職人技と遊び心と地元愛。本格的なドイツ製法のハム・ソーセージを味わえるTESIO

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初回投稿日:2018.01.07
 最終更新日:2024.08.29

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ハム・ソーセージのスペシャリティショップ「TESIO」

ウィークデーの日中は地元に住む「おばぁ」や「おじぃ」、週末の夜は若い米軍兵士や米軍家族で賑やかになるコザの街。戦後、東洋一といわれるアメリカ空軍の嘉手納(かでな)飛行場が建設されてから、沖縄でもっともアメリカ文化の影響を受け続けてきたエリアだ。コザの中のコザともいえるゲート通り周辺には、タトゥーショップやクラブ、ライブハウス、テーラーショップなどが軒を連ね、その無国籍な空気がディープな沖縄を求める旅行者を魅了し続けている。

ハム・ソーセージのスペシャリティショップ「TESIO」

今回ご紹介する『TESIO』は、そのゲート通りに2017年6月にオープンした、ハム・ソーセージのスペシャリティショップだ。

ショーケースに並ぶソーセージやハム

グリルされたりスモークされたりのベーコンやハムは、味わい深くてビールによく合うし、ハーブなどのフレーバーや、オリーブとかナッツがアクセントのソーセージとパテには、ワインがよく似合う。ショーケースに並ぶソーセージやハムは、実際のところどれも美味しいのだけれど、泡立てられた生地のようにふんわりとした食感の白いソーセージ「ヴァイスヴルスト」(842円/パック)は、中でも特におすすめしたい。スモークしていないから、あっさりすっきりした味わいが特徴で、「お肉がそれほど得意でない」という人にもぜひ味わってもらいたい一品だ。

オリーブとかナッツがアクセントのソーセージ

豚肉本来の美味しさを楽しめる「ホワイトハム」

エスプレッソをふりかけてスモークしたビターな味わいの「エスプレッソ」


続いては、オリーブとドライトマトを惜しまずに使ったスライスソーセージ「オリーブ&トマト」(518円/100g)、自然に限りなく近い豚肉本来の美味しさを楽しめる「ホワイトハム」(583円/100g)、熟成させた肩ロースにエスプレッソをふりかけてスモークしたビターな味わいの「エスプレッソ」(626円/100g)、そして、舌の上ですーっと溶けるような「県産和牛のコーンド・ビーフ」(1,080円/100g)だ。


県産和牛のコーンド・ビーフ

肉という個体をペーストというクリーム状にしていく
TESIOの強みは、沖縄では初めてといえる本格的なドイツ製法。その特徴はクリーミーでなめらかな食感だ。「肉という個体をペーストというクリーム状にしていくのがドイツソーセージなんです」とオーナーの嶺井さん。「赤(肉)、白(脂肪)、氷、そして塩をレシピに従ってブレンドしていきますが、脂と水が溶け合ったエマルジョンをいかに作るかがポイントなんです」。鍵になるのは、時計や航空機など精密な機械に強いドイツの工業技術。高速で切り混ぜることできめ細かく仕上げる加工機械がなくてはドイツ製法ははじまらないのだそうだ。そして、代々受け継がれてきた伝統的な手順と、地域ごとに守られてきたレシピが、製品のクオリティを一定の水準以上に保っているという。


充填機から腸の中にペーストが詰められる

ブレンドされたペーストは今度は人の手で腸詰めされる。充填機から腸の中にペーストが詰められると、1本1本手びねりして、ソーセージが仕上がっていく。このようにしてアルチザン(職人)が作り出すソーセージやハムからは、ひと味もふた味も違うおいしさの世界が広がってくる。


1本1本手びねり

それにもかかわらず、味付けのベースはいたってシンプル。フレーバー系は別にして、素材が本来持っている味や香りが、ほぼ塩だけで上手に引き出されている。だからこそ、肉の選別や素材の見立てによってできあがる味も左右される。同じ部位の肉でも、肉質は違うし、脂身の割合も変わってくるからだ。


ソーセージ


華やかさとは一見かけ離れた、職人的なイメージを纏うドイツ製法をベースにしてハム・ソーセージを作り始めた嶺井さんは、「今までになかった食文化を沖縄に導入することで新しい文化が生まれるかもしれない」という、カラフルな期待感のようなものもしっかりと持っている。「技術はドイツのものだけど、つくり出す世界は沖縄的なもの。そんなふうに、沖縄に暮らしている人の味覚や、沖縄の風土に合った食べもののあり方を考えていきたいんです」と言葉が続く。


TESIOのハム・ソーセージ詰め合わせ

「今は、クラシックな製法にちゃんと合うフレーバーをじっくり研究しています。軽いノリで『県産素材を使ってます!』ってやっちゃうんじゃなくて、ちゃんとした美味しいものを提供したいからです」。土地のものを使ってその土地らしいものを作りたいという気持ちがあるのと同時に、沖縄の素材であればどんどん使いたいというものでもないらしい。

伊江島産のラム、沖縄そばでおなじみの香辛料であるコーレーグース、八重山特産の優美なスパイスのピパーチ、TESIOと同じ沖縄市にあるこだわりの『珈琲専科LOOP』で焙煎したエスプレッソ。これまでに取り入れたフルーツ以外の沖縄の食材はハム・ソーセージにしっかりとマッチしている。「素材の組み合わせや活かし方は、自分が納得できるかどうかで判断していきたい」と語る嶺井さんがこれからどんなものを作り出すのか、将来が楽しみだ。

※商品の値段は、2017年12月時点。
 

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TESIO

住所 /
沖縄県沖縄市中央1-10-3
電話 /
098-953-1131
営業時間 /
11:00~18:00
定休日 /
月曜日
HP /
https://tesio.okinawa
Instagram /
https://www.instagram.com/tesio_sausage/

沖縄CLIP編集部

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