ふんわり、もっちり、皮までおいしい!天然酵母の食パン専門店「天食米果」
ふんわり、もっちり、皮までおいしい!天然酵母の食パン専門店「天食米果」
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食べる
初回投稿日:2015.10.04
最終更新日:2024.08.23
最終更新日:2024.08.23
お気に入りのパン屋があるというだけで、日々が豊かに幸せになる。パンが食べたいな、というときに思い浮かぶ店があるだけで、ぽっとあたたかい気持ちが胸に満ちていく。おまけにその店が近すぎず、遠すぎず、わざわざ行く距離にあったりすると、その道中までが楽しくて、ドライブしながら鼻歌なんかもするりと出てしまう。
天食米果(あましょくべいか)は、那覇のおとなり、浦添市(うらそえし)の住宅街にひっそりたたずむパン屋さん。小さな店構えだけれど、とびきりおいしい天然酵母の食パン専門店だ。
カランコロン。扉を開けると、オレンジ色の灯りのなかでふわりと香ばしく甘い香りに包まれる。すぐ目の前にある小さなショーケースには、山形のアーチを描いたこんがりきつね色の食パンがちょこんと、すまし顔で並んでいる。
ふと横を見ると、初めて天食米果に来た友人が目をきらきら輝かせていた。「うんうん、わかる。毎回わたしもそうなるもの」。
粉のおいしさを味わえるシンプルなもの、アイシングがくるくるかけられたの、メロンパンのようなクッキー生地をかぶせたの。同じ食パンでも表情はさまざま。高さも大きさも違う食パンが14、15種類も並んでいる。
ショーケースは3段あって、1段目はぎゅうとかみしめるほど粉の味わいが広がる食事パン。2段目はクリームやあんこをはさんだ甘いパン。そして一番下がナッツやドライフルーツ入りで甘さ控えめ、そのままでも食事に合わせてもいいパン。
全部買いしめたい……なんて、じぃーっと見つめ、どれにしようか頭がぐるぐる回ってしまうのもいつものこと。
なかでも、季節限定メニューは見逃せない。ちょうど今は「スイートポテト」と「かぼちゃカスタード」が仲よく肩を並べていた。なんて魅力的なラインナップ。口の中に秋の味覚が広がっていく。
天食米果の食パンは、九州産の小麦粉を使い、レーズンで起こした自家製天然酵母でじっくり焼き上げている。ゆっくり発酵させ、時間をかけて旨みを引き出しているので、香り豊かでもちもちとした食感。
「うちのパンは皮がおいしいんですよ」とは、パン作りも接客もひとりでこなすオーナーの赤嶺温子(あかみねあつこ)さん。くりくりっとした瞳で、いつも穏やかな笑顔で迎えてくれる。店のあったかーい雰囲気は、温子さんの人柄そのものだ。
温子さんはパンの皮が大好き。だから、皮がフルーティーな味わいになるように配合を考え、香ばしい風味を楽しめるように焼き色はしっかりとつける。ここの食パンは、外側までちゃんとおいしく味わえるのだ。
そんな温子さんに教えてもらった、おすすめの切り方が十字切り。たいてい半斤を3種類ずつ買うのだが、それを縦と横にナイフを入れて十字に切ってもらう。するとかなり厚みのある4つに切り分けられる。
いわく、「口に入れたときに、皮がいっぱい食べられる切り方」なのだそう(さすが皮にこだわりが!)。それにこの切り方だと、厚みがある分、かみごたえがあって、よりパンのふんわり感ともっちり感を楽しめる。くいしんぼうにはもってこいの切り方なのだ。
だから、目の前でパンが切られるときにはおのずと手元にクギヅケになる。迷うことなくナイフが動く様子を見つめながら、大きく口をあけてかぶりつく瞬間を想像してしまう。なんならもう、口がもごもご動いているかもしれない。
そんな状態からパンを手渡してもらうから、店の扉を開けるときには食べたい気持ちが最高潮。胸に抱えたパンのことで頭がいっぱいだ。このまま運転なんて気もそぞろで余計あぶない。そもそも、おいしい誘惑に勝ったためしなんてないっ。
秒殺で白旗をあげ、車の扉を開けて座ると同時に、がさごそ包みをひらき、1切れ持って端からぱくり。みっちりとした密度の中にひそむもちもち感。この味、この食感。十字切り万歳!
かみしめるごとに幸せの味が広がっていく。気づくと、となりで友人がにかにかあきれ顔で笑っていた。だって、このおいしさ、一度知ったら家に帰るまで待ちきれないんだもの。
天食米果
- 住所 /
- 沖縄県浦添市伊租1丁目9−12
- TEL /
- 080-2710-4627
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