伝統芸能好きに味わってほしい沖縄そば。崎濱製麺(旧店舗名:すぅ~ぎぃ~じぃ)
伝統芸能好きに味わってほしい沖縄そば。崎濱製麺(旧店舗名:すぅ~ぎぃ~じぃ)
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食べる
初回投稿日:2020.10.29
最終更新日:2024.08.07
最終更新日:2024.08.07
那覇市の「国際通り」から程近い閑静な住宅地に、手間隙を惜しまずに作られた沖縄そばを食べさせてくれるお店があります。その名は「すぅ~ぎぃ~じぃ」。
沖縄そばにはお店ごとにこだわりがあり、味の違いを食べくらべする楽しみがあります。地元に暮らすウチナーンチュには、それぞれにお気に入りのそば屋が二つ三つはるくらい沖縄にはたくさんの沖縄そばの専門店が軒を連ねています。すぅ~ぎぃ~じぃのこだわりは、ご主人の崎濱秀貴(さきはま・ひでたか)さんが自ら打った手作りの麺と、沖縄では珍しい昆布出汁のスープです。
お店をオープンさせる前、崎濱さんは地元の製粉会社の試作室に通いつめ、自分が提供したいと心から思える麺の作り方を追求してきました。結果、たどり着いたのは、3種類の小麦粉をブレンドした平たい麺。コシがあって、噛めばぷつんと切れてくれる。上品な艶のある、ツルツルした舌触り。ほんのり漂う小麦の香り。舌から伝わるほのかな甘み。打ったあと、最低3日は寝かせた熟成麺。そこには独特の味の世界が広がっています。
いちばんのおすすめは、すぅ~ぎぃ~じぃそば。平麺にすっきりしたスープがよく合っています。透明なスープは豚肩肉、豚三枚肉、そして昆布出汁が味のベース。麺とスープの相性が味の命であることは、沖縄そばの世界でも同じです。「ご飯の後のお茶のように、食べ終えた後、残ったスープをすーっと最後まで飲んでもらえたら嬉しいです」。崎濱さんはそういう思いでスープを追求してきました。
「最初は麺にスープが負けていたんです。塩や醤油で味を濃くするという手もありますが、自分の場合はそれをせず、トッピングするお肉の旨味でバラスを取ることにしました」。いくつかの「意外な食材」を隠し味にしているという香り高いスープは、砂糖、醤油、みりんで味付けした炙り肉がアクセントになって、自己主張の強い麺と、おいしさのハーモニーを奏でています。
おいしさの世界は沖縄そばだけにとどまりません。ぜひ試していただきたいのは、マグロの中落ち丼と麩ジューシーです。
こちらは、マグロの中落ち丼。那覇市にある「泊いゆまち」の魚屋さんに足を運び続けて、ようやく提供してもらえるようになったという新鮮なマグロの中落ちを、贅沢に味わえます。合わせ醤油をベースにしたタレとゴマ、白髪ネギ、海苔のコンビネーションがマグロの旨味を引き立てています。
そして、麩ジューシー。チャンプルーでお馴染みのお麩は崎濱さんの大好きな食材でもあります。なかでも、鰹節をからめて炒めたシンプルなイリチー(炒めもの)はお気に入りのお酒のお供でした。ジューシー(沖縄の炊き込みご飯)に合わせてみたら、ぴったりはまったそうです。昆布出汁で炊いたジューシーは、鰹節が隠し味。実際に味わっていると、上品な味わいがクセになりそう。
丼物はおそばとセットで楽しめます。セットには、だし巻き卵、ゴーヤーチャンプルー、もずく酢、お新香など、季節の付け合わせがついてきます。一つひとつに手間がかけられていることが、見た目からも伝わってきます。
もともと住居として使われていた店内は、温もりのある畳間なので、親戚の家に遊びにきたようなゆったりした気分を味わえます。
沖縄県立芸術大学で伝統芸能を学んだあと、国立劇場おきなわの実演家養成の研修を三年間受けてきた崎濱さんは、三線の師範でもあります。タイミングが合えば、生演奏を聞かせてくれるかもしれません。「組踊などの沖縄の伝統芸能は日本や中国との交流を通じて、外の文化を取り入れながら育ってきました。味の世界も同じだと思うんです。伝統を継承していくためには、進化も必要かと…」。音の世界と味の世界。二つの世界を生きている崎濱さんが、これからどんな進化を遂げていくのか楽しみです。
※2024年4月1日、恩納村に移転し、店舗名も変更になりました。こちらの記事は取材当時のものです。
崎濱製麺(旧店舗名:すぅ~ぎぃ~じぃ)※2024年4月1日、恩納村に移転しました。
- 住所 /
- 沖縄県国頭郡恩納村山田847
- 電話 /
- 098-988-7004
- サイト /
- https://www.sugizi.jp
- instagram /
- https://www.instagram.com/sakihamasuba/
https://www.instagram.com/okinawasoba.sakihamaseimen/
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