世界一の師匠と世界二位の弟子が作る沖縄のジェラート〈やんばるジェラート〉

世界一の師匠と世界二位の弟子が作る沖縄のジェラート〈やんばるジェラート〉

Reading Material

食べる

初回投稿日:2018.08.09
 最終更新日:2024.08.29

最終更新日:2024.08.29

世界一の師匠と世界二位の弟子が作る沖縄のジェラート〈やんばるジェラート〉 クリップする

琉球歴文化体験モニタープログラム

「そのまま食べるのが一番おいしい」と多くの人が思う果物の持ち味を、丁寧に上手に引き出して、「そのまま」では味わえない味覚の世界を作り出しているジェラート専門店が沖縄にある。ジェラートの本場イタリアで開催されるジェラートの世界大会でグランプリに輝いた柴野大造さんのもとで腕を磨いた地元沖縄出身の米盛勝也さんが店長を務めるやんばるジェラートだ。


パイナップル

お店では、畑から届いたばかりのみずみずしい果物を使って、ジェラートが毎日作られている。こだわりはやんばる(沖縄本島北部一帯を指す言葉)の新鮮な果物。それも、種類ごとにナンバーワンだと考えている地域のものだ。たとえば、スイカは今帰仁村(なきじんそん)、パイナップルは東村、紅芋は伊江島(いえじま)、シークヮーサーは名護市(なごし)の勝山(かつやま)という具合だ。


ジェラート

「ジェラートのおいしさの50%は、素材の質で決まるんです。アイスクリームと違って、果物のウェイトは格段に大きいですし、着色もしない、合成のものは使わない。それが本来のジェラートなんです。沖縄は素材の宝庫。柑橘類など果樹の強さは圧倒的だと思います」と、米盛さんは強調する。「果汁を主体にしたジェラートは、一つの果物で勝負する時もありますが、複数の果物を組み合わせて、立体的に味を作っていくことが多いんです」。2017年に準グランプリを受賞した時には土の匂いがユニークで衝撃的だと感じたビーツをベースにした。ミント、ローズマリー、レモンを脇役として使って、力強さと爽やかさ、軽やかさがハーモニーを奏でるジェラートに仕立てあげた。


ジェラート

こちらのジェラードで今回特におすすめしたいのは「スイカ」(350円~)だ。沖縄でスイカといえばここ!といわれる今帰仁産のスイカを使用。水を使わずにスイカの果汁のみで仕上げてあり、食べた時に口いっぱいに広がるスイカのフレッシュな香りと味わいは、スイカ以上にスイカらしく、濃厚そのもの。それでいて、スイカが苦手な人にもおいしいと評判。オレンジとピンクをミックスしたような鮮やかな色合いが特徴の沖縄らしいのジェラートだ。


ジェラート

続いておすすめしたいのは「パイナップル、セロリ、リンゴのソルベ」(450円~)。柴野さんが考案したソルベで、2017年のイタリアシャーベットフェスティバルでグランプリを受賞したという逸品。多くのイタリア人が最も嫌いな食べ物として挙げるセロリをあえて使い、パイナップルや青リンゴで、ライム、ミントでセロリの魅力を引き出した個性的な味わいが特徴になっている。食べてみると、メロンのような風味が感じられ、フランス料理のソースのように、複雑な味わいが印象的だった。


ジェラート

そして、2017年の日本大会で販売数がダントツに多かった米盛さんの「コーヒー風味のヘーゼルナッツ&シナモン」(450円~)。米盛さん自身が使いたいと思う納得済みの素材を選りすぐって作っているジェラートで、淹れたてのエスプレッソの芳ばしい香りが、ヘーゼルナッツやシナモンと絶妙なハーモニーを奏でている。トッピングされているのはサクサクした食感とかぐわしい香りが持ち味のコーヒークロッカン。細かく刻んだヘーゼルナッツを170℃でローストし、粉糖や五倍濃縮のコーヒーを絡めたビスケットのようなスイーツが、クリーミーな口当たりのジェラートとマッチしていた。


ジェラートマエストロの米盛さん

柴野さんの指導やアドバイスを受けながら、ジェラート作りを行なっている米盛さんはまだ23歳。それなのに、世界大会では輝かしい受賞歴を持ち、日本人最年少のジェラートマエストロでもある。さらに2018年1月には、イタリアのジェラート協会からジェラート騎士の称号を授かった。2017年のジェラート世界大会(Rimin)の自由部門で2位に入賞した後、2018年の別の大会では泡盛を隠し味に使った「松の実とマスカルポーネのジェラート」で、この大会では日本人最高位の6位入賞を果たした。色々な食材を組み合わせて味のハーモニーを作り出すのが得意な柴野さんに対して、一つの素材の持ち味を余すとなく引き出すのが米盛さんの持ち味。やんばるの生産者が丹精込めて育てた果物やハーブを使って、作り出す味の世界は、スイーツの工芸品や芸術作品のようだ。


イタリアのジェラート協会からジェラート騎士の称号

ジェラート騎士の役割の一つはイタリアの食文化であるジェラートの魅力を広めること。そして、もう一つは、スローフード発祥の国らしく、その土地その土地の地域の素材を活用することを通して、地域の活性化をサポートすることだという。沖縄に外から入ってきた新しい食文化が、沖縄の気候や風土が生み出す濃厚な味わいのフルーツやハーブなどの農産物とどのようにコラボレーションしていくか、これからが楽しみだ。


la VOUS(ラ・ボウス)の店内

◎ジェラートはカップ入りでシングル350円、ダブル450円、トリプル550円。プレミアムジェラートはそれぞれ100円UP。フラワーコーンは+50円。

※料金は2018年7月時点です。

関連する記事

やんばるジェラート

住所 /
沖縄県宜野湾市嘉数3-19-1
電話 /
098-943-5434
営業時間 /
11:00~19:00
定休日 /
第1火曜日
サイト /
https://yanbarugelato.jp/
Facebook /
https://www.facebook.com/YanbaruGelato
Instagram /
https://www.instagram.com/yanbarugelato_okinawa/

沖縄CLIP編集部

同じカテゴリーの記事

琉球歴文化体験モニタープログラム