童話の世界に出てきそうな森の中の焼菓子の店『Himbeere菓子店』

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初回投稿日:2018.02.23
 最終更新日:2024.07.12

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琉球歴文化体験モニタープログラム

緋寒桜と沖縄そばとカフェで知られる本部町(もとぶちょう)の森の中に、童話の世界には出てきそうな、メルヘンな焼菓子店が2017年12月にオープンしました。ドイツやオーストリアの伝統菓子を中心に、沖縄の旬の食材を使った親しみやすい焼菓子を一つ一つ手作りしている『Himbeere 菓子店』です。

ベンチに寝る「ねこ」

本部町と今帰仁村(なきじんそん)を結ぶ伊豆味(いずみ)トンネルを本部方面から抜け出るとそこは亜熱帯の森の中。300mほど進んだところで左に折れて小道に入ると、なんぜこんな場所に焼菓子店があるのだろうと不思議な感じがするくらい、静かな場所にたどり着きます。

ベンチに寝る「ねこ」

緑滴るやんばるの森を探検して、偶然たどり着いた一軒家が、実は美味しい焼菓子のお店だった、という体験ができるだけでも足を運ぶ価値はありそうです。広い庭にはいつの間にか入り込んできたという人懐っこい猫が。お店で買ったお菓子をベンチに座ってムシャムシャ味わって、のんびりゆったり沖縄時間を過ごしてみるのも楽しそうですよ。

看板商品であるザッハトルテ

前置きが少し長くなりましたが、早速お菓子を紹介していきましょう。こちらはこの店一番の看板商品であるザッハトルテ(税別420円)です。オーナーパティシエの宿里真生さんはかつて、本格的なドイツやオーストリアの焼菓子を、神奈川県の『フレイ延齢堂』で学んできたのですが、思い出深いその店の味を、教えられたレシピを元に沖縄で再現したのがこのケーキ。どっしりした存在感と艶のある光沢、オリジナルのアンズジャムをチョコレート生地でサンドして、さらにコーティングした、大人のための甘いスイーツです。

タンカンとクランベリーとクリームチーズのケーキ

続いては、タンカンとクランベリーとクリームチーズのケーキ(税別250円)。本部町の特産品タンカンは沖縄の冬から春にかけて収穫される柑橘です。砂糖で煮たタンカンのピールとタンカンジャムの甘さが、クランベリーやクリームチーズの適度な酸味と奏でるハーモニーがなんとも言えません。地元の伊豆味で採れたタンカンのフレッシュジュースとピールを加えたアイシングがフレッシュ感を高めています。

ショコラとチェリーのケーキ

こちらは、ショコラとチェリーのケーキ(税別280円)。ビターなチョコレート生地に甘酸っぱいチェリーとクルミを加えた大人向けのケーキです。オーストリアではお馴染みのダックワーズ(メレンゲにアーモンドを混ぜた生地)がアクセントで、食感の違いも楽しめます。ちなみにカット売りしているケーキは、1週間前までに予約すればホールで用意してくれます。

フランボワーズとクリームチーズのクグロフ

花冠をかぶせたような褐色のケーキは、フランボワーズとクリームチーズのクグロフ(税別1,750円)。クグロフはドイツやオーストリアでも定番のお菓子。バターをたっぷり使った生地にはフランボアーズの甘酸っぱいジャムとクリームチーズが入っていて、さらにはレモン味のアイシングにフランボワーズキャンディとピスタチオをトッピング。ちょっとしたギフトにもぴったりです。

メレンゲの中にチョコクリームが入ったセコア

最後に紹介するのはメレンゲの中にチョコクリームが入ったセコアです。メレンゲ菓子というとサクサク、ホロホロした食感を思い浮かべますが、こちらはしっとり滑らかな舌触り。メレンゲがそれほど好きでない方にもおすすめです。宿里さんが師事していたフレイ延齢堂の鈴木廣明さんは日本を代表するメレンゲ細工の職人でもあったそうです。

お菓子

海外で修業を積んで、その後独学でオーストリアに伝わる細工技法を再現したというだけあってとても厳しい職人だったという鈴木さん。「事あるごとに試食するように言われ、感想を求められました。『作って、食べて、経験を積み上げて初めて上手くなる』が口癖でした」と、宿里さんが修業時代を振り返ってくれました。

「面接の時には『女性は長続きしないから採用したくないんだけど、沖縄からわざわざ修行したいと来てくれたんだから断るわけにはいけない』と私を受け入れてくれたんです」と語る口元は、懐かしそうに嬉しそうにほころんでいました。

Himbeere 菓子店の店内

お父さんがフランス料理の料理人ということもあって、小学校2年生頃から、ホットケーキやクッキーを作りはじめたという宿里さん。高校を卒業すると、「現場で経験を積む方が身につくから」と専門学校には行かずに地元のホテルに就職し、ペストリー部門で働きはじめたそうです。その後、お菓子作りを本格的に学びたいと、首都圏の洋菓子屋さんをネットで調べて、門を叩いたのがフレイ延齢堂だったのだそう。

「お店に入った時、お菓子の種類の多さに驚かされました。見たこともないケーキもたくさんあって、ぜひ学びたいと思ったんです。最初に食べさせてくれたのがザッハトルテで、あまりの美味しさに、修行したいという気持ちが固まりました」。それから4年、お店を離れ沖縄にUターンする時には、「これで、北海道から沖縄まで全国に自分の味を伝えてくれる弟子ができた」と鈴木さんも嬉しそうに語ってくれたそうです。

Himbeere 菓子店の皆さん

ホテルとは違って、オレンジピールも艶出しのナパージュも、ジャムも、ほとんどすべて一から作るというやり方は、生まれ育った故郷にも受け継がれているようです。「自分の店を持つのなら、大好きだった伊豆味の森で」と決めていたというこの場所で、保育園から高校までずっと一緒だったという幼馴染みの2人とともに、美味しいお菓子が焼かれています。

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Himbeere菓子店

住所 /
沖縄県本部町伊豆味3268
電話 /
0980-47-5500
営業時間 /
10:00~17:00(無くなり次第終了)
定休日 /
不定休
サイト /
https://www.himbeere.shop/
Instagram /
https://www.instagram.com/himbeere_2017/

沖縄CLIP編集部

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