沖縄の大地で育った琉球藍で染めた糸で織る染織工房「花藍舎(からんしゃ)」
沖縄の大地で育った琉球藍で染めた糸で織る染織工房「花藍舎(からんしゃ)」
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初回投稿日:2014.06.03
最終更新日:2024.02.22
最終更新日:2024.02.22
世界遺産「勝連城跡」の麓、古き良き街並みが残るうるま市の勝連南風原(かつれんはえばる)。「花藍舎(からんしゃ)」と書かれた看板が掲げられたヒンプン(門の内側にある目隠し。魔除けの役割も意味する)。その奥に広がる赤瓦の古民家が染織工房「花藍舎」。
琉球藍で染められた糸が風車のように巻かれていた様子は万華鏡を覗いた世界のよう。
古い赤瓦に年季の入った柱、使い込まれた手機織り機。まるで、昔ばなしの世界に潜り込んだ気分。タイムスリップしたような感覚にしばらく浸ってしまいました。
花藍舎を営む機織り作家の宮良千加(みやらちか)さんは、関西の布屋さんで育ちました。子供の頃から布に囲まれ、高校の時にインドネシアの手織り絣(かすり)の虜となり、織りの世界を目指すことに。
大学進学の時、本当はインドネシアに行きたかったという宮良さん。
まずは国内で進学できる場所を探し、沖縄の工芸に出会ったときに「ここだっ!」と思い、沖縄の大学へ進学。自分の目指す機織りの師匠を探す途中、陶芸家のもとで5年間やちむん(陶芸)の修業を重ねました。
その頃から「使い勝手を兼ね添えた美(用の美)」を意識するように。陶芸の窯休みに八重山の小浜島(こはまじま)を訪れ、ついに自分の目指す機織りの師に出会えました。そして八重山に移り住み、宮良さんの機織りの世界が始まりました。
数年間、八重山で制作活動に励み、その後うるま市へ。沖縄県の工芸振興センターでの研修を重ね、2012年より勝連南風原の瓦家で制作活動を始めています。
「八重山ではインド藍と呼ばれる先島地方に適した藍を栽培していましたが、勝連ではインド藍の栽培が難しかったので、やんばるのオーシッタイ(名護市と東村の境界にある大湿帯)で作っていただいた琉球藍で、糸を染めていきます。発酵させるときは、化成ソーダを使わずに木灰(もくはい)を使っています」。
そんなお話しを伺いながらふと顔を上げると、ストールが風にふわりと揺れています。
八重山の夜空の星をイメージしたストール「群星(むるぶし)」。深い夜の空に流れる星が目の前に広がるよう。一枚のストールから、宮良さんが八重山で見てきた自然の風景が織り込まれているのを感じられます。耳慣れない「花藍舎(からんしゃ)」という言葉。
草木を表す「花」と藍染め「藍」を使い、機織りで横糸を通す時に出る「カラカラ~、シャ~ン」という音から思いついたそうです。琉球藍で染め上げられた麻や綿の糸を織り上げる花藍舎の世界。それは、かつて宮良さんの瞳に映った自然溢れる八重山の風景そのもの。
今でも、宮良さんの機織りの音を時折思い出します。自分のためのとっておきの一枚をお願いしたい、そんな織物です。
花藍舎
- 住所 /
- うるま市勝連南風原152番地
- TEL /
- 090-5720-9268
- Webサイト /
- https://r.goope.jp/karannsya
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