平敷屋エイサー(2023)

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初回投稿日:2023.11.20
 最終更新日:2024.03.27

平敷屋エイサー(2023)

沖縄のエイサーの原型といわれる平敷屋(へしきや)エイサー。その平敷屋エイサーが、青年会メンバーの減少により存続の危機もありながら、伝統を絶やさないために苦渋の決断をしました。

本来は、平敷屋の地域の中で、東西2つの青年会があり、それぞれのエイサーにプライドがあり、ライバル同士。エイサーの型も東(アガリ)と西(イリ)でそれぞれ違います。2022年と2023年は、東西の青年会が1つに統合する決断をし、平敷屋エイサーの伝統を未来へ繋いだのでした。

エイサーの原型といわれる平敷屋エイサー

旧盆に行われる伝統エイサーの中でも、うるま市勝連の平敷屋エイサーは「エイサーの原型」ともいわれ、起源は定かではないですが200年以上の歴史があります。その佇まいは、黒と白の装束姿で足元は素足。一糸乱れぬ隊列は美しく、打楽器は小型のエイサー太鼓「パーランクー」で、鳴りはパランと乾いた音で優しい響きが特徴。対照的に、ナカワチ(チョンダラー)の天まで届くような指笛の音と迫力ある演舞も魅力的で、“静と動”が共存するとても荘厳なエイサーです。うるま市の無形民俗文化財にもなっています。

平敷屋エイサー

平敷屋の東西2つのエイサーは、東は男性的で力強く、西はしなやかで女性的な動きのエイサーといわれます。自分のような他所の地域の者には見分けづらいのですが、実際には、腰の落とし方や、手の返し方、足の動きなどに違いがあり、演目もそれぞれで違う曲が何曲もあります。

平敷屋エイサー

平敷屋エイサーは、平敷屋青年会に所属する16歳から25歳までの青年が担っているのですが、かつては120名ほどいた青年会のメンバーも、2023年現在は東西合わせても49名に減っています。苦渋の決断で、東西の平敷屋エイサーを1つに統合するということは、東西の技の違いをそれぞれ習得する難しさもあったほか、歴史ある平敷屋エイサーを自分たちの代で統合の判断をするというのは相当なプレッシャーだったことでしょう。

伝統のエイサーを後世に残したい

旧盆のウークイ(旧暦7月15日/2023年は8月30日)に、平敷屋神屋の前で奉納エイサーが行われたほか、その翌日には、平敷屋漁港前のグラウンドで「平敷屋エイサーの夕べ」が4年ぶりに開催。旧盆行事が終わったあとに開催される「平敷屋エイサーの夕べ」には、区民や市民が大勢集います。みんな平敷屋エイサーが大好きで誇りに思っています。そんなみなさんに語った、平敷屋青年会・前代賢太(まえしろけんた)会長からのメッセージが、とても印象的でした。

平敷屋エイサー

「平敷屋エイサーの迫力ある演舞をするためには、東西あわせて1つのチーム(青年会)にすることがベストだと思いました。ですが、東西合併については、これからずっとではなく、これからメンバーが増えさえすれば、東西それぞれが復活することができます。このことは、16歳から25歳までの青年会だけの問題では無いと思います。平敷屋に住んでいる区民の皆様の協力が必要です。平敷屋区の素晴らしい伝統を絶やさないよう、今一度、“平敷屋エイサーを継なぐ”ということを是非考えて頂きたいです」と涙ながらに語った会長の前代さん。

平敷屋エイサー

最後に、「私は、平敷屋に生まれ、平敷屋に育ち、平敷屋エイサーを踊ることができ、とても幸せです。皆様、これから平敷屋区を盛り上げていきましょう!」と締めくくった言葉も、とても心に響きました。

未来に残したい沖縄の伝統エイサーを、後世に継ないでいこうとしています。

 平敷屋エイサー

桑村 ヒロシ(KUWA)

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