琉球漆器を普段使いに。琉球最古の老舗「角萬漆器【那覇】」

琉球漆器を普段使いに。琉球最古の老舗「角萬漆器【那覇】」

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初回投稿日:2023.04.05
 最終更新日:2024.04.19

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「お手入れが難しそう」「お祝いのシーンで使う特別なもの」「日常使いには適さない」など、漆器に対してイメージをお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?


角萬漆器の琉球漆器皿

角萬漆器の琉球漆器お椀

「実は漆器はとても実用的で、普段使いができる器なんです」こう話すのは、那覇市前島(まえじま)にある「角萬漆器(かくまんしっき)」6代目の嘉手納 豪(かでな ごう)さんです。角萬漆器は創業120年を超える琉球漆器最古の老舗店。ライフスタイルの変化から近年は需要が落ち込み、全国的に漆器の生産額は最盛期と比べて80%も減少しているそうですが、角萬漆器は、そんな苦しい業界の中でも伝統を守りつつ新しいことにチャレンジされています。


角萬漆器の琉球漆器制作

漆器は、木や紙に漆(うるし)の木から取れる樹液を塗り重ねて作る工芸品。陶器やガラスに比べて軽く、しっとりと手に馴染む感覚が魅力です。輪島塗や会津漆器、越前漆器などが全国的に有名ですが、角萬漆器はその品質の高さから、過去には伊勢神宮や明治神宮へ漆器の奉納し、東京赤坂迎賓館展示用工芸品への寄贈をしてきました。


角萬漆器の琉球漆器の制作過程

他の産地の漆器との違いは、朱の鮮やかさや、堆錦(ついきん)という立体的表現ができる技法を用いるところで、木地(きじ)に沖縄県内で自生する木材を使用するところも琉球漆器の大きな特徴だそうです。

角萬漆器では主に、日本の木材の中で最も軽い素材と言われている「デイゴ」と、高級木材として知られている「シタマキ(エゴノキ)」を使い、漆器を作ります。


角萬漆器の琉球漆器木地

器の形によって向いている木地・向いていない木地があり、軽くてゆがみや変形に強いデイゴは重箱や喰籠、東道盆などの大きめの漆器に、よく乾燥させたシタマギは木の収縮や亀裂などが少なく、お椀や銘々皿、菓子器などに使うことが多いそうです。


角萬漆器の模様

角萬漆器の器

「酢の物や油ものには適さない」と思われがちな漆器ですが、実は水分、アルカリ性、酸性、アルコール、すべてのものに耐えられるほど丈夫です。自然の素材としてそこまで耐えられる素材は他にはないそうで、お手入れ方法も決して難しくはありません。スポンジに普段お使いの中性洗剤をつけ、いつものように水やお湯で洗い、その後、水滴をしっかりと拭き取れば大丈夫です。水滴を残したままにしておくと、水道水に含まれているカルキ分が残ってしまい、白くなってしまうことがあるからです。漆器は上手に使えば一生使えるので、洗った後は丁寧に吹き上げましょう。


角萬漆器のアクセサリー

また角萬漆器では、2014年にジュエリーブランド「Nui Mun(ヌイムン)」を立ち上げ、漆のアクセサリーも制作・販売しています。「ヌイムン」は沖縄の言葉で「塗りもの」「漆を塗る人」のこと。「琉球漆器は高い、購入するハードルが高いという先入観があると思います。ですから、現代のライフスタイルに合った方法を提案しました。漆器を使ったことのない人たちが最初に手にする入り口として、気軽に身に付けられるアクセサリーが良いかもしれないと思いました」と嘉手納さん。


角萬漆器のネックレス

漆のアクセサリーは、小さくても存在感があります。水分に強く、優しい素材で温もりが感じられます。軽い付け心地が魅力的で、付けていることを忘れてしまうほど。高価と思われがちな琉球漆器の購入を躊躇してしまう方も、アクセサリーなら手に取りやすいはずです。Nui Munのアクセサリーを購入し、漆の魅力を体験した方からは「今はアクセサリーしか買えないけれど、いつか琉球漆器も集めてみたい」という声をいただいているそうです。


角萬漆器店内
写真提供 角萬漆器

琉球王国時代に大きな発展を遂げた琉球漆器と、伝統に新たな発想を取り込んだNui Mun。過去、現在、そして未来を繋ぐ角萬漆器のアイテムに、あなたも一度触れてみませんか?
 

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角萬漆器

住所 /
沖縄県那覇市首里山川町1-54-1
電話 /
098-943-3810
営業時間 /
10:00〜18:00
定休日 /
日曜・年始・旧盆
サイト /
https://kakuman.jp/

舘 幸子(たち さちこ)

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