沖縄観光情報:染色家・田中紀子さん【前編】

染色家・田中紀子さん【前編】

post : 2014.12.10 12:00

紅型(びんがた)は沖縄の代表的な伝統工芸のひとつで、

14~15世紀の琉球王国に起源をもつ染色技法です。


   

今回訪ねたのは、オリジナルデザインの紅型を手がける

田中紀子(たなかのりこ)さん。

身近にある植物や動物をモチーフにした

美しく可愛らしい作品はどのように生まれるのか、聞いてきました。

 

田中さんの紅型が大好きで、

作品を販売しているクラフトショップ、

tituti」の扉を開けるたびに

どんな柄が入荷しているかと、いつもわくわくしています。

さっそくですが、紅型作家になったきっかけを教えてもらえますか。

 

「高校時代は美術科で、工芸に興味があったんです。

なかでも染物が好きで、あるとき、沖縄の工芸の本が目にとまって。

紅型を初めて見たときに『なにこれ!』って衝撃だったんですよ」

 

色合いも文様もぱきっとして、

鮮烈な印象ですよね、初めて見たときは。


 

「私は兵庫の出身で、紅型に出合うまでは

染物なら京都が近いから友禅を学ぼうと考えていたんです」

 

紅型とは対照的な美しさですよね。

 

「そうですね。友禅はやわらかな色合いが魅力的ですが、

紅型にはもっと力強い生命力を感じて、沖縄に行きたい!って」

 

進路を決められたんですね!

 

「はい。沖縄県立芸術大学に進み、紅型の道へ入りました。

あと、沖縄が肌に合っていたんだと思います。

食べものも気候も大好きだから(笑)」


 

田中さんの作品を初めて見たときに、クギヅケになったんですよ。

可愛いらしいけれど甘すぎず、動物の表情がとても豊か。

工芸品なのに「今」の空気も取り入れていて

手元において、ちょっと自慢したくなるアイテムばかりです。

 

「暮らしが楽しくなるものを作りたいと思っているので、嬉しいです」

 

それまで紅型といえば古典柄のイメージが強かったので……

オリジナル柄が多いようですが、古典柄は染められないのですか?

 

「学生時代も卒業後も時々染めているんですよ。

でもね、沖縄独特の味が出ないんです」

 

独特の味、ですか?

 

「説明しにくいんですが、

沖縄出身の方なら自然に出せることが

内地で生まれ育った私が染めると何か違うって」

 

何が違ったんでしょう。

 

「古典柄は先人たちが努力して生み出したデザイン。

それを後継者として確実に守れればいいんですが、

オリジナルデザインもやりたかったんですよね」

 

どちらもやりたいところに葛藤が?

 

「なんというか、オリジナルもやりつつ、

古典柄をやりたい時だけ染めるとなると

受け継がれてきたデザインを

都合よく拝借している感じが否めなくて……」

 

それでオリジナルデザインを中心に。

 

「古典柄に惹かれてはじめた紅型なんですけれどね(笑)」

 

――それは紅型を愛し、先人を敬うからこそなんだろうと思いました。

大切に思うゆえに、古典柄を染めるならどっぷり向き合いたい。

田中さんの作り手としての心根が見えた瞬間でした――


 

オリジナルデザインのモチーフは

どんなものが多いんでしょうか?

 

「古典柄は内地や中国など、

もともと沖縄にないものの柄が多いんですよね。

私の場合は普段の生活で、

ふっといいなって感じたものを染めたいんです」


月桃のブックカバー

 

「例えば梅雨どきの雨はうっとうしいけれど、

ある日庭を見たら、まいていた種がいっせいに芽を出していて。

あぁ、植物には大切なんだなと。

そこから『恵みの雨』というモチーフがうまれたり」


ヒージャーとクワズイモの額絵

 

「月桃やブーゲンビレアといった沖縄の植物や

動物ならヒージャー(ヤギ)も好きです」


 

「このカードケースは美ら海水族館で

エイやマンタが重なり合って泳いでいるのを見てうまれました」

 

こちら、お店でひとめぼれでした!

まさかエイやマンタだとは思わずに驚いて。

海中で揺れる光の粒のようにも見えます。

日々の何気ない瞬間から、さまざまなモチーフがうまれているんですね。

 

 

沖縄の暮らしのなかで、はっとした瞬間を写しとり、作品にしている田中さん。

「後編」では、作品づくりで大切にされている光と影の話と

新作のゾウの財布がうまれたエピソードをお届けします。

 

つづく

 

 

◆田中紀子(紅型工房 染虫・びんがたこうぼう そめむし)

http://somemushi.com/index.html

 

 

○購入できる店

tituti OKINAWAN CRAFT

http://www.tituti.net/contact.html

 

琉球民芸センター

http://rm-c.co.jp/

 

ミュージアム球陽/ショップ紅型

http://oki-park.jp/shurijo/guide/59/158

 

西森美術(ニシムイビジュツ)

www.nisimuibijutu.com/

 

 

沖縄CLIPフォトライター 小野暁子

 

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