素材の味が引き立つ「まいにち食堂」（読谷村）の身体に優しい沖縄そば

沖縄旅行中に欠かせないグルメと言えば、やはり沖縄そば！ ですよね？

沖縄そば屋さんの店舗数は沖縄県内に300軒ほどあるそうですが、それぞれ出汁や麺、トッピング具材などに工夫を凝らし、各店舗で異なる個性を発揮されています。

今回紹介させていただくのは、2017年3月に読谷村（よみたんそん）の「やちむんの里」近くにオープンした「まいにち食堂」。店主の伊波 和晃（いは かずあき）さん・真理子（まりこ）さんご夫妻は、心から「おいしい」と思える一杯を提供するため、素材選びや塩分濃度、器、空間にこだわります。




「もともと沖縄そばは好きでしたが、一時期無性に食べたくなる時期があって、19歳ぐらいの時に漠然と“沖縄そば屋さんをオープンしたい”と思うようになりました。最初は、子どもが“将来はケーキ屋さんになりたい”という感覚に近かったかもしれません（笑）」と話す和晃さんは、県内の沖縄そばを食べ歩き、多い時は1日7軒まわったこともあったそうです。

「20年ぐらい前は日常的に食べられていた沖縄そばですが、最近は“観光に来た方たちが記念に食べるもの”に変わってきているように感じています。若い世代のうちなんちゅ（沖縄人）はラーメン、ハンバーガー、カフェ…沖縄そば以外の選択肢が増えましたから。このままだと、これ以上沖縄そばは発展していかないですよね。自分が死ぬ時においしい沖縄そばが食べられないのは辛いな…と思いました。そして“自分が次の世代に伝えていかなければ”と使命感のようなものに突き動かされました」

沖縄そば屋さんは数あれど、女性が入りづらいと感じるお店も多いとずっと感じていた真理子さんは「外観も内装もカフェのような、入りやすいお店を目指しました。お子様づれの女性でも気軽に来ていただけて、くつろげる空間づくりにすることで、次の世代にも伝えていけると思ったんです」と話します。

沖縄そばは6種類ですが、トッピング具材の追加で自分好みにアレンジすることができ、あっさりが好きな女性も、ボリュームがほしい男性も、少食のお子様も楽しめるようになっています。

まいにち食堂の沖縄そばは、化学調味料不使用。スープは昆布、豚、かつお、鶏、野菜などの天然素材を長時間煮込み、塩分濃度を人間の身体の血中濃度に合わせて、素材の旨味を存分に生かした“最後までおいしく飲み干せる一杯”を目指しました。

「おいしさを追求したら、自然と無化調になりました。その代わり、手間暇もコストもかかりますが」と和晃さん。麺は、そんなこだわり出汁と最も相性の良かったという西崎製麺の細平ストレート麺です。




スーチカー（塩漬けの三枚肉）と志林川（シリンカー）豆腐のゆし豆腐、かまぼこ、生アーサ（あおさ）がトッピングされた「生あーさそば」は観光客から大人気。乾燥品を使ったそばは他店でも食べられますが、生アーサを使った一杯が味わえるのは、まいにち食堂だけ！




磯の香りと、わかめのようなシャキシャキ感は、一度味わうと忘れられません。




こだわりのそば出汁で炊いた沖縄風炊き込みご飯「じゅうしー」は薄味であっさりとしていますが旨味が濃く、単体でもずっと食べていたくなる味わい。

沖縄県民に愛されるフーチバー（よもぎ）が香る「緑の七味」をプラスして“味変”を楽しむのもおすすめです。「緑の七味」はまいにち食堂オリジナル商品。店頭で購入することも可能で、焼き鳥や焼き魚、ポテトチップスに振りかけるなど、楽しみ方はいろいろ。




まいにち食堂では、沖縄そばもじゅうしーも、やちむんの里で買い付けた器に盛り付けます。

「同じ職人が手がけた器でも、同じ器には出会えません」と真理子さん。そんなこともあり、欠けたり割れたりヒビが入ってしまった器は金継ぎで修復し、使い続けています。




食材も器も大切にされているまいにち食堂の沖縄そばは、最初のひとくちから最後の一滴までじっくりと堪能したいやさしい味わい。元気な時はもちろんですが、身体や心が疲れている時に味わうとなおさら染みます。

伊波ご夫妻の熱意がダイレクトに伝わる沖縄そばは、唯一無二。「ずっと通い続けたくなるお店って、きっとこういうお店なのだろうな」と思わせてくれる一軒です。