沖縄の隠れ家的離島、北大東島
沖縄の隠れ家的離島、北大東島
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あそぶ
初回投稿日:2016.08.11
最終更新日:2024.04.12
最終更新日:2024.04.12
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「どこかに隠れ家的な離島ってありませんか?」と聞かれたら、北大東島(きただいとうじま)の名を挙げるだろう。那覇空港から飛行機で1時間15分、泊港からフェリーで15時間、沖縄本島の東へ360kmの場所にある。空から眺めるとオカリナの形をしているロマンチックなこの島は、海の孤島と呼ぶにふさわしい。
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北大東島での楽しみは海釣りとスナック。「太平洋のど真ん中でタンカーから釣り糸を垂らしているような」贅沢さを味わえる釣りと、素朴で朗らかな島の人に混じって島酒とカラオケで夜を明かす小さなスナック。広大な海や星降る夜空と小さな酒場。真反対のサイズ感が否が応でも宇宙の偉大さと人間のちっぽけさを実感させてくれる。
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島の観光スポットはお世辞にも豊富とは言えない。が、おすすめしたいのは「燐鉱石貯蔵庫跡」とその周辺に残る石積み家屋の「遺跡」群、そして「民族資料館」。燐鉱石貯蔵庫跡は大正時代の開拓時代に発見され、1950年頃まで島の中心的な産業として栄えた燐鉱石採掘の名残を今に伝える不思議な雰囲気の場所で、民俗資料館では開拓者の島、北大東島の歴史や文化、自然について短時間で知ることができる。中でも方言の比較に関する展示資料は結構面白い。
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最盛期は4,000人まで膨らんだこの島の人口は現在660人。自転車に乗って島を散歩すると、見かけるのは人よりも猫やヤギの方が多かったりする。
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見方によっては寂しい島かもしれないが、逆に人が少ないからこそ、そして観光スポットがないことからこそ、北大東島は魅力的なのだと言えるだろう。朝の「出勤」時間帯、正午のお昼ご飯どき、夕方の帰宅時間。それ以外は車がほとんど走っていない島の道を、一人自転車に乗って気ままに走っていると、島を独り占めしている気分がして心地よい。
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風になびくサトウキビ畑を横目に見ながら、シャカシャカとペダルを踏む。沿道からは菜の花が黄色い歓声を送ってくれるし、草むらには野良猫が潜んで闖入者を怪訝そうな目で睨んでいたりする。だから、ひとりぼっちな気がしない。
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この島はじゃがいもの島としても知られている。基幹産業のさとうきびは連作すると病気になりやすいので、じゃがいもを輪作作物として数年前から栽培を奨励しているのだという。この島のじゃがいもは海風が運ぶミネラルを多く取り入れているので、味が濃い。なおかつ、孤島なので運送費がかかるため、島の外ではなかなかありつけないレアな特産品として脚光を浴びている。実際食べてみたが、塩を振らずにそのまま食べてもしっかりした味がした。北大東島のじゃがいもはなかなか手に入らないが、じゃがいも焼酎「ぽてちゅう」や5つの離島の特産品を集めて作った「おくなわカレー」の原料に使われているのでぜひご賞味あれ。
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島を自転車で走っていると、珍しものに遭遇できるのも魅力の一つ。現役で使われている様子の古いトラクター。よく見ると、戦後のアメリカ統治時代の名残か、知る人ぞ知るマッセイファーガソンの旧車だ。
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続いて、こちらは松の木とユニークな配色の家屋の組み合わせ。北大東島は八丈島からの移民が多く、言葉も伝統行事も沖縄の他の地域とは違っているらしい。集落の要所には御嶽(うたき)の代わりに社(やしろ)が建てらいるのも北大東ならではだろう。
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沖縄の隠れ家的離島、北大東島は映画『旅立ちの島唄~十五の春』の主人公の遠距離恋愛の相手が住む島でもある。南大東島と併せてぜひ、海の孤島北大東島の独特の素朴な世界感を味わってみてほしい。
北大東島
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