塩屋のウンガミ(海神祭)

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歴史文化

初回投稿日:2014.09.20
 最終更新日:2024.03.27

塩屋のウンガミ(海神祭)

沖縄北部の大宜味村塩屋(おおぎみそんしおや)で、

毎年、旧盆明けの猪の日に行われ続けている伝統行事ウンガミ(ウンジャミ)。

一言でいえば海神祭ですが、海だけでなく山の神様にも感謝を捧げる祭りです。


伝統行事ウンガミ

 

まず最初に塩屋湾沿いにある田港集落で祈願が行われ、

続いて2km先の屋古集落へとカゴに乗って移動。

それぞれの地域で、ノロ(ヌル)と神人(カミンシュ)

といわれる祭祀を司る方々が供物をお供えし、神事を行います。

 

神様にお供えしたあとは、ウサンデー(下げたお供えものをお裾分け)するのですが、

祭りを見守る地域のみなさんをはじめ、

観光にいらしたかたにもお裾分けをいただくことができました。

そのお気持ちに、心から「ありがたい」と思いました。


 

屋古の神屋(拝所)では、広場の中心に柱を立て、

地面には、芭蕉の葉が敷かれ、そのまわりを神人たちが

「ヨンコイ、ヨンコイ」と唱えながら、弓を持って7周します。

少し休憩したあと、白装束に着替えて再び5周します。

この数と、ヨンコイという唱えにも意味がありそうですね。

今度あらためて公民館に尋ねてみようと思います。


 

そのあとの神ウスイ(ハミウスイ)では、山の神様に向かって深く拝みます。

海の豊かさは山とも深く関係があるから、すべてに感謝ですね。

 

後方からは、ノロがススキの束で背中を祓います。

これらの神ウスイやヨンコイも、

塩屋のウンガミの行事でしか観ることができない光景です。


 

屋古から塩屋へ移動。

塩屋湾内で行われるハーリーのゴール地点が塩屋で、

スタート地点は、田港と屋古の間にあるフルガンサという場所になります。

 

まずはじめにスタートするのは、御願バーリー。

3集落(田港・屋古・塩屋)のハーリー船が競い合うのですが、

船の漕ぎ手となる男性だけが熱くなるのでなく、

各集落の女性たちもゴール地点で熱い声援を送りつづけます。

それも海に浸かりながら。

 

こんな光景、ほかでは見たことがありません。

彼女たちの熱気はこちらまでよく伝わってきました。

会場全体が一体感に包まれていきます。


 

塩屋湾をあとにして、国道58号線を越え、西海岸の兼久浜(かねくはま)へ。

ここから、古宇利島方向へ、神人が祈りを捧げます。

同日の同時刻、古宇利島でもウンガミ(ウンジャミ)が行われていて、

塩屋と古宇利島で一対となっているのだそうです。


 

国の重要無形民俗文化財でもある『塩屋のウンガミ』は、

昔ながらの姿をそのまま残して続けていて、

本来の祭りとは何かを垣間見せてくれます。

そこに見る人は惹かれるのかもしれませんね。

 

百聞は一見にしかず。ぜひ一度、見学をおすすめします。

沖縄の伝統行事を通じて、きっと何かを感じ取れるはずです。

桑村 ヒロシ(KUWA)

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