やちむんの新しい“琉球スタンダード”の旗手『陶房眞喜屋』

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初回投稿日:2016.05.31
 最終更新日:2024.05.31

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伸びやかな藍色の唐草紋様が、白化粧の端整な器のフォルムに美しく映えるやちむん。
 
工房兼ギャラリー『陶房眞喜屋』
 
この器を作っているのは、南城(なんじょう)市に工房兼ギャラリーを構える、『陶房眞喜屋』の眞喜屋修(まきや・おさむ)さん。のどかな田園風景がひろがる佐敷(さしき)平野。佐敷富士とよばれるスクナムイの麓にあります。
 
方言でマカイとよばれる碗シリーズ
 
多目的カップとしても人気の蕎麦猪口に、方言でマカイとよばれる碗シリーズ。古民家を改装したギャラリーには、所狭しと“眞喜屋ワールド”がひろがります。
 
方言でマカイとよばれる碗シリーズ
 
いきいきとした唐草紋様やリズミカルな筆さばきの絵付けに、重ねられた器たちを真上から眺めているだけでも、心が躍ります。眞喜屋さんは、やちむん界の重鎮・大嶺實清(おおみね・じっせい)氏に師事、2001年には生まれ育った首里の城下町で工房を開き、2013年にこの地に移ってきました。
 
コーヒーカップ
 
呉須(ごす)ともいわれるコバルトの深いブルーが印象的なコーヒーカップ。一見、ポップに見える水玉模様も、実は「点打ち」という古典的な技法によるものなのだそう。
 
白亜のシーサー
 
ギャラリーの一角に迫力満点に鎮座しているのは白亜のシーサー。こういうモダンなシーサーはめずらしいですよね。シーサーのルーツにもつながる古代オリエントやシルクロードを思わせるエキゾチックな魅力にあふれています。
 
白亜のシーサーと大きな壺
 
こちらのシーサーが座ってらっしゃるのは、なんと押入れを改装した空間。まるで李朝白磁を思わせる大きな壺は、素朴な土の温もりの印象が強いやちむんとは、また違った風合いを見せています。
 
やちむん
 
「沖縄県立芸大で陶芸を勉強していた学生時代、やちむんの古いコバルトの絵付けを見せられて、あまりの美しさというかその線の力強さにハッとさせられたんです」と語る眞喜屋さん。それ以来、沖縄の古陶に魅せられ続けているのだといいます。さらに、何かの折に大阪の東洋陶磁美術館で見た、李朝の壺に深い感銘を受けたことが、今の眞喜屋さんの源流のひとつとなっているのだそうです。
 
抱瓶とおちょこ
 
琉球王朝時代、沖縄のやちむんは、朝鮮をはじめ、中国南部や東南アジアとの盛んな交流の中で影響を受けながら、独特のスタイルを築いたといわれます。琉球の古陶へのロマン。そして、その背景に見え隠れする李朝やアジアの造詣への憧れ。眞喜屋さんのひくロクロの上では、そんな悠久の時間が回り続けているのかもしれません。
 
古民家を改装したギャラリーのそばに佇むのが眞喜屋さんの工房と自宅
 
古民家を改装したギャラリーのそばに佇むのが眞喜屋さんの工房と自宅です。やちむんを始めてやがて25年。3年前にこの地に移ってきたのは、静かな環境の中で自分のペースで、余計なことに神経を使うことなく、作ることに集中したかったからだと話します。納得のいかないものを100作るより、よいものを10作りたい。ストイックに物づくりに向き合う彼らしい言葉です。
 
工房での眞喜屋さん
 
眞喜屋さんは、古陶の写しや再現にも取り組んでいます。「一体、どういう手の動かし方をしたらこんな風にひけるんだろう?って何度も何度も、真似てロクロを引くのですが、引けば引くほど、昔の陶工の人たちの技術には驚かされるばかりなんですよ」。
 
眞喜屋さんと、奥さんの昌美さん
 
陶房眞喜屋の作陶は、奥さんの昌美さんとの二人三脚で行われます。この“柔和で穏やか”なお二人の人柄が作風そのものでもあるのですね。
 
陶房眞喜屋のやちむん
 
おおらかでありながら、ディテールまで端整に仕上げられた秀逸さが際立つ、陶房眞喜屋のやちむん。和にも洋にも馴染む、洗練された質感は、王朝時代の“薫陶”を受けながら、現代にふさわしい“新しい琉球スタンダード”として、根をおろしはじめています。
 

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陶房眞喜屋

住所 /
南城市佐敷字屋比久447
電話 /
098-947-1320
営業時間 /
10時00分~17時00分

沖縄CLIP編集部

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