華麗な色彩と精緻なディテールに脱帽…石垣島「唐人墓」の圧倒的な造形美
華麗な色彩と精緻なディテールに脱帽…石垣島「唐人墓」の圧倒的な造形美
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初回投稿日:2014.10.28
最終更新日:2024.08.16
最終更新日:2024.08.16
石垣島南西部、観音崎にほど近い丘上にある「唐人墓(とうじんばか)」は、
赤と緑の極彩色が際立つ異色の存在です。
1852年の「ロバート・バウン号事件」で
犠牲になった中国人労働者の御霊を祀るため、1971年に建立された慰霊碑です。
歴史的な解説は他サイトなどに詳しいので割愛し、今回は高さ2〜6m程、
間近では決して見られない、繊細に装飾された彫刻たちにフォーカスしてみました。
圧倒的な造形美をお楽しみ下さい。
トータルデザインのベースに用いられた龍が躍動感を生み出しながらも、
ディテールには、王族や貴族、騎士や僧、子供など現実世界の人間をつぶさに配置。
大と小、シンプルな対比構成が、ダイナミズムを生み出しています。
また、山や松、花など自然界のモチーフが、
主人公の人型彫刻たちをさり気なく引き立たせつつも、
様々な物語を想起させることに成功しています。
赤や黄、緑や青といったきらびやかな衣服に始まり、仙人?とも思わせる悠々自適な翁、
そして騎士の槍や剣、馬具などバリエも豊富で、作り込みも精緻。
一つ一つ豊かな表情には奥深さが漂い、思わず見入ってしまいそうです。
ただ何故か、女性像が見当たらないのが、ちょっとだけ謎です。
朱を大胆に使用するオリエンタルな造形美…。その、首里城などにも通じる世界感は、
沖縄文化のルーツが古の大陸にあるという雄大なロマンを内包しているのです。
さて、ミクロの世界と戯れたら、海側に視線を向けてみましょう。
風通しの良い高台からは、数km離れた竹富島がすぐ目の前に迫ります。
そして、南国を象徴する真紅のハイビスカスや
真夏の太陽を思わせる赤いサンダンカといった花々が、
石垣ブルーの海や空と鮮やかなコントラストを形成しています。
さらによく見ると、赤と緑からなる“補色”の関係性は、
図らずも主役の唐人墓と同じコンビネーションに。
この、周囲に絶妙に溶け込む佇まいが、計算されていたのだとしたら…。
小さな驚きとささやかな感動を覚えずにはいられません。
と、景観におけるマクロの視点で俯瞰してみると、また違った趣が生まれてくる、
そんな不思議なロケーション&オブジェクト…。それが唐人墓なのです。
唐人墓
- 住所 /
- 沖縄県石垣市新川1625-9
- TEL /
- 0980ー82ー1535
- Webサイト /
- https://ishigaki-pr.com/toujinhaka/
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