那覇市久茂地 今宵の宴は「ぼたん屋」

那覇市久茂地 今宵の宴は「ぼたん屋」

Reading Material

食べる

初回投稿日:2015.01.31
 最終更新日:2024.05.24

最終更新日:2024.05.24

那覇市久茂地 今宵の宴は「ぼたん屋」 クリップする

琉球歴文化体験モニタープログラム

1月某日。

県庁前〜美栄橋(みえばし)間のゆいレールと国際通りにはさまれたエリアは、良い飲み屋が密集した飲んべえのオアシス。またの名を「久茂地(くもじ)」といいます。今夜の宴に選んだ「ぼたん屋」さんは、この久茂地の一等地に位置する、人生経験豊富な大将がつくる”男の料理”居酒屋です。


久茂地の一等地に位置しています。ゆいレール県庁前駅、美栄橋駅どちともから徒歩5分程度。

 

ところで、「居酒屋」って、細やかなアレンジとミックスが得意な日本人ならではの業態だと思うんです。ぼたん屋はまさに居酒屋中の居酒屋。大将の宮城信綱さんが、オーストラリアの日本食レストランや名古屋の料亭などでの経験を通して、体当たりで習得してきた世界の味覚を、和食に結実させたオリジナルメニューが魅力です。なので当然、お通しにテキトーな枝豆が出てくることはありません。


まずはビールで乾杯。今日のお通しは、ナスの揚げ浸しと白菜のポタージュ

 

2012年にぼたん屋をオープンする直前は、那覇一の歓楽街 松山の高級小料理屋で4年間、好きにやらせてもらっていたという宮城さん。「クラブと小料理屋が合体した接待用の値段のない店で、ママには『とにかくいい素材を買ってきなさい』と言われた」という、料理人にとっては夢のような環境から独立したのは、「多くの人に良いものを食べてもらいたい」という思いからでした。


脂ののった旬の青魚がてらてら光る棒鮨。いつか、一本丸ごと食べてみたい!

 

旬のお魚の炙り棒鮨と、トリュフとチーズの茶碗蒸しは、ぼたん屋の看板メニュー。

 

日本酒に合う一品が好き。魚と和食が好き。そして、ご実家はなんと本格的な八重山料理が味わえる首里の老舗「潭亭」。、、、な宮城さんがオーストラリアに飛び出したことから生まれたフュージョン料理です。


トリュフとチーズの茶碗蒸しは、「かつおだし」と「チーズ」という、洋の東西の発酵パワーが炸裂した究極の旨味料理。昨日食べたばかりなのに、想像するだけでまたもうすぐに口元が緩んでしかたがありません。

 

24歳で渡豪したとき、到着した日の宿も予約していなかったのに、タコ焼きの鉄板だけはしっかり持って行き、シドニーの空港で「これはなんだ?」といぶかしまれたという四方山話はさておき(笑)。


店主 宮城信綱さん

 

持ち前の人好きな性格で、さまざまな国から集まった料理人と友達になり、大根のかつらむきで尊敬の眼差しを集めたり、フランス人にロールキャベツを食べさせ「初めて食べた」と言われて驚いたり、イタリア人に「イタリアンドレッシングをつくって」と頼んだら「そんなものはない」と言われたり、韓国人からキムチのつくり方を教わったり。日本食レストランの経営も経験した11年の武者修行で、「日本食ってすごいんだなと実感した」という宮城さん。


天ぷらは季節の県産野菜で。ヒゲまで一緒にサックサクに揚がったヤングコーンの天ぷらなんて初めて!

 

帰国と同時に、改めて正統な和食を学び、力をつけたい、と、YOU TUBEで見て、一方的に師事していたという「板さん」なる人物に、「給料はいらないから見習いをさせてください」という内容の長いメールを書いて名古屋でさらなる修行の日々を始めます。

 

このとき、宮城さんは34歳。34歳って、「これから、もうひと攻め」を始めてもいい年齢なんだなと、勇気をもらえるお話です。

 

ともあれ、実践で培った技術の"穴"を埋めるように基礎をつくったからこそ、バリエーションに富んだ食材を、自由自在に「酒の肴」に変身させることができるんですね。こちらの想像が追いつかないクリエイティビティを楽しみたくて、何度も足を運んでしまうのです。


和食の修行で魚の目利きとなった宮城さんが選んだ「ミーバイ」のマース煮。高級魚として有名なミーバイは20種類以上あり、宮城さんのイチオシは「アラミーバイ」だそうです。

 

さて、もうお気づきかとは思いますが、このお店の魅力は、料理もさることながら、宮城さんが軽快な語り口で吐露してくれる、「大将の体当たり人生譚」です。なので、初回はぜひとも、カウンターに陣取って大将との会話を楽しむことをおすすめします。「どうしてオーストラリアに行こうと思ったんですか?」って、聞いてみたくないですか? ぜひ聞いてみてください。また、英語もいけますので、外国人に日本の居酒屋なるものを自慢したいときにもうってつけのお店です。


出汁が滴り落ちそうなほどジューシーな名物出汁巻き卵

 

18時にお店に入り、飲んで食べて満たされたころには店内は満席。サラリーマンのグループや常連と思しきおひとりさま、2人組の女性たちが、さまざまに、それぞれに、金曜日の夜を楽しんでいました。珍味系のバナナ酵母の日本酒を飲み干して店を出ると、酔街 久茂地は宵の口。


常時10種類ほどの日本酒が、すべて1合680円で飲めます。

 

なんでもないような幸せをかみしめながら、ハッピーフライデーは2軒目のワインビストロへと続くのでした。

ぼたん屋

住所 /
沖縄県那覇市牧志1-13-2 佐渡山ビル1F
電話 /
098-867-4387
営業時間 /
17:30~23:00(ラストオーダー22:00)
定休日 /
日曜日、祝祭日
駐車場 /
なし
Webサイト /
https://www.botanya.jp/

沖縄CLIP編集部

同じカテゴリーの記事

琉球歴文化体験モニタープログラム