沖縄観光情報:那覇市久茂地の風情豊かな古民家で味わう沖縄そば「琉球茶房すーる」

那覇市久茂地の風情豊かな古民家で味わう沖縄そば「琉球茶房すーる」

post : 2022.02.17 20:00

朽ち果てそうな古民家を改装して沖縄そば屋に



那覇市のゆいレール「美栄橋」(みえばし)駅から歩くこと約5分。国際通りから少し入った久茂地(くもじ)川沿いに、風情豊かな瓦屋根の古民家があります。ここは、おいしい沖縄そばが食べられるお店「琉球茶房すーる」(以下:すーる)。

2004年にオープンし、今年で18周年。地元の人から、旅行で訪れる人たちまで、多くの沖縄そば好きに愛され続けているお店です。

琉球茶房すーる


入り口の扉を開けると、迎えてくれたのは店主の奥間久子さん。その優しい笑顔と、古民家ならではの木のぬくもりあふれる空間に、ほっと心が和みます。「すーる」という店名は、うちなーぐち(沖縄の言葉)のように聞こえますが、実はスペイン語。「SUR」と書き、「南」という意味だそう。店内は、テーブル席、カウンター席のほかに、座敷席もあり、ゆったりとくつろげる造り。聞けば、「すーる」は、そもそもこの建物ありきで始まったのだとか。

琉球茶房すーる


「昔ここは誰も住んでいない、今にも朽ち果てそうな古民家だったんです。当時、私の主人は不動産業を営んでいたんですが、この建物の持ち主さんから相談があったとき、自分がなんとかしてあげたいと思い、真っ先に『貸してください』とお願いしたんだそうです。そのときから、主人はここで沖縄そば屋をやると決めていたようですね。だから一人でやるのかなと思っていたら、なぜか私も誘われて(笑)。自分が沖縄そば屋をやるなんて思いもよらず、すべてゼロからのスタートでした」

琉球茶房すーるの店内
 

探し求めてたどり着いた本当に作りたい味



まずは、建物の修繕から着手。白アリ被害のあった場所は取り壊し、床もはがしつつ、柱や梁(はり)など、残せるものはそのまま残し、昔ながらの良さを活かした改装を行っていきました。続いて、沖縄そばの研究。ご主人と二人、沖縄の北から南まで食べ歩き、自分たちが提供したい沖縄そばの味を追い求めました。

「なかなか“これ!”という味にたどり着けずにいたんですが、だいぶいろいろなお店を巡った頃、ようやく出会えたんです。かつて糸満市にあった『淡すい』さん。一口食べたとたん、もう本当においしい!と感激して。沖縄そばは、時間を置くと伸びてやわらかくなりがちですが、『淡すい』さんの麺は細くてしっかりコシがあって、まさに私たちが思い描いてた麺だったんです。スープもあっさりしているのに、しっかり出汁の旨味が効いていて、すっかり惚れ込んでしまったという感じ。それからご主人に頼み込んで、お店の味を教えていただくようになりました」

琉球茶房すーるの店内


その後、話を聞くうち、「淡すい」の麺は、店主のレシピをもとに「西崎製麺所」と開発したオリジナル麺だということがわかり、「すーる」でも特別に同じ麺を使わせてもらうように。「ふつうの麺は5~6時間で打ち上がるけど、この麺はその数倍の時間がかかるんだよ」と店主から聞いた、こだわりの麺です。

沖縄そば


「スープについては、いくつかレシピがあるらしく、そのうちのひとつを教えて頂きました。でも細かい分量の話は一切なく、ひととおり手順を話した後、『さあ、あとは自分で作ってごらん』って(笑)。その場で必死でメモしたものを頼りに、自分の厨房で何度も作り直し、味見して頂いて、ようやく『淡すい』さんの味に近づけました。それからも試行錯誤して今の味に至っているので、オープン当時とはまた違う味になっていますが、昆布とカツオをベースにした出汁を大切にしているのはずっと変わらないですね」

沖縄そば
 

「淡すい」の味を継ぎ、改良を重ねた自慢の一杯



「すーる」の看板メニューは、ずばり「淡すいそば」。体に染みるやさしい味のスープに、ツルツルした食感とコシの強い細麺がよく絡み、食べ終わる瞬間まで「おいしい!」が止まりません。長時間かけてやわらかく煮込まれた三枚肉は厚く、食べ応えたっぷり。「淡すい」の味を受け継ぎながら、18年の間、改良を重ねてきた「すーる」の歴史が詰まった自慢の一杯といえます。

淡すいそば

単品やそばセットで食べられるジューシー(炊きこみご飯)は、奥間さんが家庭で作る味をそのままに。ていねいに仕込んだ出汁をベースに、ごぼう、しいたけ、にんじんと一緒に炊いたシンプルな仕上がり。素朴な味わいに箸が進みます。
 

ゆし豆腐はウシおばあちゃん直伝のタレで



ゆし豆腐


「沖縄の食卓に並ぶ家庭の味を」と、メニューに加えたゆし豆腐も人気の一品。沖縄には、ゆし豆腐をトッピングした「ゆし豆腐そば」を提供するお店もありますが、ここでは別々にその味を楽しんでほしいと、ゆし豆腐はあえて単品で提供。奥間さんが、祖母である「ウシおばあちゃん」から受け継いだという、ほんのり甘くて香ばしい特製しょうゆタレをかけていただきます。これが、なんともクセになる味。

メニュー


「うちの家族は、小さな頃からこのタレをかけて食べていたので、ゆし豆腐はみんなこうやって食べるものだと思い込んでいました(笑)。ウシおばあちゃんが作っていた当時を思い出して、きっとこんなふうに作っていたんだろうなという記憶を頼りに、出汁としょうゆをごま油でさっと焼いて仕上げています。以前、伯父が店に来て食べたときに、『ウシおばあちゃんの味だね、懐かしい』と言ってくれて嬉しかったですね」

ゆし豆腐


「お店の前で写真を撮りましょう」と声をかけ、スタッフの方に並んでいただくと、おや? 皆さん目元が似ていらっしゃるような。そう伝えると、3人は実の姉妹なのだとか。オープン当時から18年間、ずっと一緒に「すーる」で働き、共にその歴史を作り上げてきた仲。近年では、義理の妹にあたる弟さんの奥様も加わり、今では女性4人で楽しくお店を切り盛りしているそうです。「やっぱり、家族、親族だからこそ続けられてきたのかなと思いますね」と、奥間さん。「すーる」に、居心地のよいあたたかな空気が漂うのは、そんな絆あってこそなのかもしれません。

新垣千恵子さん、奥間久子さん、上間美音子さん
左から/新垣千恵子さん、奥間久子さん、上間美音子さん

「18年前、沖縄そば屋を始めたとき、正直大丈夫かな?って不安でした。沖縄に初めて観光に来た人がいて、生まれて初めて食べる沖縄そばがおいしかったかどうか。それによって沖縄への印象も、沖縄そばへの印象も大きく変わると思うんです。そういう意味で、沖縄そば屋って責任重大だな、と。だからこそ『また来たよ』というリピーターの方がいらっしゃることが本当に嬉しいし、とても励みになっています。これからも、初めて食べる人が沖縄そばを好きになってもらえるような、おいしかった!っていう出会いのあるお店を目指していきたいですね」


琉球茶房すーる
住所/沖縄県那覇市久茂地3-25-7
電話/098-861-5155
営業時間/月~金曜 11:30~15:00(売り切れ次第終了)
定休日/土・日曜、旧盆、年末年始
ホームページ/https://soba-sur.com/


沖縄CLIPフォトライター 岡部徳枝 


まだまだ知られていないあなただけが知る沖縄の魅力を是非教えてください。
沖縄の旅行情報のご投稿はこちらから。

~ もっと、沖縄が好きになる。沖縄CLIP ~

Information

沖縄県那覇市久茂地3-25-7