連載／島の恵み、島の味（その３）子孫繁栄の代名詞『田芋』

田芋は、里芋の仲間で、沖縄では「ターンム」または「ターム」と呼ばれ、

畑ではなく水田で栽培されています。

湧き水に恵まれた宜野湾市や金武町では、のどかな水田風景が広がっています。

収穫する際、小さな子芋がたくさんついてくることから、子孫繁栄の食べ物と伝えられています。

ねっとりとした食感で、皮ごと茹でた後に、皮をむいて塩をつけていただいたり、

素揚げして砂糖醤油に絡めたり、コロッケなどさまざまな調理法で親しまれています。

沖縄の年中行事（旧正月、清明祭、旧盆）の重箱には欠かせない素材のひとつです。

photo by UKISHIMA GARDEN

那覇市にある島やさい料理とオーガニックワインのお店「浮島ガーデン」では、

無農薬、無化学肥料で育てられた地域食材を使って、

自然の恵み、いのちの喜びに溢れた料理を楽しませてくれます。

田芋は、宜野湾市大山にある無農薬で栽培している農家さんから直接仕入れています。

清らかな澄んだ水に恵まれて、大切に育て上げられた

田芋を使った料理「どぅる天（てん）」をご紹介します。

photo by UKISHIMA GARDEN

今回レシピを提供してくださったのは、浮島ガーデンのフードデザイナー

中曽根直子さん。彼女の素敵な笑顔でつくられた料理は、いつもしあわせな気分にしてくれます。

茹でた田芋に、軟らかく煮たズイキと呼ばれる茎の部分や干しシイタケやニンジンなどをいれ、

だし汁で練りあげたものを「どぅるわかしー」と言い、沖縄では年中行事食として食されています。

それを形を整えて、素揚げした「どぅる天」は、那覇の栄町にある「うりずん」という

沖縄料理店のまかないとして産声をあげました。

一般的などぅる天は、豚肉やかまぼこなど、好みの具材が入っていますが、

浮島ガーデンのどぅる天は、豚肉は使わず、野菜だけで作っています。

おいしさのポイントは、田芋に八重岳のサクラとガジュマルの木のチップでスモークをかけていること、

そしてスモークとの相性がいいアーモンドをまぶして揚げることです。

「田芋のスモークどぅる天」は、酒の肴としてオーガニックワインと共に楽しめます。

今回はご家庭でも作りやすいように、スモークではなく、

茹でた田芋を使って作るレシピをご紹介致します。

スモークの風味の効いたどぅる天は是非浮島ガーデンで味わってみてくださいね。

『浮島ガーデンのどぅる天』



【材料】

・田芋　400ｇ　（皮ごと茹でてから、皮をむき適当な大きさにカットしておく）

・ズイキ（田芋の茎の部分）or 季節によってゴボウ　100g（ズイキは細かくカット、ゴボウはささがき）

・干しシイタケ 5枚（戻して８ミリ角にカット）

・ニンジン1本（3ミリ角にカット）

・だし汁　400cc(干しシイタケと昆布でとる）

・塩　小さじ１

・白醤油　少々（なくてもOK）

・菜種油　大さじ１

・スライスアーモンド　適量

・揚げ油　適量

・溶き粉　適量（小麦粉と同量の水）

【手順】

①フライパンに油をしき、ズイキ（もしくはゴボウ）をよく炒めたら、

ニンジンを入れ、塩（小さじ1の中から）を少々を加えながら炒める。



②①に干しシイタケと田芋、出し汁を入れ、沸騰するまで強火。





③田芋をつぶしながら田芋のダマがなくなるまで煮とかし、ねばりが出るまでよく練り上げてゆく。



この状態が「どぅるわかしー」です。



④手水をつけ3を適当なサイズに丸め、溶き粉にくぐらせ、



スライスアーモンドをまぶし形を整える。



⑤180度の油でキツネ色になるまで揚げる。



アーモンドがほどよく色づいたら、よく油を切ってお皿に盛りつけて完成。



あつあつ、さくさくの香ばしいアーモンドと、出汁の香りがふわっと広がる

「どぅるわかしー」がおいしい『浮島ガーデンのどぅる天』。

是非ご家庭でお試し下さいね。
 

photo by UKISHIMA GARDEN

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浮島ガーデン　中曽根直子