沖縄観光情報:琉球紅型(びんがた)を日常で着る。セミオーダーかりゆしウェアブランド「Kizuna」の服づくり(宜野湾)

琉球紅型(びんがた)を日常で着る。セミオーダーかりゆしウェアブランド「Kizuna」の服づくり(宜野湾)

post : 2020.09.08 12:00

旅のお土産にはいろいろな選択肢がありますが、その中でも洋服は、土地の風やにおい、気温や湿度までもを思い出させる、そんな力があるような気がします。

ご紹介する『Kizuna(きずな)』は、セミオーダーでかりゆしウェアを仕立てるアパレルショップです。かりゆしウェアといえば、ワイシャツの代わりに着用する沖縄のフォーマルウェア。冠婚葬祭の様々なシーンで活躍するほか、半袖シーズンはほとんどのビジネスパーソンがかりゆしウェアで通勤し、会社や自治体によってはオリジナルデザインを制服にするなど、誕生から50年ほど経った今では沖縄の夏に欠かせない定番アイテムとなっています。

沖縄本島宜野湾(ぎのわん)市、大謝名(おおじゃな)交差点から坂を上った、県道34号線の道沿いにお店を構える『Kizuna』では、サイズ、色、素材、襟の形、あしらわれる柄などを自分好みに組み合わせてかりゆしウェアを作ることができます。




大型スーパーに行けば必ずと言っていいほど手に入るかりゆしウェアをなぜセミオーダースタイルで製作しているのか、ブランド創設者である野原真麻(のはらまあさ)さんに伺いました。




「かりゆしウェアは手に入りやすい分、新作を買っても他の人と被ってしまうことがあるんです。人と被りたくないというお客様のニーズがあるので、Kizunaではデザイン決めからパターン起こし、縫製までを一貫してできるような生産体制をとっています。そうすれば、お客様にカスタマイズを楽しんでもらえるだけでなく、その人の体に合わせた微調整にも対応できるんです。もう一つの理由としては、物の消費に対する世の中の意識の変化ですね」。

大量生産・大量消費における労働や環境への課題意識、さらに使用頻度の高い生活必需品へこだわりを持つ人が増えつつあると感じた野原さんは、製作工程を全て自社でまかなえるような少量生産モデルのブランドを運営しようと考えました。

しかし企画書を手に県内の工場を渡り歩くも、少ない生産量に対応してくれるところはなかなか見つかりません。そんな中、ブログを見つけたことをきっかけに、小ロット生産を方針とするシンプル企画合同会社の安里輝美(あさとてるみ)さんにたどり着きました。


 パタンナーの安里輝美さん(右)


「安里さんにパターンを作るところから縫製まで全てをお願いできることで、機械ではできない細かい仕様の変更が実現できるようになりました。着る人の姿勢や体型に合わせた洋服は着心地が全然違います。」

洋服を選ぶとき、まずデザインが素敵かどうかで判断をする人も多いと思いますが、安里さんは「デザインがいい洋服を選ぶのではなく、自分をよく見せる洋服を選んで欲しい。洋服は、自分を活かすためのツールでしかない」と語ります。




「なで肩の人に合う肩のラインとか、顔の大きさとか首の長さとかによって似合う洋服の形は全部人それぞれ変わるわけですよ。流行っているかとか、売れるかよりも、この人の全体のバランスを見れば、似合う服はこれだ!っていう形があるんです。試着室では洋服がかわいいいかどうかじゃなくて、着た自分が素敵に見えるのか、自分が着てて気持ちいいかで選んでほしいです」。

着る人にぴったりハマるかりゆしウェアを作るためには、最初のヒアリングが命。どんなときどこで着るかという着用目的から何色のパンツを持っているか、靴は何を履いているのかというファッションの好み、立ち仕事か座っている時間が多いのか、胸ポケットを使うか、時計をつけるかなど、仕事や生活スタイルまでを聞きながらデザインを固めていきます。




Kizunaのカスタム手順は次の通り。
 
①長袖、半袖など5パターンあるかりゆしウェアからデザインを選ぶ
②襟型を決める
③紅型の柄を決める(4種類から)
④ボディの素材、色を選ぶ
⑤サイジング




デザインが決まってから1ヶ月半ほどで仕立てられます。
「自分にフィットしたかりゆしウェアを着たときのお客さんの顔が晴々とする様子を見ると私もやる気に満ち溢れますね」と野原さん。
セミオーダーは1着15,300円(税別)。デパートで売られている伝統工芸柄のかりゆしウェアとほとんど変わらない値段です。

「沖縄の工芸品をもっと新しい形で、県外や次の世代に繋げていきたいという思いがあるので、単価をできるだけ抑えています。高級品にしてしまうと若い人が買いづらくなって、おじぃしか着れないものになってしまうから」。
伝統工芸を受け継いでいきたいという野原さんの思いは紅型の柄にも表現されています。
 
Kizunaのかりゆしウェアに使われる紅型の柄は、現代のストリートカルチャーを色彩で表現したものや、ゴーヤーをペイズリー風に見立てたものなど、伝統的な要素を取り入れつつもカラフルで独自性のあるデザイン柄ばかり。これらは全て、沖縄県内のアーティストや工芸作家とコラボレーションして作り上げたオリジナルデザインです。


 RYUKYU PAISLEYとのコラボデザイン


「工芸作家さんやアーティストさんとのコラボすることはブランドを始める時から決めていました。誰かとコラボをすると、その人がまた別の工房を紹介してくれたりして思いもよらない繋がりができて、ここまでこれたのがほんとにありがたいです」。

Kizunaの店舗にはアロハシャツやワンピースなども販売されています。セミオーダーではなく子どもから大人まで着ることができるようサイズ展開されたものなので、店頭に足を運べばその場で購入可能。こちらも、沖縄県内のアーティストとコラボレーションしたオリジナルテキスタイルで彩られています。




「親子やカップルで旅行に来たときのリゾートウエアとして着てもらったり、お土産にしてもらえたりしたらいいなと思って作りました。お揃いで買ってくれた家族のお子さんが、お父さんとお揃いが嬉しくて毎日着たがっているとコメントをいただいたこともありました。この服を着て一緒にあんなことをしたなとか、どこに行ったなっていう思い出として残ったらいいなと思います」

Kizunaというブランド名には、作り手と買い手をつなげる「絆」と、洋服を一緒に着る人との「絆」の意味が込められています。どんな人がどんな思いでKizunaを訪れたのか、一つひとつの洋服に込められた様々なストーリーはInstagramで紹介されています。

思いが形となったお洋服を身に纏うことは、日々を頑張るあなたにエネルギーを与えてくれるかもしれません。勝負服として、思い出の形として、特別なプレゼントとして、こだわりの一着をぜひ手にとってみてください。


Kizuna-Okinawa
住所/沖縄県宜野湾市大謝名3丁目4−2
電話/098-975-5001
営業時間/土曜日のみ営業 11:00〜19:00 ※価格は2020年8月現在です。
https://peraichi.com/landing_pages/view/kizunasemiorder


写真・原稿:松田藍、編集:浅倉彩
 
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Information

沖縄県宜野湾市大謝名3丁目4−2