斎場御嶽の行き帰りにヤチムンを探すなら『しびらんか』(南城市)
斎場御嶽の行き帰りにヤチムンを探すなら『しびらんか』(南城市)
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初回投稿日:2018.06.07
最終更新日:2024.07.24
最終更新日:2024.07.24
連日多くの観光客が訪れる世界遺産「斎場御嶽(せーふぁうたき)」。その玄関口、南城(なんじょう)市がんじゅう駅のすぐお隣にあるのが陶器・雑貨セレクトショップ『しびらんか』です。
久高島そば家の敷地内に佇む、シックな黒壁の小さな四角い箱のような建物が『しびらんか』。外壁に掛けられたたくさんのヤチムンのお皿が目印です。
ヤチムン(陶器)・紅型・漆と、ショップ内には、地元南城市を中心に県内の作家さん15名ほどの作品が並びます。
オーナーの川平一枝(かわひら・かずえ)さんが、子育てもひと段落した2年前にオープン。お店の名前にもなっている〝しびらんか〟とは漢字で書くと〝紫微鑾駕〟。
まるで南国の花か鳥の名前ような美しい響きですが、実は、沖縄の古い習わしで、木造建築の棟木に掲げられる除災招福の護符のこと。
建築関係の仕事を営むご主人の協力もあって誕生したこのお店に、ウチナーンチュらしい深い思いの込められたネーミングです。壁の紅型は、南城市で活躍する縄トモコさんの作品です。
赤い龍が首里(しゅり)城の絢爛さを彷彿させる迫力あふれる抱瓶(ダチビン/沖縄の伝統的な酒器)は、南城市玉城(たまぐすく)に工房を構える『樋の龍(ひのりゅう)』さんの作品。
柔らかなフォルムが美しい〝チューカー(急須)〟は南城市のお隣、南風原(はえばる)町の作家・金城彩子(きんじょう・あやこ)さんの作品。「女性ならではの繊細で凛とした感じがたまらなく好きなの。それでいてどこかモダンで品がある」と川平さん。オープン当初からずっと扱っているお気に入りの作家さんの一人だそう。
まるで絵本から出てきたような色使いが楽しいマグカップたちも、実は、先ほどの抱瓶の作者、工房樋の龍さんによるもの。彼の作品は県内でも三ヶ所ほどでしか扱っておらず、ここしびらんかではその作品の多彩さが味わえますよ。
使い勝手の良いシンンプルな白い器はヤチムンファンならずとも人気。土が半乾きの時に一気に彫り上げるヤチムン独特の伝統的な技法〝線彫(せんぼり)〟が白地に映えます。糸満(いとまん)市にある工房『南端pottery』さんの作品です。
ちょこんとお行儀よく整列した姿がなんとも愛らしいこの小さな作品たちは、箸置きや水滴。真ん中の水滴、真上からの眺めですがなんの形だかわかりますか?そう、先にもご紹介したお酒を入れる抱瓶の水滴です!左側のまるで落雁ような箸置きは、線彫を得意とする南端potteryさんのもの。着物の帯留めにぴったり!と買われていかれたお客さんもあるのだとか。
「私自身、器のプロでもなんでもないの。日々の暮らしの中で、自分が大事に使っていきたくなるようなもの、ときめくものを、ベテラン・新人の作家さんこだわらずに集めて置いています」と川平さん。沖縄で生まれ育ち、主婦をしながら生活の中でたくさん器に触れてきた女性が今、自分の感性と経験からの目線で選ぶヤチムンたち。それは目利きバイヤーさんのいるセレクトショップやファッション性・流行を強く意識した店とは、またひと味もふた味も違う、素(す)の沖縄らしさを垣間見るような感覚です。
しびらんかでは、ヤチムンの他にも漆や紅型の作品たちに出会えます。南城市のお隣、八重瀬(やえせ)町にある「工房ぬりトン」のアクセサリーはどれも沖縄の木から生まれたものに漆が施されています。普段使いで楽しめる紅型のバッグやポーチも、県内4工房のアイテムが並びます。
「最近はね、地元のお客様が増えたのも嬉しいの。本土にいる方へ送るものを探しにとか、自分用にとか・・・。一緒にあれこれ選んでいる時がいちばん楽しいかな」。川平さんとの何気ないおしゃべりや、彼女のセレクトした作品たちを手に取るごとに感じる、おおらかな心地よさ。お店のある南部という土地柄も相まってか、素朴でのどかなひとときです。
陶器・雑貨 しびらんか
- 住所 /
- 沖縄県南城市知念久手堅455−1
- 電話 /
- 098-988-0303
- 営業時間 /
- 10時00分~17時00分
- 定休日 /
- 火・水
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