濃密で実りあるものになるかもしれないし、普通とはちょっぴり違う沖縄旅行がこの場所から生まれるかもしれない。

◯シアタードーナツでは不定期で沖縄県産映画や、沖縄を舞台にした映画が上映されています。また、映画上映後、県内のいろんなフィールドで活躍しているゲストを招いてのトークライブも開催されています。詳しくはホームページFacebookで。


THEATER DONUT okinawa(シアタードーナツ・オキナワ)

住所/沖縄県沖縄市中央1-3-17-2F(沖縄市胡屋バス停前)
電話/070-5401-1072
営業時間/10:30~21:00
定休日/なし
Webサイト/http://theater-donut.okinawa

沖縄CLIPフォトライター 福田展也

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Information

沖縄県沖縄市中央1-3-17-2F