日本最西端の島、与那国島で絶景に出会う旅

与那国（よなぐに）島は、日本の最西端に位置し、東京からは約2,000キロメートルを超える場所にあります。お隣の台湾までは、約111キロメートルという近さに位置しているため、空気の澄んだ日には台湾が見えることもあるそうです。

南ぬ島石垣（ぱいぬしまいしがき）空港から与那国空港までは、プロペラ機で約35分です。50席ほどの小型プロペラ機に乗り込むと、ちょっとした冒険の旅に出かける気分になりワクワクします。

いくつもの島々から成り立つ竹富町とは異なり、与那国町は１つの島で与那国町です。与那国島は、黒島（くろしま）、水納島（みんなしま）、竹富島（たけとみしま）のような隆起したサンゴ礁、琉球石灰岩(琉球層群)が表面を覆う島と違い、表面を第三紀堆積岩、つまり八重山層群の砂岩や泥岩が覆う面積が大きいので印象が異なります。そのため、島の景色からはダイナミックで力強い印象を受けます。

与那国島のシンボルとも言われる立神岩（たちがみいわ）は、南東部にある景勝地、サンニヌ台の南の海中にそびえ立ち、荒波に揉まれてもびくともしないその堂々たる存在感は、見る人を圧倒します。立神岩は、与那国島の言葉、どぅなんむぬいで「とぅんがん」というそうです。
 

空港から車で約20分ほどの場所に位置する軍艦岩（ぐんかんいわ）は、平たい土台の岩の中央に四角い岩がそびえ立ち、その姿が軍艦に見えることから軍艦岩と呼ばれています。サンニヌ台展望台から眺めることができます。
 

クブラバリを通り過ぎた少し先に位置する久部良フリシは、その独特なランドスケープと目の前に広がる群青色の海と岩に砕ける海水がなんとも言えない異空間を演出していて、まるで違う星に降り立ってしまったかのような不思議な感覚になる場所です。



岩に開いた無数の穴は、タフォニといい、砂岩の塩類風化だそうです。



「潮風、海水を浴びては直射日光に晒されることを繰り返し、長い年月の中で自然が作り出した造形です。砂岩に含まれた海水は日光に晒されることでミネラル分が結晶化し、内側から少しずつ砂岩を破壊していくと考えられています。それが表面に、あのような形で現れるのです。日本語では蜂の巣状風化といいます」（与那国町教育委員、村松稔・むらまつ みのる）
 

北牧場内にある馬鼻崎（うまばなさき）は、馬の鼻のように高く切り立った様子が名前の由来となったそうです。馬や牛が自由に放牧されている北牧場内を車で横断した先にあるこの場所には常に海からの風が吹き抜け、断崖絶壁のすぐそばでは、与那国馬がのどかに牧草を食んでいます。この場所から広大な東シナ海の向こうに見える水平線を眺めていると、大自然の中、自分の存在の小ささを体感します。（牧場内は足場が悪いため、ツアーなどでの入場をお勧めします）


 

与那国島の圧倒的な自然界の存在には、訪れるたびに心を奪われ、畏敬の念を抱きます。そして、それはきっと人が当たり前に持っていた感情だったのではないかと気づかされます。

さあ、まだ見たことのない景色に出会うため、プロペラ機に乗って冒険の旅に出かけよう！