五月のテッポウユリと沖縄で夢の中

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歴史文化

初回投稿日:2015.05.17
 最終更新日:2024.03.27

五月のテッポウユリと沖縄で夢の中

 
5月といえば、沖縄ではテッポウユリが花咲く季節です。ところが数ヶ月ほど後になって、季節外れのテッポウユリの香りが漂ってきたことがあります。それも、夢の中で! 
 
夢の中って、そもそも香りがするものでしょうか? そんな不思議体験を綴ってみたいと思います。

テッポウユリ
 
かれこれ2年ほど前。まだ『沖縄CLIP』に参加する前の年のこと。本来の自分らしさを見失いそうになっていた頃の話です。
 
ある晩、夢を見ました。そこは、自分の故郷の島。どこからともなく、ユリの香りが漂ってきました。それを、ただの花の香りだとは思えず、もしかしたら、すでに他界している親友ではないかと気づきました。
 
「この香りは、おまえだろ?」と夢の中でたずねてみると、「そうだよ」という返事が帰ってきたときには、怖さはなく、むしろ再会できたことの喜びのほうが大きかったです。見えない相手と肩を組み、語り合おうとしました。目の前に現れた理由は(姿は見えませんが)、僕に向けてわざわざメッセージを届けに来てくれたようでした。
 
「なぁ、友よ。何も無い未来を探ろうとするな。なぜなら、未来は何も行動しなければ“何も無い”。そうだろ?」と、夢の中なのに、とても考えさせられる問いかけをしてきました。
 
つまり自分が何も行動していないのに、未来ばかりを求めても何も動くはずがない。ぼんやりと「あぁ、そうかもな」と思っていると、間髪入れずに語り続けてきます。「何をどう行動するかで未来(道)が決まる。肉体があるうちに行動しろ。行動しなければ未来は何も無い(道は開かれない)」とのこと。

 
「それが、何の行動かは、本人が一番わかるだろう?」
 
それは「これからも写真を撮り続けろ。取材をし続けろ!」ということだと、すぐわかりました。具体的には、このシリーズコラムでもお話してきたようなことです。(参考リンク:https://okinawaclip.com/ja/detail/809
 
しかもこの頃までは、いくつかのテーマを追いかけ続けていた最中で、ひとつは、「沖縄の鬼伝説」の核心に触れること。(参考リンク:https://okinawaclip.com/ja/detail/868
もうひとつは、「南走平家(沖縄の平家の落ち武者伝説)」を訪ね歩くこと。それは、琉球の歴史と自分のルーツを訪ねる旅。どちらも自分にとっては一生涯かかるかもしれない大きなテーマなので、長い時間をかけて取材していた途中でした。

 
でもどちらかといえば、ちょうどこの頃は、目の前の仕事にばかり追われている日々だったのです…。
 
「本来の宿命と向き合い、一つ一つ紐解くことが、未来につながる」と、メッセージ。
 
夢の中なのに、かなりハッキリ「どうした? なぜ立ち止まっている?」と、ちょっとあと回しにしていた大きな宿題のことについて、「本来やるべき使命のほうもまっとうしろ!」と具体的に指摘してきたのです。

 
夢から目が覚めると、つい先ほどまでの会話内容がどんどん消えていくので、もうろうとしながら、記憶に残っている部分だけでもメモを残したのでした。
 
それにしても、「肉体があるうちに行動しろ」とは、肉体を持たない存在だからこそ言える、実感のこもった言葉だなと感じました。ひょっとすると、友人の姿を借りた“別の存在”なのかもしれませんが、本来の自分がやるべき使命を具体的に示してくれたことに感謝しています。
 
それから半年後、こうやって沖縄CLIPに参加することになり、「沖縄から大切なものを届けたい」という気持ちで情報を記事にしてご紹介させていただいていますが、ふだんの記事では書ききれない大事なエッセンスも、このコラムで引き続き綴っていけたらと思っています。(つづく)
 

桑村 ヒロシ(KUWA)

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