沖縄の木工職人の気づきと挑戦。 木工を通じて沖縄の木や自然の循環を伝えたい。《工房地球のかけら》

沖縄の木工職人の気づきと挑戦。 木工を通じて沖縄の木や自然の循環を伝えたい。《工房地球のかけら》

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歴史文化

放送日:2024.06.17 ~2024.06.21

初回投稿日:2024.06.24
 最終更新日:2024.06.24

最終更新日:2024.06.24

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不自由が気づかせてくれたこと

一面のサトウキビ畑が広がる八重瀬町の丘の上に、古我知毅さんの工房「地球のかけら」があります。長年、木工職人として家具の制作やリフォームなどの大工仕事を生業としてきた古我知さんは、今から4年前、脳卒中を発症したことで働き方や暮らし方の転換を余儀なくされました。

発症した当初は立つこともままならなかったそうですが、懸命なリハビリによって、自ら歩いて退院できるまでに回復。しかし、以前と同じように仕事をすることはできず、辛い日々を過ごしたこともあったそうですが、「改めて自分が生きている意味を考えるきっかけにもなった」と言います。

「せっかくだから、本当にやりたかったことにチャレンジしてみようと。男としての夢やロマンとして、何もないところに自分で小屋や畑をつくって、そこから新しい命が芽生えていくような生き方にずっと憧れがありました。木工も含めて、農的暮らしを実践してみようと思いました」(古我知さん)

地球のかけら
海が見える八重瀬町の丘の上にある古我知さんの工房「地球のかけら」

廃材や間伐材
廃材や間伐材、木の枝などを生かした作品づくりが古我知さんの木工スタイル

継続中
少しずつ少しずつ工房と畑を作っていくWell-beingな挑戦を継続中です

病気がくれたつながり

今、工房のある場所は、かつては外来種のギンネムや蔓がはびこる原野でした。農的暮らしを実践してみたいという古我知さんの想いを知ったご友人が、長年放置されていた土地を提供してくれたそうです。

「約400坪あるんですけれど、不法投棄のゴミもあったし、薄暗くて荒れた土地でした。そこを少しずつ切り拓いて、小さな森をつくったり畑をつくったりしています。ここを訪れる人たちがものづくりを楽しんだり、木を通してコミュニケーションを深めていける、シェア工房みたいなことができればいいなぁ」と、夢を語ります。

ゼロからのスタートでしたが、工房として運営するために不可欠な水や電気などのインフラ整備の費用は、クラウドファウンディングでまかなうことができました。

「ありがたいことに、いろんな人が応援してくれて。例えば、ウッドデッキを作るとしても自分一人ではできないけれど、SNSなどで“手伝ってください”と呼びかけると来てくださる人がいて。そういう人たちの力で、ここまで形にすることができました。本当にありがたいです。人に感謝する大切さはわかっているつもりでしたけれど、病気になるまで、本当は気づいてなかったのかもしれないと思いましたね」(古我知さん)

ウッドデッキ
たくさんの人の助けを借りながら、工房のウッドデッキを制作しました

ここでワークショップなどを開催します
完成した屋根付きのウッドデッキ。ここでワークショップなどを開催します

シェア工房
木工やものづくりを通じて、たくさんの人が集うシェア工房になることが夢

土に根ざして生きる

木工職人として働いていた頃から、土に根ざして生きることを実践してきたという古我知さんは、脳卒中の後遺症が残る今も、リハビリを兼ねて工房のあたいぐゎ(小さな自家菜園)で農作業を楽しんでいます。

「ここで出たものを外で処分してもらうのではなくて、ここで土に返して循環するために、雑草堆肥の場所をつくっています。さらに、自分たちが出した排泄物をそのまま水に流すのではなく、これも畑に返そうということでコンポストトイレも作りました」(古我知さん)

工房を訪れる人が畑を見たり、コンポストトイレを使うことで、環境や循環のこと考えるきっかけにしてほしいと考えています。

農業
雑草堆肥の場所を作り、循環する小さな農業を実践しています

無農薬のハーブやトマト
工房のあたいぐゎには、無農薬のハーブやトマトが実っていました

こちらが手作りのコンポストトイレ。
こちらが手作りのコンポストトイレ。カラフルな色が楽しい気分にさせてくれます

「作る」木工から、「伝える」木工へ

かねてから環境教育ファシリテーターとして活動してきた古我知さんは、木工教室だけでは伝えきれない「木を通した学び」を広げるために、定期的に木育のワークショップを開催しています。

「雑木林を生かした小さな森を見てもらって、クロキやアカギ、ガジュマルなど沖縄の身近な木についてもっと知ってもらうことで、周りの環境についても興味を持ってもらえれば」と言う古我知さん。親子で楽しめる木工のワークショップでも、工作するだけにとどまらず、自然や環境にも目を向けてもらえるように木育を意識しているそうです。

「廃材や端材をすぐに捨てるのではなくて、ノコギリと釘とハンマーがあればもっと楽しめることを知ってほしい。そして、ただ作るだけじゃなくて、自然や草花のメカニズムとか農業とか、学びを広げて、伝えていきたい」(古我知さん)

楽しみながら作って学んで、自分の普段の生活もちょっぴり振り返ってみる。工房「地球のかけら」が発信するWell-beingな暮らし方が、生き方が、広がっていきます。

木育のワークショップ
木育のワークショップを開催する古我知さん。大人も子どもも楽しめます

大切な学びの場所
元々あった木を残してつくった小さな森も、大切な学びの場所になっています

すぐに夢中
初めて使う工具におっかなびっくりだった子どもたちも、すぐに夢中に

貸し出しも可能
工房を使いたい人がいれば貸し出しも可能だそう。ワクワクが広がります!

工房地球のかけら

ブログ /
https://chikyunokakera.com/
Instagram /
https://www.instagram.com/tuyoshikogachi/?hl=ja

沖縄CLIP編集部

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