3年に一度行われる辺野古最大の祭『辺野古大綱引き』

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歴史文化

初回投稿日:2015.09.10
 最終更新日:2024.03.27

3年に一度行われる辺野古最大の祭『辺野古大綱引き』

『辺野古大綱引き』の舞台
 
沖縄本島北部・名護市辺野古(へのこ)の最大のお祭りが、3年に一度行われる『辺野古大綱引き』です! 
 
沖縄も少しずつ秋めいてきましたが、沖縄で秋の行事といえば、豊年祭など伝統的なお祭りのシーズン。各地の豊年祭では、綱引きや棒術や旗頭などが奉納演舞されます。2015年8月30日(日)に開催された『辺野古大綱引き』の舞台の両脇には「五穀豊穣」と「万国津梁」(ばんこくしんりょう)と書かれた旗が掲げられていました。豊年祭で「五穀豊穣」を祈念する地域はよくありますが、「万国津梁」とは「世界の架け橋」を意味する言葉。なぜこの祭りで「万国津梁」を掲げているのか、後々わかっていきました。

綱引き前のテービーガーエーの松明
 
そして、『辺野古大綱引き』が特徴的なのが、綱引き前のテービーガーエー。テービーガーエーでは、月夜の下で松明(たいまつ)の火が灯され、行列になって渦を巻いていくのですが、その光景はとても幻想的です。

綱引き前のテービーガーエー
 
松明の炎が燃える渦の中、地域の人々が次々と入り込んでいきました! 自分も思いきってその輪の中に飛び込んでみると、降りそそがれる松明の火の粉に、清められていくような感覚になりました。無病息災の願いが込められた儀式なのかもしれません。

行列の渦の中で、歓喜の声を上げながらぐるぐると回り続けている
 
行列の渦の中で、歓喜の声を上げながらぐるぐると回り続けていくうちに、全体が一体化していきました。地元の人はもちろん、観光客も、辺野古に日々通っている方々やキャンプシュワブの米国の若者たちも、みんないっしょになっていきます。「万国津梁」とは世界の架け橋を意味する言葉。2つに分かれていた輪も、最後には大きなひとつの輪になっていくのです。

、東(アガリ)と西(イリ)から、支度(シタク)のガーエー(せめぎ合い)が行われます
 
その後、東(アガリ)と西(イリ)から、支度(シタク)のガーエー(せめぎ合い)が行われます。長刀を振り回しながら、両者は中央まで接近しますが刀を交えることはなく、気持ちと気持ちのぶつかり合いをします。

綱の上で、東と西の組頭(クミガシラ)がガッツリ腕を組み合います
 
そしていよいよ綱引きです。直径40センチで約20メートルの重さ5トンもある雄綱と雌綱が中央まで寄せられ、カヌチ棒で結合されると、東と西の組頭(クミガシラ)がガッツリ腕を組み合います。それはライバル同士がにらみ合うというよりも、「お互い頑張ろう!」と健闘を讃え合うかのような、清々しく感じられる場面でした。

ひとつの綱を引き合いました
 
綱引きは東と西に分かれ、テービーガーエーのときと同じように地域の人のほかにも様々な人たちが数多く参加。計2500人の人たちが、ひとつの綱を引き合いました。計2回行われ、2回とも東の組が勝ちましたが、出身も国籍も立場も関係なく、団結していく姿、祭りのチカラに感動しました。

『辺野古大綱引き』の舞台
 
「地域が東西に分かれ綱を引きますが、東西の勝ち負けよりも、全員が一致団結できるところがこの祭りの最大の魅力です」と地元のかたは言います。皆で喜びを分かち合うことができるのが魅力的な大綱引きでした。
 
沖縄は、これから秋の伝統的なお祭りのシーズンです。沖縄各地の文化や芸能に触れてみるのはいかがでしょうか!
 

桑村 ヒロシ(KUWA)

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