若者たちが自力で移築していた琉球古民家が、ついに完成!

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歴史文化

初回投稿日:2014.02.13
 最終更新日:2024.04.10

若者たちが自力で移築していた琉球古民家が、ついに完成!

以前ご紹介した「琉球古民家を自力で移築中の若者たち」。

ついにその古民家が完成!

2月第1週の土曜日には、その完成記念も兼ねて

古民家のあるフリースクール「珊瑚舎スコーレ」の敷地内で

フリーマーケットが行われた。


フリーマーケット

 

出展料はなんとお米1合!

そのお米は珊瑚舎スコーレの方々の手によりその場で釜戸で炊かれ、

月桃の葉で包まれたおにぎりになり、

かぼちゃスープとともに出展者やお客さんに配られた。


かぼちゃスープ

 

当日は半そででも過ごせるくらいに暖かく、敷地内の遊具でのびのびと遊ぶ子供の姿や

音楽を演奏する人々、不用品を売る人、身体に優しい食品の出店など。


のびのびと遊ぶ子供


音楽を演奏する人々


身体に優しい食品

 

出店者も来場者もその場の空気や会話を楽しみながら、

彼らの移築完成をお祝いした。

 

移築に参加した若者たちは、それぞれ全く違ったフィールドで活動しながら

空いた時間を古民家に費やすこと2年6ヶ月。

途中でやりたいことを見つけて出て行ったメンバーもいれば

新しく参加してきたメンバーも。


移築に参加した若者たち

 

前回の記事に共感して手伝いに来た人も多く

地元の人から観光客まで、

わざわざ関東から泊まり込みで手伝いに来た人もいた。

 

中心になって活動していた恵歴(えれき)さんと麻衣さんは

昨年の9月から2月までなんと現地に泊まり込みで移築に専念。

夏場は蚊帳をつけて移築中の古民家の屋根の下で過ごし、

冬場は壁が無いので近くのプレハブで寝泊まりした。

 

当初は昨年の9月中に完成する予定が

瓦を葺く、漆喰を塗るという作業が思いのほか大変で

職人だったら3人がかりで3週間程度で終わる作業を、

5人で交代でやっても4~5ヶ月かかってしまった。

 

農地に建築している為、周囲の壁をつけると税金が発生してしまうので、

今後取り付けるかは未定だが、とりあえず骨組みと床と屋根は完成した。


骨組みと床と屋根は完成

 

「今は嬉しいような、寂しいような、学校を卒業する気分です。

最初に解体している時はどうやって建てたらいいか、想像もつかなかったんです。

あるものを解体しているのだけど、古いものだから復元しようと思っても歪んでいたり、

木材が腐ってしまったりしていて。

自分たちで木材を切って作り直すこともありました。


自分たちで木材を切って作り直すことも

 

まだ屋根が無いときは、台風で全部の柱が斜めに傾いてしまい、

ハンマーで叩いてロープでひっぱて支え木を入れ、楔の打ち直しをしたり。

通り掛った小学生の集団に手伝ってもらったりもしたんですよ。

それがこうやってきちんと形になって…。

協力していただいた珊瑚舎スコーレの野外授業の先生には、本当に多くの事を教わって、

作っている間に学びや気づきが沢山ありました。

トラブルもありましたけど、やっぱり一番大変だったのは人間関係ですね(笑)

途中みんな来なかったり、1人の期間があったりとか、でもこれじゃいけないってなって。

はじめてからいい面も嫌な面も含め、お互い色々見れました」

 

今後また家を建ててみたいか、という質問にはそれぞれのメンバーが頷いた。

土嚢を積んで作るアースバックハウスや竪穴式住居など、

違った形の家作りにも挑戦してみたいそう。

本格的に建築関係の道に進むかもしれないというメンバーも。

 

「これが終わって地元に帰る人も居るし、新しい仕事を始める人もいる。

みんなバラバラの生活になります。

でも10年ごとに漆喰を塗りなおさないといけないから、

その周期でまた集結するんですよ。

メンバーにもそのうち子供が出来たりして、

だんだんと次の世代が参加してくるかもしれない。

そうしたら自分たちが学んだ事を受け継いでいきたいですね」

 

移築された古民家は、今後珊瑚舎スコーレの郊外学習の場として活用されていくとともに、

こういったフリーマーケットなどのイベントも定期的にやっていきたいという。

 

「敷地内は水浴びする場所や外で自炊できる台所、釜戸、

コンポストトイレ(水を使わず、微生物の力で堆肥化して土に還すトイレ)など

自然に密着した生活ができるようになっているので

そういう意図に反さない範囲で活用してもらえれば嬉しいです」

 

ボランティアで古民家を移築をした彼らが得たものは、

きっとお金では買うことのできない素晴らしい体験だったに違いない。

今後もこの場所が豊かに活用されて、新たな世代にもこの古民家の文化を、

素晴らしい伝統を守っていくという心を継承していってほしい。

 

今後イベントの予定は随時珊瑚舎スコーレの

facebookページ等でアップされる予定。

 

場所:沖縄県南城市佐敷字津波古 馬天小学校裏

 

沖縄CLIP編集部

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