知花のウスデーク

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歴史文化

初回投稿日:2014.09.21
 最終更新日:2024.03.27

知花のウスデーク

沖縄市の知花(ちばな)といえば、伝統の知花花織(ちばなはなおり)が国指定伝統工芸品として有名です。

現代では、着物を着る機会は少なくなりましたが、毎年、知花の地域行事の中で、祭祀の正装として、実際に着続けられることが、継承にも繋がっています。


知花花織

 

その伝統祭祀とは、旧暦の8月15日に行われている行事で、知花の仲大屋(ナーカウフヤ)から年に一度、神獅子・シシガナシ(獅子加那志)を起こします。そのとき、ウスデーク(臼太鼓)を打ちながら唄を謡い続けます。


 

自治会長から杯をもらって起き上がったシシガナシは、ウスデーク保存会のみなさんと、道ジュネー(行列)して公民館を目指します。

暑い陽射しのなか、おかあさんたちは元気に鼓を打ち鳴らします。


 

公民館では、16時頃からウスデークの演舞を奉納。 知花織りの着物に正装してから行います。


 

ウスデークとともに謡われる唄は、全12曲。歌詞も3番ずつあるのですが、その内容を伺うと、「教訓歌が多い」とのこと。

教訓歌とは、どんな唄なのでしょうか。

「唄には意味があるんだよ。たとえば、“嫌いな人を憎まないで、自分の心を広く持つように”とか、今では電気の灯りは当たり前だけど、“蛍の光を集めてでも学びなさい”というような意味が深いものばかりだよ」。

人生を豊かにするための教訓が、先祖代々から謡い継がれているのだそうです。 その歴史は、かれこれ300年も続いているとのこと。


 

シシガナシを中央にして輪になり、ウスデークを前半1時間通して6曲を謡い続け、一休みしたら残り6曲、全部で12曲を謡い上げました。

「ウスデークをやっていると元気になるよ」と、最高齢90歳になる秀おばあちゃん。


 

最後は、シシガナシも立ち上がり、歓喜のカチャーシーを舞って締めくくりとなりました。

祭りは終わっても、教訓歌に込めた祈りのウシデークが、心の中でいつまでも鳴り響きました。


 

知花公民館

住所 /
沖縄県沖縄市知花1丁目11−11
電話 /
098-937-4516

桑村 ヒロシ(KUWA)

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