人と出会い物語が紡ぎ出される食空間『CONTE_』(那覇)
人と出会い物語が紡ぎ出される食空間『CONTE_』(那覇)
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食べる
初回投稿日:2018.12.15
最終更新日:2024.08.07
最終更新日:2024.08.07
「人生には語られることのない物語があって、それらが交錯する瞬間、人ははじまりの予感を感じるのです」。そんな見出しのヨーロッパ映画のワンシーンのような空間が、古都・首里にあります。店の名前は『CONTE_(コント)』。沖縄の旬の食材を中心に、オーナーの二人に縁のある食材も交えた食事が楽しめる「料理店」であり、珈琲や紅茶、スイーツと共にひとときを過ごす「カフェ」でもあり、満月の夜にナチュラルワインと料理を味わう「バル」や、写真展や音楽ライブ、日々の暮らしを提案する企画展まで開催する、エポックな「カルチャー空間」。多くの顔を持つこのお店がどのようして生まれたのか? 沖縄で出会い、夫婦として結ばれCONTE_を営む、五十嵐亮(まこと)・美保さんに、お話を伺いました。
結婚を機に美保さんは東京を離れ、首里の町でふたりの新生活がはじまります。当時、亮さんは宜野湾(ぎのわん)の人気カフェの料理人として、美保さんは編集者として働いていました。時間があればふたりで散歩に出かけ、古き良き佇まいが残る首里の街並みにすっかり魅了されていきました。その頃から、自分たちの店を作ろうと語り合うようになります。
「結婚当初は独立する考えはなかったんですけど、2人で一緒に暮らすうちに、僕はずっと料理をしてきて、彼女は編集者としてたくさんの繋がりがあって、お互いの出来ることを合わせた空間について考えるようになりました。以前から”つながり”、”物語”という言葉が頭にあって、フランス語の『CONTE_』という言葉にたどり着きました」。と照れ笑いを浮かべる亮さん。
「日本では『コント』という言葉は”笑い”を想像させるものでもあるから、人生を笑いで豊かに出来たらいいなって。いずれは『CONTE_でコントのライブ』も開催してみたい。勤めていた出版社では編集者がイベントを企画する機会もあって、取材したアーティストや写真家の個展やミュージシャンのライブを企画していました。物件を探していくうちに『このサイズ感だと料理だけでなく、自分たちの企画したイベントも実現できそうだな』ということも、この場所に決めた理由の一つ」。と語る美保さん。
CONTE_の「お料理について」
亮さんの作る一皿には、語られることのないたくさんの小さな物語でちりばめられています。知人の畑人(ハルサー)たちが丁寧にこだわり抜いて作った野菜と、厳選された旬の魚や肉。それらをそっと演出する器たち。旬の食材が持つエネルギーを損なわないように、試行錯誤を重ねてお客様が満足できるような味に仕上げていきます。
CONTE_がオープンした当初からの定番料理が「県産豚のロースト マスタードソース添え」。まずは、季節野菜の旨味を十分に引き立たせる為に塩のみで味つけられた「本日のスープ」。作り手の優しさが伝わってくるシンプルで柔らかい味わい。続いてメインプレートと7分づきご飯が運ばれます。
メインのローストに添えられた旬の沖縄野菜をふんだんに使ったデリたち。オリジナルの島豆腐とカシューナッツの揚げ物は、サクッと軽やかに大豆の風味が楽しめます。自家製ローストは、焼き上がりの香ばしさにマスタードの酸味が爽やかさを加え、噛みしめるほどに豊かな味わい。「副菜のデリをソースだと思って合わせて食べる」のが、店主おすすめの食べ方。合わせ方も人それぞれ、自分だけの「出会いの味」を見つけてみては。
デザートには特製厚焼きクッキーを。イチジクとカシューナッツ、チョコとオレンジ、カレンツとナッツの3種類から。厚みのあるクッキーはしっかりとした食べごたえで、アフタヌーンティーのお供に欠かせない一品。
珈琲は、栄町(さかえまち)市場のCOFFEE photohotoがCONTE_の食事に合わせて焙煎したオリジナルロースト。紅茶好きな方には「お店を持つ時が来たらとココロに決めていた」という亮さん一押しの『アレキサンダー・デブリットさんの紅茶』。オリジナルブレンドのアールグレイがおすすめ。
ワインを嗜む方なら、月に一度満月の夜に開催される「満月コント」に訪れてみてはいかがでしょう。読谷村(よみたんそん)にあるワイン店「un deux trois」のソムリエが、毎月セレクトしたナチュラルワインをCONTE_に持ち寄って食事と一緒に楽しむ会です。月が満ちる夜に、ワイン好きが集い語らう空間は、きっと新たにストーリーが紡がれる予感大。
満月コントのためにセレクトされたナチュラルワイン©️CONTE_
満月の夜以外では、縁のあるアーティストによる演奏と食事とお酒を楽しむ「夜コント」もおすすめ。CONTE_がまだオープンする前にミュージシャンの知人から「オープンしたらライブをやりたい!」と言われたのが始まりだそう。ライブハウスとは違って演者との程よい距離感で食事をしながら音楽が聴ける、ゆったりとした大人の時間を楽しめます。
夜コント「畠山美由紀&小池龍平ライブ」©︎CONTE_
このほかに亮さんと美保さんの縁から生まれた、エキシビションが不定期で開催されています。縁から生まれるからジャンルもさまざま。食や暮らしにまつわるものからアートやものづくりのワークショップまで…。魅力的な催しへ導かれるように人が集まってくる。そんな「縁と縁が交差する場(それは、まるでJimmy Cliffの名曲『Many Rivers To Cross』のような)」の役割を担っているのが、CONTE_の大きな魅力のひとつ。
ロビン西のお面作りワークショップ©︎CONTE_
それぞれの物語が集まり交わるCONTE_という空間。次に用意されたキャスティングは、お店に訪れるあなたかもしれません。
2015年に首里の町にオープンしたCONTE_。3周年を迎えて改めて感想を尋ねると「生活は楽ではないんですが、自分で言うのも恥ずかしいんですけど、今めちゃくちゃ幸せなんです。色んな人たちと出会い、再び会えること、そして夫婦で一緒にいることがとても自然で」。
「自分たちが描く未来って、実は20年くらいかなって思っていて、20年後お互い年老いて地域の人や友達にCONTE_があってよかったって思ってもらいたいです。近所の子供があそこであれを食べたおかげで何かが変わったとか、ここで出会って結婚したとか、誰かの人生の一部にそっと役にたてていられたら嬉しいかな」。と笑顔で語る亮さん、美保さん。
CONTE_は小さなカケラが集まって何かが生まれる場所。料理店であり、カフェであり、バルであり、エポックなカルチャー空間でもあり…。扉を開けると、たくさんのユニークなピースが迎えてくれます。今はまだ、一言で説明できない空間かもしれません。亮さん、美保さん夫婦が寄り添って、笑顔で歩んだ先に「CONTE_はCONTE_だよね」と、誰もがわかる確かな空間となっていくのでしょう。日々紡がれる小さな物語と美味しい料理とともに。
結婚を機に美保さんは東京を離れ、首里の町でふたりの新生活がはじまります。当時、亮さんは宜野湾(ぎのわん)の人気カフェの料理人として、美保さんは編集者として働いていました。時間があればふたりで散歩に出かけ、古き良き佇まいが残る首里の街並みにすっかり魅了されていきました。その頃から、自分たちの店を作ろうと語り合うようになります。
「結婚当初は独立する考えはなかったんですけど、2人で一緒に暮らすうちに、僕はずっと料理をしてきて、彼女は編集者としてたくさんの繋がりがあって、お互いの出来ることを合わせた空間について考えるようになりました。以前から”つながり”、”物語”という言葉が頭にあって、フランス語の『CONTE_』という言葉にたどり着きました」。と照れ笑いを浮かべる亮さん。
「日本では『コント』という言葉は”笑い”を想像させるものでもあるから、人生を笑いで豊かに出来たらいいなって。いずれは『CONTE_でコントのライブ』も開催してみたい。勤めていた出版社では編集者がイベントを企画する機会もあって、取材したアーティストや写真家の個展やミュージシャンのライブを企画していました。物件を探していくうちに『このサイズ感だと料理だけでなく、自分たちの企画したイベントも実現できそうだな』ということも、この場所に決めた理由の一つ」。と語る美保さん。
CONTE_の「お料理について」
亮さんの作る一皿には、語られることのないたくさんの小さな物語でちりばめられています。知人の畑人(ハルサー)たちが丁寧にこだわり抜いて作った野菜と、厳選された旬の魚や肉。それらをそっと演出する器たち。旬の食材が持つエネルギーを損なわないように、試行錯誤を重ねてお客様が満足できるような味に仕上げていきます。
CONTE_がオープンした当初からの定番料理が「県産豚のロースト マスタードソース添え」。まずは、季節野菜の旨味を十分に引き立たせる為に塩のみで味つけられた「本日のスープ」。作り手の優しさが伝わってくるシンプルで柔らかい味わい。続いてメインプレートと7分づきご飯が運ばれます。
メインのローストに添えられた旬の沖縄野菜をふんだんに使ったデリたち。オリジナルの島豆腐とカシューナッツの揚げ物は、サクッと軽やかに大豆の風味が楽しめます。自家製ローストは、焼き上がりの香ばしさにマスタードの酸味が爽やかさを加え、噛みしめるほどに豊かな味わい。「副菜のデリをソースだと思って合わせて食べる」のが、店主おすすめの食べ方。合わせ方も人それぞれ、自分だけの「出会いの味」を見つけてみては。
デザートには特製厚焼きクッキーを。イチジクとカシューナッツ、チョコとオレンジ、カレンツとナッツの3種類から。厚みのあるクッキーはしっかりとした食べごたえで、アフタヌーンティーのお供に欠かせない一品。
珈琲は、栄町(さかえまち)市場のCOFFEE photohotoがCONTE_の食事に合わせて焙煎したオリジナルロースト。紅茶好きな方には「お店を持つ時が来たらとココロに決めていた」という亮さん一押しの『アレキサンダー・デブリットさんの紅茶』。オリジナルブレンドのアールグレイがおすすめ。
ワインを嗜む方なら、月に一度満月の夜に開催される「満月コント」に訪れてみてはいかがでしょう。読谷村(よみたんそん)にあるワイン店「un deux trois」のソムリエが、毎月セレクトしたナチュラルワインをCONTE_に持ち寄って食事と一緒に楽しむ会です。月が満ちる夜に、ワイン好きが集い語らう空間は、きっと新たにストーリーが紡がれる予感大。
満月コントのためにセレクトされたナチュラルワイン©️CONTE_
満月の夜以外では、縁のあるアーティストによる演奏と食事とお酒を楽しむ「夜コント」もおすすめ。CONTE_がまだオープンする前にミュージシャンの知人から「オープンしたらライブをやりたい!」と言われたのが始まりだそう。ライブハウスとは違って演者との程よい距離感で食事をしながら音楽が聴ける、ゆったりとした大人の時間を楽しめます。
夜コント「畠山美由紀&小池龍平ライブ」©︎CONTE_
このほかに亮さんと美保さんの縁から生まれた、エキシビションが不定期で開催されています。縁から生まれるからジャンルもさまざま。食や暮らしにまつわるものからアートやものづくりのワークショップまで…。魅力的な催しへ導かれるように人が集まってくる。そんな「縁と縁が交差する場(それは、まるでJimmy Cliffの名曲『Many Rivers To Cross』のような)」の役割を担っているのが、CONTE_の大きな魅力のひとつ。
ロビン西のお面作りワークショップ©︎CONTE_
それぞれの物語が集まり交わるCONTE_という空間。次に用意されたキャスティングは、お店に訪れるあなたかもしれません。
2015年に首里の町にオープンしたCONTE_。3周年を迎えて改めて感想を尋ねると「生活は楽ではないんですが、自分で言うのも恥ずかしいんですけど、今めちゃくちゃ幸せなんです。色んな人たちと出会い、再び会えること、そして夫婦で一緒にいることがとても自然で」。
「自分たちが描く未来って、実は20年くらいかなって思っていて、20年後お互い年老いて地域の人や友達にCONTE_があってよかったって思ってもらいたいです。近所の子供があそこであれを食べたおかげで何かが変わったとか、ここで出会って結婚したとか、誰かの人生の一部にそっと役にたてていられたら嬉しいかな」。と笑顔で語る亮さん、美保さん。
CONTE_は小さなカケラが集まって何かが生まれる場所。料理店であり、カフェであり、バルであり、エポックなカルチャー空間でもあり…。扉を開けると、たくさんのユニークなピースが迎えてくれます。今はまだ、一言で説明できない空間かもしれません。亮さん、美保さん夫婦が寄り添って、笑顔で歩んだ先に「CONTE_はCONTE_だよね」と、誰もがわかる確かな空間となっていくのでしょう。日々紡がれる小さな物語と美味しい料理とともに。
CONTE_
- 住所 /
- 沖縄県那覇市首里赤田町1-17
- 電話 /
- 098-943-6239
- 営業 /
- 11:00〜17:00(L.O.16:00)
- HP /
- http://conte.okinawa/
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