那覇にひっそりと息づく羽衣伝説ゆかりの地「スグルクガー(シグルクガー)」
那覇にひっそりと息づく羽衣伝説ゆかりの地「スグルクガー(シグルクガー)」
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初回投稿日:2020.02.10
最終更新日:2024.06.12
最終更新日:2024.06.12
那覇市北部に位置する新都心地区にある「新都心公園」は、昭和62 年(1987年)に米軍軍用地が全面返還されたことを契機に開発整備された広大な公園です。
平成13年(2001年)7月から総合公園として供用が開始された公園の面積は共用部分122,075.71㎡、全体で18haあり、「中央広場ゾーン」、「水のみちゾーン」、「花のみちゾーン」、「沖縄の杜ゾーン」の4つのゾーンから構成されています。
とくに緑豊かな沖縄の杜ゾーンは、沖縄在来の樹木や拝所、お墓などの文化財があり、自然と歴史文化に触れることができるエリアです。
沖縄の杜ゾーンと佐川急便(浦添営業所)さんのあいだに通る遊歩道を歩くと、フェンスに門扉がついているところがあります。
門扉を入り、ゆるやかな坂を下ったところに「スグルクガー」「シグルクガー」「天降りガー」と呼ばれるが湧水源があります。
「スグルクガー」の語尾「ガー(カー)」とは沖縄のことばで、湧水や井戸のことです。
街の喧騒から隠れるように水を湛えるスグルクガーには、天女の羽衣伝説が伝わっています。
1713年に編纂された琉球国最初の地誌『琉球国由来記』にある伝説「銘苅子(めかるしー/めかるしい)」では、銘苅子と天女が出会った「銘苅原(めかるばら)に井泉有り」とあり、井泉とはスグルクガーのことではないかと言われています。
300年の歴史を誇る沖縄独特の歌舞劇、組踊(くみおどり)の創始者・玉城朝薫(たまぐすく・ちょうくん)は、スグルクガーに伝わる羽衣伝説をモチーフに組踊「銘苅子(めかるしー/めかるしい)」を創作したと伝えられています。
羽衣伝説のあらすじは次の通りです。
銘苅原(めかるばら)にある井泉で沐浴中の天女を見掛けた銘苅子は、天女の羽衣を隠してしまいます。羽衣を失って天界に戻ることができなくなった天女に、羽衣が見つかるまで自分のところに滞在するよう説き伏せた銘苅子は天女を家に連れ帰ります。やがて夫婦となった銘苅子と天女のあいだには、女の子と男の子が産まれました。ある日、女の子が弟をあやす子守唄から、天女は羽衣の隠し場所を知ります。羽衣を得た天女は、泣く泣く我が子たちと別れを告げて天界へ昇っていきました。
銘苅子と天女のあいだに産まれた女の子は、のちに尚真王(しょうしんおう)の夫人となったという説も伝えられています。
中山王(ちゅうざんおう)が首里城の龍樋(りゅうひ)の水と味比べをしたという逸話も伝えられる銘泉スグルクガー。旱魃の際も湧水は絶えることなく住民の生活を支えたカー、現在は拝所として大切にされています。
那覇という都心のなかに、人目を忍ぶようにひっそりと羽衣伝説が息づくスグルクガー。周辺には樹木や水辺が自然のまま残されているところも多々あります。ご参拝の際は十分お気をつけて。
スグルクガー(シグルクガー)
- 住所 /
- 沖縄県那覇市銘苅2丁目10 新都心公園「沖縄の杜」内
- 電話 /
- 098-951-3225(公園建設課)
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