「Okinawa」の食やお酒を新しい解釈で提案するB&B+カフェ『La Passione(ラ・パッショーネ)』(那覇市)
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post : 2018.04.20 15:00
那覇市の閑静な住宅街にひっそりとそびえる3階建て。落ち着きのあるベージュ+明るいオレンジの装飾は、どこか異国の風が漂います。『La Passione(ラ・パッショーネ)』は、遠く欧州の、それも緩やかで暖かな南部の空気をもたらす、そんな印象のB&B(ベッド&ブレックファスト)+カフェです。
それもそのはず。日本語で“情熱”を意味する屋号の通り、エントランスになびくトリコローレ(イタリア三色旗)が全てを物語ります。オーナーは、イタリア・ローマ出身で社会学者でありながらインテリアデザインが趣味のフランチェスカさんと、世界72カ国を巡って来た東京出身の田中 洋人(たなか ひろと)さんご夫婦。
国際援助関連に携わっていたお二人は、スリランカで出逢い結婚。以来、各国を探訪しつつも、「暖かさ、温かさ。多くのカルチャーの溶け合い。多くの国と民俗が出会い融合して来た歴史。独特のメンタリティ。そして食等、様々なレイヤーが、故郷・イタリアにある、同じく島社会のシシリーを想い出させる」と、フランチェスカさんが、長くそして何かしらのインスピレーションを感じていた「Okinawa」に、2015年3月に初上陸。
3ヶ月程過ごした頃、いくつかの縁が紡がれ、移住を決断。「いつかやってみたいと思っていた『宿』」の道を選び、来沖からちょうど1年経った翌2016年3月にラ・パッショーネをオープンしました。その際、「ただのB&Bではつまらない」と、巡り合った、南城市で退職後農業をしながら国内外からのゲストをもてなす「ウチナーンチュの老夫婦との楽しくヘルシーだった日々」等をヒントに、「沖縄の食にまつわるイベント」をも発信する、オリジナルなB&B+カフェが誕生したというわけです。
こうして、(シシリー島でオリーブ農園を営むフランチェスカさんの実弟から協力も得た)「オリーブオイル・テイスティング」を皮切りに、参加者との地元市場での買い出しから始まる「ウチナーンチュが教える料理教室」等、様々な企画を展開。
海外経験の長いオーナーならではの語学力も手伝い、これまでは主にインバウンド向けの内容がほとんどでしたが、直近では、また一つ異なる地平を開拓しました。今回主役となったのは、(もちろん沖縄食材に加えて)「泡盛」。この島ならではの伝統的なお酒にフィーチャーし、(外国人向けというよりは)まずは県内・国内のユーザーに目を向けたコンテンツを打ち出しました。
その名も『泡盛、次のフロンティア 〜泡盛と本格イタリアンの新しいマリアージュ〜』。去る4月2日、1Fの飲食スペースにて、参加者6人(参加費各5,000円税込)という少人数で開催された食事会&ワークショップは、泡盛に、イタリア料理&ワインをペアリングし、あれこれディスカッションするという、従来には無い斬新な構成。
泡盛の監修は、近年県内の「泡盛離れ」に憂いる、泡盛コーディネーターの比嘉 康二(ひが こうじ)さん(写真)。会員制泡盛BAR『泡盛倉庫』(那覇市)店主で、泡盛の魅力をラジオや全国各地のトークで精力的に活動しています。
一方、料理とワインを監修したのは、『ピッツエリア・オンダ』のシェフ・小池 輝明(こいけ てるあき)さん。東京のイタリアンで修業し、イタリア中部トスカナ地方、シエナの一つ星レストラン等で研鑽して来た実力派です。
いずれも名実ともに、その分野のスペシャリストにつき、「正直、ハイレベルな要求の調整が簡単ではなかった」と言う、主催の田中夫妻。それでも、数ヶ月間に渡る舵取りをスマートにこなし、見事、奥行きのある実践で着地させました。
さて、一見困難なテーマ設定ですが、そのコンセプトは至って簡単。一流シェフが沖縄食材の個性を引き出した、イタリアンのコースとワインをサーブ。そこに、泡盛の達人が、“その土地のお酒”にしかできない食とのアプローチを提案。参加者は、それぞれ、見た目も贅沢な上質料理を堪能。と同時に、各種ワインとの飲み比べを通し、未だ見ぬ泡盛の魅力を初めて、そしてつぶさに体験。まさに、参加者全員、泡盛に対して、「こんなに飲みやすかったんだ?」や「洋食と相性良いんだね!」と言った、新鮮な発見と嬉しい驚きで一杯! 総じて、参加前と後では、「泡盛への印象がガラっと変わった」と感慨もひとしお。
ここで、この日、参加者達を唸らせたコースとお酒、全メニューをご紹介。
突き出し:無農薬フレッシュトマトと宿の屋上で育てたバジル、フランチェスカさん手作りパンのブルスケッタ。ワイン:マルティーニ・ブリュット・スプマンテ。泡盛:暖流30度(ハイボール)。
野菜のアペタイザー:やんばる無農薬を使った野菜のマリネ3種(人参とたんかんのマリネ、ポロネギとアンチョビのオーブン焼き、ズッキーニのグリル オレガノ風味)。泡盛:島風30度(サングリアstyleトマト・バジル・セロリ)。
パスタ:県産マグロとミニトマトのショートパスタ」。泡盛:30度のもろみ酢割り。
メイン:きびまる豚スペアリブのシチリア風煮込み。ワイン:チェラスオーロ・ヴィットリア・クラシコ・OG。泡盛:咲元40度(お湯割り)。
ドルチェ:パンナコッタのマンゴーソース添え(コーヒー/紅茶)。ワイン:マルティーニスパークリング・アスティスプマンテ。泡盛:忠孝マンゴー酵母3年古酒44度(ストレート)。
と、フォトジェニックな見た目は、もちろんインスタばえも完璧!「今回は初めての取り組みということで、実験的な意味合いもあり、少人数開催でしたが、参加者全員によるディスカッションで見えてきた反省点や改善点を共有し、ブラッシュアップした上で、次回開催に繋げたいと思います。
また、これまで通り沖縄の飲食はもちろん、今後は沖縄の文化等にも着目したイベントも仕掛けていきたいなと。HPやフェイスブックで最新情報を発信していくので、来沖の際等、時々チェックしていただければ嬉しいです」と、早くも次のステージを見据え、お二方揃って、静かな“情熱”で語ってくれました(写真中央)。
沖縄の食やお酒、そして文化を、インターナショナルな経験と洗練された視点で未だ見ぬ解釈を試みる、ラ・パッショーネの提案と発信。大人の知的好奇心をくすぐる、ちょっと新しい「Okinawa」の宿+カフェ×イベントの震源地から、これからも目が離せなさそうです。
La Passione(ラ・パッショーネ)
住所/沖縄県那覇市樋川1-13-38
電話/050-3590-1338
営業時間(カフェ)/9:00~17:00
定休日(カフェ)/無休
チェックイン&チェックアウト(B&B)/14:00&10:00
料金(B&B)/1泊1名6,000円(税別)〜
駐車場/あり
Webサイト/https://www.lapassione-okinawa.com/japanese-home
※料金は2018年4月時点です。
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沖縄CLIPフォトライター 小川 研(Qey Word)
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