導かれて、やんばる。

導かれて、やんばる。

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初回投稿日:2020.01.03
 最終更新日:2024.03.27

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沖縄で暮らしていると、「導かれた」という言葉を聞くことがあります。「どうしてこんなところで?」という場所で出会う人、道に迷ったがために見ることのできた美しい景色、行きたかったお店が臨時休業で別のお店に行ったからこそ経験できた嬉しいできごと。

偶然のようで偶然ではないような、そんな喜びを語るとき、「導かれた」という表現をする人が多いような気がします。


シダ

出会う土地も人も、そうした「ご縁」に突き動かされるものなのかと思うと、旅の楽しみは、「ご縁に身を委ねてみる」ところにあるように思います。とりわけ沖縄は、そんな旅のスタイルが似合っている。予期していないところにぽろりと舞い降りる感動が多い。

予定を立てていても、辿り着けない場所、出会えない人はいる。そんなときはご縁がなかったと思って次に期待しよう、とワクワクを募らせる。それがいい気がしています。

かくいう私も、10年ほど前は「今回の旅では絶対ココに行く! 行けないなんて嫌だ! なんのための旅だ!」なんて騒いでいたけれど、「まあまあ、そんなに焦らないでも。必要ならその時期がくるよ」と、沖縄から教えられたような気がします。


シダ

そんな私が2019年に「導かれた」と感じた土地があります。沖縄本島北部地域の「山原(やんばる)」。那覇市に住む私にとって、やんばるは、なかなか頻繁には出かけない場所。それがお仕事のご縁が重なり、2019年はたくさんの時間をやんばるで過ごしました。


シダ

やんばるは、豊かな森林が残る自然が美しい土地。2016年「やんばる国立公園」に指定され、2020年夏には、世界自然遺産への登録も見込まれています。


通称「ブロッコリーの森」

やんばるでは、さまざまな場所を巡り、その自然をたっぷり体感しました。もこもことしたイタジイの木が立ち並ぶ、通称「ブロッコリーの森」。橋から下を覗きこむと、絵画を描いたように美しい木々の形状が見えました。


シダ

森の中を歩いたのは、ちょうど梅雨の時期。雨を吸って立ちのぼる土と木の香り、水滴が輝く植物、降りそそぐセミの声、遠くから響くヤンバルクイナの鳴き声。


シダ

くるんと丸まったシダやヒカゲヘゴの新芽、湧き水で湿った岩の苔、ゴウゴウと流れる滝。「ああ、森が生きている!」と無駄に何度も叫んでしまう、興奮の大自然。ウリボウ(猪の赤ちゃん)が、草陰からじーっとこっちを見つめているなんて場面にも遭遇しました。


苔

ふわふわと華麗に飛ぶリュウキュウハグロトンボも発見。エメラルドグリーンに輝く細い体と、黒い羽根、初めて見たその姿に、惚れ惚れ。


リュウキュウハグロトンボ

沖縄本島で最大規模のマングローブが生育している慶佐次川エリアも訪ねました。ここで、マングローブは総称であって植物の名前ではないこと、慶佐次川エリアは、オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギから構成されているヒルギ林であることを知るのでした。そして、ヒルギが、かわいい花を咲かせることも。


マングローブ

ヒルギの花

国頭村安波で見た、県指定天然記念物のサキシマスオウノキ。推定樹齢200年。曲がりくねった根が神秘的。


サキシマスオウノキ

ひーひー言いながら登った「くがに岳」。やっとたどり着いた展望台からの絶景。全方位に、靄がかかる雄大な山。雲の上にいるような幻想的な景色に言葉を失いました。


やんばるの森

もともとは海が大好きで、訪れた沖縄。2019年、やんばるの森の息吹を感じ、山に抱かれた沖縄の姿を体感できたことは、大きな喜びとなりました。

導かれて移住3年目。やっぱり沖縄が好き。その愛しい景色を辿る旅は、まだまだ続きます。

2020年、沖縄に訪れる皆さんも、たくさんの「好き」と出会えますように。

岡部 徳枝

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