沖縄観光情報:1952年創業の琉球ガラスの老舗が作るシンプルで使いやすいガラスの器〈奥原硝子製造所(那覇市)〉

1952年創業の琉球ガラスの老舗が作るシンプルで使いやすいガラスの器〈奥原硝子製造所(那覇市)〉

post : 2018.04.19 12:00







沖縄の工芸品のなかで、もっともポピュラーなものの一つが琉球ガラス。実用的で価格も手頃、沖縄らしさに溢れているから旅の思い出にも、お土産にもぴったりだからだろう。ご存知の方も多いかもしれないが、実は琉球ガラスの歴史はいわゆる沖縄の伝統工芸品の中では一番新しく、期限は1950年代だといわれている。沖縄戦が終わって沖縄がアメリカ統治されるようになって、出回り始めたジュースやビールなどの色付きの瓶でグラスを作ってみたところ、アメリカ軍関係者に好評だったことから、空瓶を活用して積極的に作られるようになったのがルーツとされる。現在では県内各地のガラス工房で、個性を活かした様々な琉球ガラスが作られている。今回は、創業1952年と、現存する工房の中では最も歴史のある奥原硝子製造所(以下、奥原硝子)を訪ねた。




奥原硝子があるのは、那覇市の国際通り。伝統工芸の体験工房、ギャラリー、セレクトショップからなる「那覇市伝統工芸館」の施設内でスタッフ4名で運営されている。創業当初は、那覇市与儀(よぎ)に建てられた工房で、他のガラス工場と同じように、ランプのカバーや薬瓶、駄菓子屋に並んでいた四角い瓶、牛乳瓶など日用品を製造していたが、1960年代には、ロサンゼルスやサンフランシスコ、グァムなどに輸出するようになったという。現在では日常使いのグラスから装飾性の高い花瓶まで多様な製品が作られている。






 
代表的なのはグラスと水差しで、県内はもとより、県外各地のセレクトショップでも扱われている。人気の秘密は、創業以来変わらないシンプルなデザインとカラーだろう。「創業以来、使いやすさと持ちやすさといった実用性を基本に、改良を重ねてきた結果、いまのデザインがあるんです」。現在、工房を取りまとめている工場長の上里幸春さんはそう語る。どの製品も典型的な琉球ガラスとはちょっと違って、色使いも、輪郭も、いたってシンプルで、機能美という言葉がぴったりだ。だからこそ、使うシーンも、使い方も、使い手の思うままに任されているという自由さがある。








「小売店やお客さんからこういうデザインで作ってほしいという要望にも対応しています。本土の工芸店やセレクトショップからも依頼がありますし、ずいぶん前から沖縄に配属になった米軍人からも依頼を受けることが、今でもありますよ」。棚に並ぶオーダー品のサンプルを指差しながら、上里さんは言葉を続けた。「いろんなデザインのオーダーがありますが、それに応えるには、基本の技術がしっかりしてないとダメなんです。自分も2代目の桃原正男社長をはじめ先輩たちから基本を叩き込まれました」。後輩を育成する際には見本通りに作ることを指導の柱の一つに据えているという。そうすることで、同じものを同じように作る力が育つからだそうだ。




 




「例えば水差しの取っ手や、ソース瓶の口の部分は本体にパーツを継いで仕上げるんです。作り手の自分たちは人間ですから個性や癖が当然ある。だから、パーツは職人によってみんな違うわけなんです。それを仕上がりが同じになるようにうまく継ぐわけです。冷めると割れますから、熱いうちにテキパキと手際よくやらなくてはいけません」。上里さんの両親は琉球ガラスの愛好家で、子どもの頃から奥原硝子の器に慣れ親しんで育ったそうだ。学校を卒業して8年ほど会社勤めをしたが、ものづくりをしたいという気持ちが忘れられず、迷わず門を叩いたという。






 



今年で24年目を迎えるベテランは、若い後継者の育成にも熱心だ。「製品の良し悪しは最初に吹く『元玉』で決まるんです。小さなガラスの球なんですが、あとで修正することができないんですね。個人差はありますが、元玉を上手に作れるようになるまで、だいたい3年はかかります」。現在、奥原硝子には上里さんのほか、20年の経験を持つ桃原さん、経験1年ほどの本土から移住してきた女性と地元沖縄出身の男性がいる。また、これまで工房で修行を積んだ後巣立っていった若者数名は、独立してそれぞれ工房を開いているという。




「ものづくりが好きでないと続きませんね。技術的なセンスだけでなく、工芸に対する思いも必要なんですよ。他の仕事もそうですが、いいものを作りたいという気持ち、向上し続ける追求心が大切です。琉球ガラスは簡単に作れるんじゃないかって気持ちで来る人もいますが・・・」。琉球ガラスの世界に関心を持っている人へのアドバイスをお願いしたら、そういう答が返ってきた。




「使い終わったガラス瓶をリサイクルして新しいものに生まれ変わらせるのが琉球ガラスのルーツであり本質だと思うんですね。再生ガラスだからこそ、この風合いや質感が生まれる。ただ、時代に応じた変化も必要です。新しい発想を新しいデザインに落とし込んで、形にしていくには、やっぱり基本がしっかりしていないといけないです。が逆に言えば基本が身についていれば大丈夫だということです」。先代の時代には琉球漆器とのコラボレーションなど新しい伝統への取り組みを行ったこともあるという。

工房ではグラス作りの体験も受付けている。興味がある人はチャレンジしてみてはいかがだろう。


奥原硝子製造所
住所/沖縄県那覇市牧志3-2-10 てんぶす那覇
電話/098-868-7866
営業時間/10:00〜18:00
定休日/なし
Webサイト/https://kogeikan.jp

沖縄CLIPフォトライター 福田展也

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Information

沖縄県那覇市牧志3-2-10 てんぶす那覇