子どもたちの思い出に残るおやつを。優しい味の焼きドーナツ「HYGGE」

子どもたちの思い出に残るおやつを。優しい味の焼きドーナツ「HYGGE」

Reading Material

食べる

初回投稿日:2022.05.03
 最終更新日:2024.03.27

最終更新日:2024.03.27

子どもたちの思い出に残るおやつを。優しい味の焼きドーナツ「HYGGE」 クリップする

琉球歴文化体験モニタープログラム

近所の子どもたちにとって思い出のおやつに

 

子どものころ、お金を握りしめて通いつめたお菓子屋さん。誰かのお土産でもらうと嬉しかった大好物のおやつ。大人になってもふと蘇る、そんな思い出の味はありませんか?

HYGGE(ヒュッゲ)

那覇空港から車で約20分、宜野湾市大山にある「HYGGE(ヒュッゲ)」は、「近所の子どもたちにとって思い出のおやつになってほしい」という思いのもと、2016年にオープンした焼きドーナツのお店。

店名の「HYGGE」とは、デンマーク語で、“ほっとする、居心地のいい、幸せな時間、空間”といったニュアンスの意味。「私たちのドーナツで誰かをHYGGEにできたら嬉しい」という思いが込められています。

HYGGE(ヒュッゲ)

今年で6周年。オープン当初は、家族に手を引かれてドーナツを選びに来ていた小学生が、今では成長して自分のお小遣いで買い物に訪れるように。変わらずそこにあるお店、変わらずそこにある味。「HYGGE」は、そんな幸せな思い出が続いていくドーナツショップです。

オーナーは、関西出身の石田環(めぐる)さん、聖美(きよみ)さんご夫妻。アンティーク家具店やヴィンテージ雑貨店などが並び、異国情緒な雰囲気が漂うこの宜野湾市大山という地に魅せられ、移住したことがすべての始まりでした。

HYGGE(ヒュッゲ)

実はお2人には本職があり、環さんはデザイナー、聖美さんは編集者。フリーランスとしてそれぞれ活動する中で、「自分たちの核になるような拠点を作りたい」と場所を探していたところ、「ここだ!」と直感でピンときたのが、この物件だったのだとか。

何をするかわからない、でも大好きな大山で地域に根差した何かを始めたいという思いは強く、まずはこの物件を借りることに。ちょうど、息子さんの礼智(らいち)くんが3歳になったころのことでした。

オーナーの石田環(めぐる)

お父さんが作った優しい味の焼きドーナツ

 

「あるときふと、僕が小さいころ母親が買ってきてくれたドーナツのことを思い出したんです。あのドーナツ、大好きだったなぁって。それで、息子にもおいしいドーナツを食べさせてあげたいと思い立って、生まれて初めて自分で作ってみたんです。

いろんなところでレシピを調べて、そのとおりに作った揚げドーナツ。これがすごくまずくて(笑)。でも息子は、おいしい!って喜んで食べてくれたんですよね。たぶん、初めてお父さんが作ってくれたおやつが嬉しくて、そう言ってくれたんだろうけど、僕もすごく嬉しくて。それから、おいしいドーナツを作ろう、この場所でドーナツ屋をやってみようということになりました」

HYGGE(ヒュッゲ)の店内

「子どもが産まれる前は、二人とも仕事、仕事で、ちゃんとした食事をすることがなかった」と、聖美さん。「子どもが産まれてから食に目覚めたんです。できる限り、体の中に添加物は入れさせたくないから、毎日の食事の原料にはすごくこだわりました。

でも、世の中のお菓子のレシピを見てみると、とにかくいろいろなものが入っていて、砂糖なんてこんなに入っていたの?って驚くほど。それで、子供たちが安心して食べられるお菓子を作ろうと、研究に研究を重ねて、保存料は一切使わず、きび糖も少なめ、揚げずに焼くドーナツができあがりました」


焼くドーナツ

こだわりは独自の粉ブレンドと沖縄産ホエイ

 

「HYGGE」のドーナツは、食べてほっとする、素朴で優しい味。甘さ控えめながら、味わい深く、後を引くおいしさがあります。生地のベースとなるのは、国産の小麦粉と全粒粉、玄米粉を独自にブレンドしたもの。環さんいわく、「この3つの粉の配合率が、うちの一番の特徴」だとか。

「何度も何度も試して、これだ!という配合率を決めました。砂糖に関しても、どれくらい入れるか、おいしいかおいしくないかというギリギリの線を探って、商品化に至っています。デザインも編集も引き算。ドーナツのレシピも、同じ引いていく作業だなと感じましたね」

焼くドーナツ

もう一つの特徴は、牛乳や豆乳の代わりに、ヨーグルトやチーズを作る際にできる水分、ホエイ(乳清)を使用していること。ホエイは、沖縄市のプラザハウスショッピングセンター内にあるチーズ専門店「CHEESEANISTA」が沖縄県産牛のミルクから生産したものを特別に仕入れて使用しています。

そもそもホエイに着目したきっかけは、「CHEESEANISTA」オーナーのパメラさんが作るケーキ。聖美さんが、その味に感激してレシピを尋ねたところ、おいしさの秘密はホエイにあると教えてもらったのだとか。

それから、「HYGGE」ドーナツの大きな魅力である「もっちりしているのにふんわり」という独自の食感が生み出されていったそうです。

焼くドーナツ

定番商品は、プレーン、くるみ、クランベリー、チョコ、チェダーチーズ、玄米の6種類。中でも一番人気は、玄米粉と波照間島産のタカキビをブレンドした、グルテンフリーの玄米ドーナツです。

オープン当初の玄米ドーナツは、全粒粉と玄米粉で作ったものでしたが、「小麦を使わないドーナツを作ってほしい」というお客様の声が多かったこともあり、グルテンフリーのドーナツに挑戦することに。

試作を重ねるうち、「沖縄雑穀生産者組合」の組合員さんが生産した波照間島のタカキビと出会い、玄米との相性が抜群だったことから、タカキビを使った現在の玄米ドーナツに改良されました。

以前の玄米ドーナツより、ぐんと甘みと風味が増し、香ばしさがふわっと湧き出る仕上がりに。噛むほどに、雑穀の味わいが増す新感覚のドーナツが誕生したのです。

焼くドーナツとコーヒー

「HYGGE」のドーナツは、そのまま食べて素材の味を楽しめるのはもちろん、食べ方のアレンジも自在。ヨーグルトやはちみつ、チョコなどをトッピングしたり、ベーグルのようにカットしてベーコンや野菜をサンドしたり、自分流にカスタマイズできる喜びがあります。

シンプルに素朴に、「引き算」で作られているからこその楽しみ。食べる人が自由に遊べるドーナツなんです。

フローズンドーナツをオンラインショップで販売

 

実は、フローズンドーナツにしても、とびきりおいしいんです。自宅で凍らせたドーナツを常温で自然解凍し、半解凍になったら冷たいまま食べてみてください。ひんやりとした触感と優しい甘さが新鮮。オーブントースターでカリッと焼き直すのもおすすめです。

フローズンドーナツを詰め合わせにしたセットはオンラインショップでも購入可能。また、宜野湾市の「ふるさと納税」の返礼品としても登録されています。

焼くドーナツ

おいしいドーナツの味をパンケーキミックスで

 

環さんが「ドーナツからさらに引き算した」と語るのは、2021年に販売スタートした2種類のパンケーキミックス。原材料の配合は、ドーナツの生地のベースとほぼ同じ。「小麦のパンケーキミックス」は、国産小麦粉、国産玄米粉、国産全粒粉、「玄米のパンケーキミックス」は、国産玄米粉、国産タカキビを独自にブレンド。加えて、それぞれにアルミフリーのベーキングパウダーが入っています。

玄米のパンケーキミックス

「パッケージの裏にレシピの材料として、卵、きび砂糖、水もしくは無糖ヨーグルトと、その分量を書いていますが、あくまで目安なので、すべてその通りに入れなくていいし、何かで代用してもいい。

お好みのものをご自身で自由に足せるように開発したパンケーキミックスです。スコーンにしても粉の風味がしっかり楽しめて、すごくおいしいですよ。お野菜を入れてケークサレを作っている、というお客様もいらっしゃいます」

コーヒーカップ

洗練された雰囲気の中に、あたたかな配色が映える店内は、環さんがデザイン。北欧の雑貨や文房具のデザインを手掛けてきた環さんの感性が伝わる、まさにHYGGEな空間です。

イートインは、長年にわたる北欧の旅でセレクションしたというかわいいソーサーやカップで。ドリンクは、ていねいにハンドドリップで淹れたコーヒーはもちろん、しっかり完熟させたバナナの甘みとコーヒーのほどよい苦みが絶妙なバナナコーヒーシェイクや、聖美さん自家製の梅ソーダなど、こだわりのメニューを提供。

那覇市にお店を構える「あぐろ焙煎珈琲店」と試作を繰り返し、HYGGEのドーナツに合う味を追求したオリジナルブレンドの豆も販売しています。

バナナコーヒーシェイク

コーヒー豆

お店のロゴや、商品のパッケージデザインは、すべてお二人がご自身で手掛けたもの。ロゴは、ドーナツの輪の中で手をつなぐ、環さん、聖美さん、礼智くん、家族3人を表しているそうです。

家族3人から始まったHYGGEな輪。その輪は、人から人へとつながり、これからさらに素敵な広がりを見せてくれそうです。

オーナーの石田環(めぐる)

「そもそもは、『地域の子供たちが安心して食べられるおやつ』というコンセプトで始めましたが、最近はそれ以外のいろいろな面でお店が育ってきたなと実感します。成長した子供たちが出入りするようになって、大人もたくさん集まって、同業種も異業種も仕事仲間が出会える場になって。モノを売るお店としてだけ存在するのではなく、だんだん地域の小さなコミュニティの場所になれてきたのかなと。この6年間、大山という土地に育ててもらってきたと思うし、これからもっと場所として育っていけたらいいなと思います。そのために何ができるかって考えると、特別なことじゃなくて、ここに居続ける、ここで休まずお店を開け続けることが大事なのかなと。お店を開ければコミュニケーションが生まれて、人が集まれば空間になっていく。その繰り返しを日々大事に続けていけたらいいなと思います」

HYGGE(ヒュッゲ)の店内
 

HYGGE

住所 /
沖縄県宜野湾市大山2-23-1
電話 /
090-1947-0002
営業時間 /
12:00~18:00(売り切れ次第終了)
定休日 /
日・月曜
Webサイト /
https://hyggeokinawa.thebase.in/
Instagram /
https://instagram.com/hyggeokinawa?igshid=YmMyMTA2M2Y=
ふるさと納税 /
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/47205/4951293

岡部 徳枝

同じカテゴリーの記事

琉球歴文化体験モニタープログラム