「コーヒーにこんな世界があったなんて!」今まで気づかなかった魅力に出会えるTAMAGUSUKU COFFEE ROASTERS。壺屋近くの住宅街に誕生した路地裏カフェ。

「コーヒーにこんな世界があったなんて!」今まで気づかなかった魅力に出会えるTAMAGUSUKU COFFEE ROASTERS。壺屋近くの住宅街に誕生した路地裏カフェ。

Reading Material

食べる

初回投稿日:2016.01.21
 最終更新日:2024.08.29

最終更新日:2024.08.29

「コーヒーにこんな世界があったなんて!」今まで気づかなかった魅力に出会えるTAMAGUSUKU COFFEE ROASTERS。壺屋近くの住宅街に誕生した路地裏カフェ。 クリップする

琉球歴文化体験モニタープログラム

TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERSが2015年12月10日に初めてドアを開けた時、個性的なお店がひしめく「カフェ王国」沖縄に、新しい歴史が刻まれた。
 
観光スポットとして賑わう公設市場から歩いておよそ2分。ひっそりした「下町」に誕生したこの店は、コーヒーフリークのみならず、「コーヒーよりも紅茶でしょ」という人たちの間でも話題になっている。
 
コーヒーを淹れる
 
実際、店主のヤフネアキヒロさんが淹れてくれたカメルーン産のスペシャルティコーヒーからは、ナッツのような香りとバターのようなふくよかでなめらかな舌触りとともに、コーヒーが本来持っている心地よい「甘み」が感じられた。
 
カメルーン産のスペシャルティコーヒー
 
生産地の土壌や気候、そして生産者のキャラクターが反映されたハイクオリティなコーヒーを世間ではスペシャルティコーヒーと呼ぶけれど、それは要するに飲んでおいしいコーヒーのことだ。ただし、おいしいかどうかは人それぞれの主観に関わるもの。だから、あるコーヒーがスペシャルティコーヒーと見なされるには一定以上の判断基準を持った人たちが「これはおいしい」と太鼓判を押すことが必要になるだろう。

コーヒー豆
 
TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERSで飲むことができるのは8種類ほどのコーヒーだ。たとえば今だと、先ほど「ナッツのような香りがする」と紹介した「カメルーン・カプラミ・ロングベリー」や、浅煎りにすると柑橘や林檎のようなフルーティーさを楽しめる「グアテマラSHBアンティグア・ラ・アゾテア」などを楽しめる。
 
TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERSの入り口
 
沖縄に来て、「こういう暮らしもあったんだ!」とため息をつく人は少なくないが、この店に来て、「コーヒーにこんな世界があったんだ」と新しい趣味に出会えた時のようなときめく気分になる人は少なくないだろう。それはちょうど、ワインやシングルモルトウイスキーに見いだすことのできる大人の愉悦とも重なり合う。
 
TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERSの店内
 
かといって、(ここが肝心なのだけれど)この店は決して、マニアあるいはスノッブのための店ではない。「人とのつながりがあってこそ、この僕でも開店できました」と語るヤフネさんが、友人の藤田俊次さん(カフェのご近所のあるガーブドミンゴのオーナー)、亀谷修身さん(ご自宅の近所にある虹亀商店さんのオーナー)など、たくさんの仲間たちと一緒につくりあげた空間は、シュッとしたおしゃれさと人のほんわかとした温もりが同居した居心地のいい仕上がりになっている。
 
TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERSの店内
 
この場所が醸しだす空気感は明らかに東京のそれとは違う沖縄的なもの。「コーヒー屋って豆腐屋と同じで街に馴染んでこそのものだと思うんですよ」と語るヤフネさんが開店に先立って思い描いたのは、流行に敏感な人種だけでなく、近所に住む沖縄の「おばあ」にも市場に勤める「にーにー」にも利用してもらえる「地域のお店」。
そういう点でこの店のオープンは沖縄のカフェ文化に新たな歴史を刻んだと言えるだろう。
 
コーヒー豆とお菓子
 
「いろんな年齢層、いろんな所得水準の人が住んでいるこのエリアに出店するにあたって最後まで悩んだのは焙煎の深浅の位置決めと価格設定だった」という言葉通り、試行錯誤は最後まで続いた。そして、最終的に決められた価格と味からは「来てほしい人たち」の立場になって判断されたのだろうことが想像できる。
選りすぐりの農園の豆を手間暇かけた少量焙煎でハンドメイドしていることを考えたら一杯400円(アイスは450円)は破格のものだろう。肝心の味の方もコーヒー豆の個性を十分楽しめるし、誰もが飲みやすいと思えるようなものに仕上がっている。
おいしいコーヒーを手頃な価格で楽しめるTAMAGUSUKU COFFEE ROASTERSはストライクゾーンが広くて敷居が低いコーヒー専門店といった感じだ。
 
店主のヤフネアキヒロさん
 
グッズ
 
コーヒーカップ
 
メニュー
 
珈琲時間をひとりでゆったり楽しみたい人にも、コーヒーの魅力をいろいろ伝えたいヤフネさんとおいしいコーヒーについて語り合いたいという人にも、あるいはその両方を望む人にもフレンドリーなレイアウト。壁面やカウンターの上に置かれたヤフネさんのコレクトアイテム。一つ一つ素材も形も違う不揃いの椅子。中米を思わせる独特の色調のピンクとコーヒーの葉っぱを思わせる緑の壁。
人と人の間に橋をかけるコーヒーの魅力を、思う存分楽しめるこの店には、観光ガイドに出てきそうなステレオタイプな沖縄は一つも見つからないけれど、そこに漂う空気そのものものが圧倒的な存在感でもって沖縄的だった。
公設市場や壺屋あたりは散歩にもぴったりな街まーい(街歩き)のコース。ひと息つきたくなった時にぜひ訪ねてみてはいかがだろうか。
 

関連する記事

TAMAGUSUKU COFFEE ROASTERS

住所 /
沖縄県那覇市松尾2-19-39 グリーンハイツ那覇202
電話 /
098-988-4566
営業時間 /
火・水・木:10:30~17:00
土・日  : 9:30~17:00
定休日 /
月・金
HP /
http://tamacoroa.com
Instagram /
https://www.instagram.com/tamagusuku_coffee_roasters/

沖縄CLIP編集部

同じカテゴリーの記事

琉球歴文化体験モニタープログラム