陶芸家・中村かおりさん/前編

陶芸家・中村かおりさん/前編

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歴史文化

初回投稿日:2014.11.25
 最終更新日:2024.09.02

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つるりとした肌ざわり。降り積もった新雪のような白。

両手で包むとほのかにひんやりとして、その薄さゆえに儚げで。

陶芸家、中村かおりさんの器は女性らしい色合いとフォルム。

いまや県内でも引っ張りだこの器は、どのようにうまれたのでしょう。

 

陶芸の世界に入ったのはいつからですか?

 

「沖縄県立芸術大学に入学してからです。

でも実は陶芸コースを選んだのは軽い気持ちで(笑)」

 

そうなんですか!?

 

「小学生から工作が大好きで、

高校まではずっと絵を描いていました。

でも絵はいつでも描けるから

大学では何か技術を身につけようと思って」

 

そこで陶芸を選んだんですね。

入学後はすぐに陶芸の魅力に惹かれたんでしょうか。

 

「それが伝統工芸の授業ばかりで

思い描いていたものと違ってがく然としました。

茶碗を100個ひく授業など

同じ形を作れたらいいようなところがあって、

芸術的な発想がいらないなら

彫刻コースに転入するって思っていました(笑)」

 

わ、大胆な決断ですね(笑)

 

「でも2年生になり、中国の『薄胎(はくたい)』

という磁器を見た時に衝撃を受けました。

それは卵の殻のように薄いもので、

『器って薄くてもいいんだ』と驚いて。

陶芸に可能性を感じはじめたんです」


作品

 

新しい扉が開いた瞬間ですね。

それで沖縄では珍しい「磁器」を作っているんでしょうか。

 

「はい。その頃、鋳込み(いこみ)という技法にも出合って

自分に合った表現法が見つかっていきました。

陶芸という概念があるからこそ、

薄くて軽いものを作ったときに

何これって驚く面白さがあるなと」

 

やはり「薄さ」に惹かれたんですか?

 

「儚い感じがありますよね。当時、世を儚んでたから(笑)」

 

伝統工芸の授業ばかりだったからですか!?

 

「でも、儚いからかこそ『在る』ということが

強調されるのではないかと思っています。

生きていることだって当たり前じゃない。

儚いものに触れることで、

いつか欠けたり壊れるかもという緊張感を持ちながら

今を大切にしてほしいというメッセージを伝えられたらって」

 

薄さにそんな想い入れがあったんですね。

つるりとした手触りもいいなと思います。

 

「貝殻の表面みたいな

さらさらとした感じを目指しています」


 

全てひっくるめて、女性らしい作品ですよね。

可愛らしさの中にも凛とした部分がある。

思わず手に取ってみたくなります。

 

「可愛いもの好きなんです。レースとか大好き(笑)」

 

だから、モチーフも可愛らしいんですね。

好きなモチーフはありますか?

 

「花鳥風月ですね。

うつろいやすいものに心ひかれるところが

日本人だなって思います」


 

白の色合いも魅力的です。

青すぎず黄みがかっているわけでもなく。

強さと儚さが一体になっているような。

 

「白にはこだわりましたよ~。

抜けるような白を表現したいと思っていて。

光にかざすと透ける感じが好みです」

 

透けないものもあるんですか?

 

「磁器といっても組成はさまざまで、

薄くしても透けないものもあります。

デザインによって色合いを調整しているんですよ」

 

 

薄くて軽やかで、女性のやわらかな手に

しっくりなじむ中村さんの器。

磁器に惹かれたのも、薄さにも白さにもこだわりがあって

ますます好きになりました。

 

後編は、最も思い入れのある器についてのお話です。

 

つづく

◆中村かおり(petit papillon/プチ パピヨン)

 

○器を購入できる店

GARB DOMINGO

https://www.garbdomingo.com/

 

mofgmona

http://mofgmona.com/

 

Yuna

http://www.yuna-kuru.com/

 

茶太郎

http://cafe-chataro.com/

 

yacchi&moon

http://yacchimoon.ti-da.net/

 

海想

http://www.kaisou.com/index.html

 

青空

http://gajumarumiyako.ti-da.net/

 

FRAME WORK LIFE

https://framework-okinawa.com/

 

※こちらの情報は2014年11月25日現在のものです。最新の情報は直接お店にお問い合わせください。

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沖縄CLIP編集部

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