ミジヌウトゥワラビンチャーヌクィー<水の音こどもたちの声>金武町金武大川

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初回投稿日:2016.09.10
 最終更新日:2024.06.12

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琉球歴文化体験モニタープログラム

沖縄の小中学校の夏休みが明けた最初の土曜日、沖縄本島東海岸に位置する金武町(きんちょう)の「金武大川(ウッカガー)」に立ち寄りました。ウッカガーは1992年、金武町指定文化財に指定された金武町並里(なみさと)区の共同井泉です。
 
 
1620年頃から水が湧き出るようになり、これまで一度も枯れたことがないと言われるウッカガー。その水量・規模は、沖縄県下に誇る湧泉です。
 
金武町(きんちょう)の「金武大川(ウッカガー)」
 
青い空、白い雲、ギラギラと輝く夏のティーダ(太陽)、絵に描いたような夏の昼下がり。ウッカガーを訪れてみると、移動販売のぜんざい屋さんも来ていて、さまざまな世代の人たちが涼を求めて集っていました。
 
大川(おおかわ)児童公園
 
ウッカガーのタンカー(真向かい)には大川(おおかわ)児童公園があり、噴水や水場でたくさんの子どもたちが元気に遊んでいます。土地柄なのか、外国の子どもたちも一緒に楽しそうに水かけっこをしています。
 
大川(おおかわ)児童公園
 
「ここは小さな子を遊ばせるには、海で遊ばせるより安全で安心」とのことで、宜野湾市(ぎのわんし)や那覇市など、わざわざ市外からも遊びにいらしているほどの人気振りです。
 
金武大川(ウッカガー)の湧水
 
沖縄の強い陽射しから逃げるように、ウッカガーの湧水で足を水浴びさせて、汗が滴る顔を洗いました。ひんやりとした湧水が、干からびそうになっていた身体中の細胞に活力を与えてくれます。清らかな湧水がとうとうと流れ落ちるところは、「気」も良いのでしょう。身体ばかりでなく、気持ちまでリセットしてくれるようです。
 
金武大川(ウッカガー)
 
飲料水、水浴場、洗濯・芋洗場、馬や牛の水浴場など、用途別に区切られた井堰が、1924年ウッカガーにつくられ、水道が通る1962年までの間、ウッカガーは朝に夕に、人々が集う村一番の賑わいどころでした。文字通り、井戸端会議が開かれていたそうですが、その様子もこの水量と規模なら想像にかたくありません。
 
ガジュマル
 
ウッカガーのすぐそばには、ガジュマルの絡みついた鳥居がありました。自然に溶け込み、うっかり見過ごしそうです。「鳥居の建立時期を記した文献はありませんのではっきりとは言えませんが、おそらく昭和17年から19年くらいの間に建てられたのではないでしょうか」と地元の方。なんでも、鳥居のそばにあるガジュマルは一度伐採したにも関わらず、残っていた根の部分が成長して鳥居に絡みついたそう。100年足らずの歳月で、鳥居とガジュマルが一体化してきている様子は、自然の生命力の強さを感じずにはいられませんでした。
 
大川児童公園
 
ザァーザァーと絶え間なく流れ落ちる涼しげな水の音をBGMに、子どもたちのはしゃぎ声がこだまする。その合間に、ときおり聞こえてくるサワサワとした木樹の囁き。かつて、人々が集い、井戸端会議を開いていた地は、いまも変わらず、人々の憩いの場として賑わい、親しまれているのです。
 
ウッカガーと大川児童公園
 
ウッカガーと大川児童公園を縦横無尽に往来して楽しむ子どもたちを眺めていると、サルスベリの白い花が風に舞って、ワタボウシのようにふわふわと飛んできました。
 
サルスベリ
 
ザザザー。通り風がサルスベリを駆け抜けたのか、次の瞬間、無数の白いワタボウシが視界を覆いました。不意にワタボウシが描いた白く眩しい世界は、私からすべての音を奪いました。それは、ほんのわずかな時間、白昼夢をみているようでした。視界からワタボウシが消えた途端、現(うつつ)の音が私を呼び醒ましました。それは、安らぎを与えてくれる水の音と、平凡な幸せを運ぶ子どもたちの明るい声なのでした。

金武町大川

安積美加

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