ゆるーい感じがここちよい、夏を告げる宮古島の海神祭

ゆるーい感じがここちよい、夏を告げる宮古島の海神祭

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歴史文化

初回投稿日:2015.07.03
 最終更新日:2024.07.31

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海神祭(ハーリー)
大会会場に漕ぎ出す実行委員の爬竜船(はりゅうせん)。
 
梅雨明けを告げる行事として沖縄各地で親しまれている海神祭。ハーレー、またはハーリーとも呼ばれる爬竜船(はりゅうせん)競漕が観る人にとってはメインイベントです。

 
海神祭は旧暦5月4日(ユッカヌヒー)に一年間の航海安全と大漁を願って開催される伝統的なもの。人と海との結びつきがとても強かった昔の暮らしを今に伝える行事。沖縄の文化を知る上でも見逃せないイベントです。

地元の男子高生。
 
女子高生も負けてはいません。ただし、出だしから笑顔。ゆる~い感じがなんとも言えないです。
 
糸満や南城市の奥武島(おうじま)などの本島南部や本島北部の大宜味村塩屋集落で開催されている海神祭は県外の沖縄ファンの間でも知られています。ここ宮古地方でも各集落の漁港や海岸で多種多様なかたちで開催されています。

 
今回お邪魔したのは地域ぐるみのイベントとして愛されている布干堂(ぬのほしどう)の海神祭。漁師だけではなく、サーファー、ダイビングショップや飲食店のスタッフ、高校生などいろんなチームが参加します。最近では漁師よりもダイビングショップのスタッフの参加数の方が多いのだとか。内地からの移住者の参加者も年々増えてるみたいです。


 
メインイベントのハーリー競技に先立って、ツカサンマ(司母)と呼ばれるカミンチュ(神人)とともに主催者のみなさんが集落内に点在する御嶽(うたき)とよばれている祈りの空間を巡って、行事の無事を祈願します。布干堂地区では4つの御嶽を周ったあとに漁港で御願(うがん:お祈りのこと)を済ませ、会場のパイナガマビーチに移って祭の準備が始まります。


実行委員に杯を進める布干堂船主組合の知念秀夫(ちねん・ひでお)組合長。25年ほど前から海神祭に関わってきたそうです。「みんなが一丸になって海神祭を盛り立てる姿が毎年たまらない」と笑顔で語ってくれました。
 
準備も終わってひと段落。やがて、実行委員を務める布干堂船首組合のメンバーと二人のツカサンマが海に向かって、御願を済ませてしばらくすると、待ちに待ったハーリー競技が始まります。

 
 
会場には保育園の子どもたちや親子連れ、おじいちゃんやおばあちゃんまで勢揃い。今年は平日に当たったので、小中高生の姿は参加者以外に見当たりませんが、各自が親戚や顔なじみの参加選手に歓声を送っています。
 
代表選手が船首から飛び降りて、先に砂浜を踏んだチームが勝ち。
 
バランスを崩して転覆する直前のワンショット。
 
「ゴーヘイ」 の勇ましい掛け声を響かせて、ドラを打ち鳴らしながら、 爬龍船で競いあいます。その勇壮な姿は、子どもだけでなく、地元に住むみんなの憧れの的だったそうです。
 
そうはいっても、宮古島の海神祭の特徴は、ほのぼのとしているところ。「勝ち負けよりも参加して顔を合わせることのほうが大切!」という、ゆる~い感じが観る人の心もなごませてくれます。
 
大漁旗で「正装」した漁船。いつもよりも晴れがましい姿がまぶしいです。
 
宮古島の海神祭では海上での行事が終わると、こんどは舞台がズガキとよばれるの海岸近くの広場に移り、祝宴が開かれます。祝宴はお昼前から夕方頃まで続き、世代を超えたコミュケーションの場になっているようです。
 
パイナガマビーチをあとにして、訪ねてみたのが宮古島の西側にある久松集落。宮古の中心部にある布干堂とは違って、昔ながらの漁村の風景をゆったりとした風が吹き抜けていました。
 
エイサーを奉納する小学生たち。
 
広場につくられた舞台の上で、子どもたちや婦人会、老人会など幅広い年齢層の地元の人たちが踊りや唄などを演じます。会場に到着したときには、地元にある久松小学校の生徒たちが豊作祈願のエイサーを演じていました。
 
また、久貝集落と松原集落では海上安全と豊漁祈願、そして魔除けのために獅子舞が毎年演じられているそうです。中でも松原の獅子舞いは、地域全体で古くから受け継がれてきたもので、宮古の人たちの風俗や習慣を知ることのできる貴重な民俗文化財とされています。
 
地域によって沖縄そばが味や香りを変えるように、海神祭の雰囲気も地域によって様々です。沖縄旅行のたびに、沖縄各地の海神祭を訪ねて見くらべてみてはいかがでしょう。
 
〈海神祭(ハーリー)に関する問合せ〉
宮古島漁業協同組合
TEL:0980-72-2029

宮古島ハーリー
開催場所/宮古島の各漁港
開催日/旧暦5月4日頃

沖縄CLIP編集部

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