沖縄観光情報:使うほどに艶が増し、愛着がわく藤本健さんの木の器

使うほどに艶が増し、愛着がわく藤本健さんの木の器

post : 2014.05.24 12:00

 

南城市(なんじょうし)の緑豊かな場所に、

木工作家、藤本健さんのギャラリーとアトリエはあります。

いずれも自宅の敷地内。

 

白壁の小さなギャラリーの扉を開けると、

静かな美しさに満ちた器たちが並んでいました。


 

藤本さんは、東京の木工所で働いた後、13年前に沖縄へ移住。

それを機に独立し、オーダー家具やカトラリーを作っていました。

 

転機が訪れたのは3年前。

以前から興味のあった器を作ってみたら、

ぴしゃりとその魅力にはまったのだそうです。

 

「これまではお客さんの希望した家具を形にすることが仕事でした。

でも器作りは自分の表現したいものを形にできる。

やってみたら、性に合っていたんです」と笑う藤本さん。

 

器は主にガジュマルやアカギ、ホルトノキなど、沖縄の木材で作られます。


 

その器作りは独特のスタイル。

一般的には木を乾燥させてから成形しますが、

藤本さんは生木のまま仕上がりに近いところまで成形し、

それから乾燥させます。

 

すると、意図しないゆがみができたり、縮みができたり。

しっかり乾くまで完成形が見えない心もとなさはあるけれど、

逆にそれがおもしろいと言います。

 

人の手で生みだしたところと自然にゆだねたところ。

そのふたつが融合されて他にはない器が生まれていきます。


 

この3年間、木肌を残したナチュラルエッジの器や、

リムをチェーンソーで削ったものなど、

個性的な器を作ってきた藤本さん。

いま、主に力を入れているのは漆を1~2回塗った黒い器です。


 

木の箇所によって漆が染まりやすい部分と

そうでない部分があるため、

あえて塗りの回数を抑えることで、

木目がふわりと浮いたやわらかな表情になるのだそう。


 

なかには何も意図せず、

大まかに木を切り出した時に生まれたガタガタの切り口を、

あえてふちにしているものも。

 

「作ってみたらおもしろい表情になって。

作為と不作為の境目を探りながら、器に表現していきたいんです」


 

大胆な遊び心も、藤本さんの持ち味。

その手にかかると、木の穴や割れさえチャームポイントになります。

 

普通なら削られ、見向きもされない木の表情をあえて切り取った器。

目にするたびにくすっと笑ってしまう心ほどける器。


 

フリーカップは最終段階で

わざと軸をずらして削ることで、少し傾いたユニークな形に。

4色あり、赤、緑、黄、白の色漆が塗られています。


 

藤本さんの器を見ていると、

作ることを心から楽しんでいる様子がひしひしと伝わります。

両手でそっと包むと、その気持ちが移ったかのようにわくわくしてしまう。

 

食卓をきゅっと引き締める黒い器も、

穴のあいた器も、アンバランスなフリーカップも。

テーブルに登場すると会話がはずみ、

食事の時間をいっそう和やかにしてくれるはず。

 

 

斜面に建てられたギャラリーは、

藤本さんがデザイン・設計・施工したもの。

扉にたどりつくまで、おっかなびっくり坂を登るのも楽しみ!?のひとつです。

 

6月には同じ敷地内に、料理人の関根麻子さんが

旬の食材とお酒を楽しめる料理店「胃袋」をオープン予定。

藤本さんは器を提供します。

 

こちらの店も、デザインから施工まで手がけたというので、

思い入れはひとしおの様子。

 

「料理を盛った時の器の表情や、お客さんの反応が楽しみです。

そこからまた別の作品が生まれるかもしれない」

 

好奇心のおもむくままに、手が動くままに。

型にはまらない柔らかな心から生まれた器は、

これからもきっと、進化をとげていくに違いありません。

 

 

gallery k.(ギャラリー ケイテン)

住所/沖縄県南城市玉城字屋嘉部123‐1

営業時間/13時~17時

電話/090‐9781‐3481

営業日/金・土曜日

*営業日以外も、事前に連絡すればギャラリーに入れる場合も。

 

終了イベントです

◆ただいま、那覇市のGARB  DOMINGO(ガーブ ドミンゴ)にて、藤本さんの初個展を開催中です!

鉢、椀、フリーカップ、カトラリーなど最新作が並びます。

 

【藤本 健 木のうつわ展】

5月24日~6月1日(月・水曜日は休み)

10時~13時/15時~19時

GARB  DOMINGO(ガーブ ドミンゴ)

http://www.garbdomingo.com/blog/?cat=43

*個展期間中、gallery k.はクローズしています。

 

 

沖縄CLIPフォトライター 小野暁子

 

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Information

南城市玉城字屋嘉部123‐1