沖縄観光情報:那覇の闇の奥で、最高に美味しいピザ!!

那覇の闇の奥で、最高に美味しいピザ!!

post : 2015.03.03 23:00

 

2月某日。

 

この日の水先案内人は、初めてご相伴にあずかるN子さん(沖縄在住9年目)でした。

N子さんは、facebookに美味しそうな料理の写真を連投しながら、

行きつけのお店の名前は明かさない小悪魔な料理研究家。

彼女のニュースフィードを指をくわえて見ていた食いしん坊は

いつの日か行きつけに連れて行ってもらえることを夢見ていました。

 

ところで、沖縄の世間の狭さは「本当に人口140万人もいるんかいな?」と

政府の統計を疑いたくなるほど。

誰と話しても共通の知り合いが必ずいるし、

どこへ行っても誰かとバッタリ会います。

この島は大学の学食なのか?と。これ。本当に。

 

共通の趣味や仕事上のからみがあるわけでもない。

もちろん親戚でも同窓生でもない。

完全に個人的なN子さんとの出会いと再会、そして初デートも、

そんな世間の狭さあってのなんとも沖縄らしい僥倖なのでした。

 

お店は、うふシーサーの背中方向へ徒歩5分。

 

とまあ、ウキウキモード全開で待ち合わせ場所の「うふシーサー前」へ。

モアイでもハチ公でもエビス様でもSLでもとらえもんでもなく、壺屋のうふシーサー前。

あたりは19時だというのにほぼ無人。

国際通りからほんの少し離れたこの桜坂/壺屋界隈は、

大人に優しい闇と静寂に包まれていました。

そして、そこから先の道筋を全く知らされていない私に

N子さんが指し示したのは、さらなる闇の、奥のほう。


 

青白い街灯のあかりを頼りに、

「まだ先?え、もっと?」とキョドりながらてくてく歩き、

たどり着いたお店は、ブラックホールの淵に引っかかるようにして、

そこにありました。

 

お店はカウンター6席とテーブル席1席のこじんまりとしたつくりです。

壁とカウンターに挟まれた細長いスペースは酒飲みにとっての絶対領域。

体を落ち着けると、羽根布団にもぐりこんだような安らぎを覚えます。

ワクワクしながら、N子さんからの前評判を確かめるように開いたメニューは、

カウンターの中の人のセンスがもうもうと香り立つ、まばゆいばかりの宝の山でした。


 

一杯目に、私はネーミングで選んだクラフトビールを、

N子さんは飲みなれた様子のハイボールを頼み、二人の宴が始まります。


お会計は、キャッシュオン。先払いで千円札を2枚ずつ、計4枚を並べた宴のはじまり。

 

カンヒザクラが春の気配を連れてくる2月の沖縄。

しっかり着込んでたくさん歩いた後の

クラフトビールの最初の一口は、生涯忘れられない美味しさでした。


 

グビグビとガラスを傾けながら眺めるメニューに並ぶのは、

字面でビール2~3杯はいけそうな「酒のあて」の数々。

酒飲みの舌と心をくすぐること無限大ながら、お腹のスペースは有限。

ということで、この瞬間に、近日中の再訪が決定したことは言うまでもありません。

沖縄に住んでいて本当によかったです。


旨味に悶絶しながらいつまでも噛んでいたい自家製の燻製盛り合わせ。卵の黄身のとろけ具合なんて、思い出すだけでもう!

 

とりたてて地産地消を謳うことなく、要のポジションに

伊江島の小麦や鴨、やんばる鶏などの県産食材が配置されているところにも

オーナーのセンスが伺えます。

 

 

「ここは何を頼んでも美味しい」というN子さんの言葉に嘘はありませんでしたが、

中でも長期の記憶を司る大脳新皮質で一等星級の輝きを放つことになった一皿、

それが、ピザです。

これからの人生で、何かびっくりするほど美味しいものに出会うたびに、

あの日、あの那覇の闇の奥で、最高に美味しいピザを食べたなあ、と、

思い出してしまうような気がします。


酒盗とチーズ&半熟卵のっけツナマヨチーズのハーフアンドハーフ。

 

鼻に抜ける伊江島小麦の香りと、カリ→ふわ→もちと続く食感の連続攻撃。

具材やチーズはとろとろでしっかりと味がついていて、

なおかつ片手で持っても具材がデローンと滑り落ちない最適サイズ。

ピザ専門店ではない飲み屋の正しいピザなのです。

集中力を欠いた酔っ払いが、多少手元を誤ってもちゃんと口まで運ばれる。

これ。大事です。

 

具材は8種類あって、ハーフアンドハーフにしてもらっても、全部は選べない。

迷いに迷っている間の、オーナーの掌で転がされてる感の心地よさといったらありません。


「お米のワインみたいなのを」という無知で無責任で意味不明(苦笑)な

オーダーにも的確に応えてもらえました。さすがプロです。

 

ビール後のお酒は取り揃えられた日本酒の中から、中の人にセレクトしていただきつつ、

カウンターに居合わせた別の常連さんとの語らいがまた乙でございます。

 

さて、カウンターに3枚目の1000円札を追加したあたりで、N子さんがぼそりと漏らした一言。

それは、「最近、やっと沖縄にいることを心から楽しいと思えるようになった」というものでした。


 

その瞬間、うら若き女性が一人、あふれんばかりの憧憬を握りしめて

見ず知らずの土地に飛び込み、毎日生きて、一歩一歩踏みしめてきた道のりを思い、

胸が熱くなりました。

 

 

ひょっとすると、「沖縄暮らし」は享楽的なイメージが強いのかもしれません。

でも実際に住んでみると、当たり前に毎日いろいろあるわけです。

そんないろいろの楽しみや痛みをまるごと受け止めながら、

それでもなぜか離れられずにいる人にしか見えない景色が

きっとあるのだと思います。

那覇の酔街の闇は、そういう人々にとって、いつもそこにある確かな優しさなのです。

 

ともあれ、N子さんがワハハと笑って通い詰めるこのお店は、

何度でも、アルミサッシをカラカラ言わせて、

ガラスの引き戸を開けたくなる、名店でございました。


 

いや~、あんなところにあんなお店があるなんて、那覇はまだまだ奥が深い!

こういうお店がどこかにある、と思えるだけで街の魅力は深みを増すなあ、と

有り難みをかみしめつつ、帰り道に見つけたのは、民家のお庭から飛び出したカンヒザクラ。

春はもうすぐそこ、であります。

 

旅行者のみなさんも、たまには闇の口の、のどの奥へと体ごと突っ込んでみると、

いいことあるかもしれませんよ。

 

店舗情報→今回は、秘密♡

 

沖縄CLIPフォトライター 浅倉彩

 

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