水墨画のような水彩画にうっとり。水彩画家 千賀ちかさんが描く沖縄
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post : 2023.05.13 20:00
恩納村(おんなそん)の「ザ・ムーンビーチ ミュージアムリゾート」で開催中の絵画展「やんばる森のささやき」にお邪魔させていただき、素敵な時間を過ごすことができました。
沖縄の自然や動植物をメインに描く水彩画家の千賀ちかさん。作品を制作する際は朝から沖縄本島北部“やんばる”地域の山に入り、自然と対話をしながら筆を進めます。
その時しか見られない一瞬を
「やんばるはとても神秘的なところで、一瞬で景色が変わります。自然が見せてくれる表情は一期一会。例え同じ場所であっても、その時に見たドラマには2度と出会えません。私が心を動かされた一瞬の輝き、目には見えない空気感、香りを描きたくて…」
沖縄県出身の千賀さんは、子どもの頃からひとりで絵を描くことが好きだったそうです。趣味で描いた作品は世にお披露目することはなかったのですが、ある日、中国で出会った水墨画に感銘を受けたことがきっかけとなって、画家としての人生が始まりました。
沖縄に戻り、水墨画を2年間、その後に水彩画を学んだ千賀さん。
運命の流れに逆らうことなく波にのり続けた結果、はじめて出品をした美術展「モザール展」で奨励賞を受賞し、翌年も入選。その後、県展(沖縄県芸術文化祭)と沖展でも入選。水彩画の先生から「作品数もあるから個展を開催したらいいよ」と言われ、2014年に初の個展を開催しました。その初個展時にデパートリウボウ美術サロン、画廊企画担当者が来観し「来年度より美術サロンで個展を開催してみませんか?」と声がかかりました。
それ以降も個展開催の話がとんとん拍子に舞い込み、画家として知名度をあげていった千賀さんですが、「ぜんぶ偶然なんです」と謙虚な姿勢を忘れません。
一晩しか咲かないサガリバナを屏風絵に
「やんばる森のささやき」展の会場でひときわ目を引くのが、屏風2曲5隻(2m×10m)にまたがって描かれた作品「西表島の詩(うた)」。
「描いているところが見てみたい!」というリクエストが多かったこともあり、作品の残り10%はこの会場でライブパフォーマンスをしながら仕上げました。
「右から、本を読むように並べました」という屏風絵の西表島の詩には、西表島(いりおもてじま)を流れる浦内川(うらうちがわ)と仲良川(なからがわ)で千賀さんが見たサガリバナの風景や、そこに生息する生き物が描かれています。
一番右側の屏風に描かれているのは、夕方サガリバナの蕾が開花しようとする場面。その隣は、夜中に満開に咲くサガリバナ。
次の屏風は朝焼けのシーンで、だんだんとオレンジ色に染まる空の下でアカショウビンが鳴いています。その次の屏風には、朝になり、蝶々や蜂が蜜を吸いにきているシーンが描かれ、最後はサガリバナが水面に落ちていく…という流れになっています。
水墨画と水彩画の画風が織りなす世界
水墨画がベースになっている千賀さんの作風は、霧がかかっているような“にじみ”があるのが特徴的。淡いグラデーションが柔らかな雰囲気を醸し出しています。
「見て心惹かれたもの、感じたものを描いていくというのが、私のスタンスです。私が出会った“自然が生み出す神秘の瞬間”を、多くの方に見ていただけたら嬉しいです」
「やんばるの森のささやき」は6/25日(日)まで開催中。
ぜひ足を運んでみてください。
千賀ちか絵画展「やんばるの森のささやき」
2023年3月25日(土)〜6月25日(日)
The Moon Beach Museum Resort(ザ・ムーンビーチ ミュージアムリゾート)
Moon Seaside Gallery(ムーンビーチギャラリー)
住所/沖縄県国頭郡恩納村兼久1203
電話/098-965-1020
HP/https://chikasenga.com
沖縄CLIPフォトライター 舘 幸子
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