一人ひとりが地域のたね《繁多川公民館》

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歴史文化

放送日:2023.12.25 ~2023.12.29

初回投稿日:2024.01.20
 最終更新日:2024.03.27

一人ひとりが地域のたね《繁多川公民館》

清らかな湧き水が豊富で、豆腐作りで知られる那覇市繁多川。地域活動の中心である繁多川公民館では、子どもから高齢者まで教育や福祉、社会面で活発に交流が行われています。そもそも公民館は、よりよい暮らしのために生まれた施設。「一人ひとりが地域のたね」をモットーにしている繁多川公民館と、地域を思う人々の取り組みを紹介していきます。

美しい繁多川を自分たちで守る

火・木・金の朝8時から活動しているペタンク会 

火・木・金の朝8時から活動しているペタンク会
 

繁多川の特徴は町がきれいなこと。通りを掃除するグループやウォーキングしながらゴミを拾う姿が当たり前の景色になっています。公民館の敷地の清掃も地域の人が行っています。今日はペタンクを楽しむサークル「繁多川しんかぬちゃーペタンク同好会」の皆さんがお掃除をしています。他にも繁多川公民館やバス通り周辺の美化活動を行うボランティアチーム「繁多川ちゅらくなすん会(ちゅらく=きれいに、なす=する、ん=の/繁多川をきれいにする会」などもあります。

 

また、「繁多川を蝶々が飛び交う美しい町にしたい」と、地域の人が公民館の敷地にオオゴマダラが好むホウライカガミを植えました。「こうやったら誰かが気持ちいいんじゃないか?」という思いが、皆さんの自発的な行動に繋がっています。


ホウライカガミに誘われて優雅に舞うオオゴマダラ

ホウライカガミに誘われて優雅に舞うオオゴマダラ

開放的なロビーの大切な役割

繁多川公民館のロビー
毎日のおしゃべりの中からアイデアやヒントが生まれます


公民館ロビーでの交流

世代や性別を超えた交流が、ロビーのあちらこちらで

 

一日を通して、公民館にはさまざま年代の住民が訪れます。朝9時半、スタッフが出勤して皆でお掃除。公民館にはカラオケや手話、体操など現在38のサークルがあり、10時になると参加する人たちが続々と集まってきます。

11時頃には、学校をお休みした子どもたちがやってきて、本を読んだり、近所の水場で遊んだり。スタッフと一緒にお昼ごはんを作るのは日課です。夕方になると学校を終えた子どもたちが集合し、賑わいは最高潮に。ロビーでは「こんなことできたらいいね」、「こんなことで困っているよ」、「こうしたほうがもっとよくなるんじゃない?」。職員はそのようすを見守りながら、時に潤滑油の役割を果たすこともあるそうです。

首里から真珠道が続く繁多川

昔から清らかな水が湧き出ていた繁多川
昔から清らかな水が湧き出ていた繁多川
 

地域の人々の手によっていつもきれいに保たれています
地域の人々の手によっていつもきれいに保たれています

 

湧き水がきれいで豆腐作りが有名な繁多川は、琉球王朝時代に首里から多くの士族が移り住んだ集落。現在も昔ながらの家屋や琉球八社の一つである「識名宮」、世界遺産に登録されている「識名園」など、歴史ある史跡が残ります。かつて首里城から那覇港まで敷かれた「真珠道(まだまみち)」には、王朝時代に敷かれた石畳が現存しています。地域の人の手による清掃や行政の取り組みにより、清らかな水場となった公民館そばのボウジガー(坊主川)には、メダカやテナガエビ、カニが復活しました。御嶽やカーでは、地域の人によるまちまーいや拝みが日常的に行われています。史跡や文化財に添えられた文章は、ボランティアの手によるものです。

繁多川のすぐりむん

繁多川すぐりむん認定のみなさん

繁多川公民館と繁多川自治会が行っている取り組みに「繁多川すぐりむん」認定があります。すぐりむんとは、優れた技、広い知識、豊富な経験を持つ地域の人材のこと。今年その数は100名を超えました。「物調べすぐりむん」や「島くとぅばすぐりむん」、「旗振りやーすぐりむん」、「童助けやーすぐりむん」など、すぐりむんはすべて方言で命名されています。高齢者の皆さんにとって、すぐりむん認定は、年を重ねてさらに地域のために頑張れるという喜びになり、地元の人にとってすぐりむんは、頼もしく、心強い存在です

在来大豆を復活させたい

昔ながらの道具を使った豆腐作り
昔ながらの道具を使った豆腐作り

 

沖縄の在来豆、青ヒグー
沖縄の在来豆、青ヒグー
 

琉球王朝時代からハンタガー(繁多川)をはじめとしたウフカー(大川)、ボウジガーなど水源が豊富だった繁多川は豆腐作りが盛んでした。戦後の食料不足の時にも、各家庭で豆腐は作られ、人々の命をつないでいったそうです。かつては50件以上の豆腐店が並び、繁多川で作られる島豆腐は「繁多川豆腐」と呼ばれ、その美味しさで名を知られていました。毎年12月2日を豆腐の日とし、繁多川の子どもたちが学校で育てた原種のオーヒグー(青大豆)を昔ながらの道具で脱穀して石臼を使い、シンメー鍋でアチコーコーのゆし豆腐を作ります。

公民館と自治会の結束によるこうしたイベントや一人ひとりの繁多川を思う心が、ゆるやかにしっかりと世代を繋いでいるようです。

  

那覇市繁多川公民館

住所 /
沖縄県那覇市繁多川4-1-38
開館時間 /
9:00~22:00
休館日 /
祝日・慰霊の日(6月23日)、年末年始(12月28日~1月3日)

沖縄CLIP編集部

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放送日:2023.12.25 ~ 2023.12.29

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