石垣島 ビーチクリーンをする人々

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歴史文化

初回投稿日:2023.11.22
 最終更新日:2024.03.27

石垣島 ビーチクリーンをする人々

大きな社会課題となっている海洋ゴミ問題。沖縄にも海洋ゴミは漂着し続けていて、ここ八重山諸島(やえやましょとう)でも、さまざまなグループや個人がビーチクリーンを行っています。

ビーチのごみ

季節によって、風向きで流れ着く場所が変わるのですが、人が手入れをしていない多くの自然浜にはほぼゴミがあります。ペットボトルや漁具や発泡スチロールが一番多いのですが、本当にあらゆるものが流れついていて、時には大きな家電なども漂着しています。石垣市環境課によると、石垣島に漂着するゴミは年間50トンだそう。
 
拾える状態のものならまだいいのですが、海上や陸に打ち上げられ長い間太陽光にさらされたプラゴミはどんどん細かくなっていって、マイクロプラスチックと呼ばれる、つかめないほど小さなものになってしまいます。それを海や浜の生物が食べてしまっているのが現状です。
 
観光でいらした方も、興味がある方はぜひビーチクリーンに参加してみてほしいです。
 

朝日を浴びながらビーチクリーン

私も都合がつく時はなるべく行きたいと思っています。最近参加したのは、白保(しらほ)の海に携わっている人たちのグループ「白保魚湧く海保全協議会」が毎月1日に白保の浜で行っているビーチクリーン。
 
島の東海岸のきれいな朝焼け
 
朝6時からととても早いけれど、石垣空港のすぐ南側、島の東海岸で行われるので、きれいな朝焼けと、水平線の向こうからのぼってくる太陽を眺められてとても気持ちがいいんです。この日も、車で向かっている時から明るくなってくる空がきれいで、海に着いた時には、こんな色を見せてくれました。

集めたたくさんのゴミ
 
こちらがこの日集まったゴミ。この日はめずらしく大きなゴミが少なめだったのですが、それでもゴミ袋に入るものだけで32袋分でした。ペットボトルは400本ほど。そして、「大船渡魚市場」と書かれた入れ物もありました。
 
6年前から毎月行われ、毎回参加している地元の小学生もいます。そして、近くの人だけでなく、市街地に住む人たちも参加しています。拾って分別をして約1時間。みなさん、仕事や学校の前に参加して、さくっと解散する姿がかっこいいです。
 
そして、実はここの海は、北半球最大のアオサンゴ群集がある海なんです。その見事なサンゴ礁の群落を見られるシュノーケルツアーもあるのでぜひ。

石垣島で一番大きな規模のビーチクリーンイベント 
こちらは、おそらく島で一番大きな規模のビーチクリーンイベントでのひとコマ。サーファーのみなさんを中心とした「海Loveネットワーク」の方々が2009年から毎年行っているもので、今年は3月に、島の最北端近くのビーチで行われ、島内外から200人ほどが参加しました。
 
平久保灯台が見えるビーチ
 
目の前に見えるのは平久保灯台です。
 
集めたたくさんのゴミ
 
拾った後の分別もまた大変な作業。だけど、島で行われるビーチクリーンに参加する人たちはいつもとても楽しそう。海や自然が好きで、次の世代も、その先もずっとこの美しい島の自然が残ってほしい。そんな思いを持った人たちが集まって、みなさん声をかけ合いながらとても明るく活動していて、実際私も参加するたびに本当に楽しくて、とても晴れやかな気持ちと充実感で帰路につきます。
 
本当は拾うゴミがないことがいいのであって、感じなくてもよい充実感なのですが…。

毎日ゴミ拾いを継続して1220日

ヒデさんと呼ばれる田中秀典さん
 
それから、ひとりで毎日ゴミ拾いをしている友人がいます。島の人たちからヒデさんと呼ばれる田中秀典さんは、2023年11月現在、毎日ごみ拾いを続けて1220日ほど。2020年の7月に始めたゴミ拾いは今年の7月で丸3年を過ぎ、海だけに限らず、街やどこかしらでゴミを拾うことを“アースクリーン”と呼んでいます。
 
ヒデさんのアクションに賛同し、同じ思いを持つ人たちをどんどん巻き込みながら、今ではゴミ拾いを仕事にまでしてしまっています。
 
ペットボトルだけにしぼって1万本拾った時の画像
 
これは、ヒデさんの企画で、ペットボトルだけにしぼって1万本拾った時のもの。そんなに広くない範囲で2時間かからずに集まってしまいました。
 
ヒデさんは今では、拾った海洋プラスチックをアップサイクルしてグッズをつくり販売もしています。それから、アースクリーンをツアーとしても行っていて、ヒデさんのアテンドで一緒に行くことができます。

そして、10月のハロウィンには、自分で拾った海洋ゴミでつくる衣装を身に纏ったファッションショーなどのイベント「石垣ハロウィン」も毎年開催されています。
 
ゴミが漂着する海岸  
ほかにも、日々ゴミ拾いをしている人が、石垣にも、ほかの島にもたくさんいます。
 
2050年には、海を泳ぐ魚よりも、漂うゴミの量の方が多くなるとも言われています。そして、海洋ゴミの8割は、街ででたものがなんらかの理由で海へ流れ出てしまったものとされています。
 
まずはそんな現状を知ってもらいたい。海のすぐそばに暮らし、その様子を目の当たりにしている私たちが、見ていることを伝えていけたらと思っています。

◆白保魚湧く海保全協議会 毎月1日のビーチクリーン
参加は申し込み不要/時間や場所を↓でチェックして集合
 
白保魚湧く海保全協議会 FB

◆縄文企画 サンライズアースクリーンツアー
https://jomontours.com/
 
ヒデさんインスタグラム
https://www.instagram.com/hide26.jomon/?hl=ja

笹本 真純

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