沖縄の民具と暮らす 《tida teal (ティーダティール)》

沖縄の民具と暮らす 《tida teal (ティーダティール)》

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歴史文化

放送日:2024.08.05 ~2024.08.09

初回投稿日:2024.08.13
 最終更新日:2024.08.19

最終更新日:2024.08.19

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tida teal (ティーダティール・太陽のかご)という名で、昔ながらの竹細工を作る徳留博子(とくどめひろこ)さん。

お母様と暮らす今帰仁村古宇利島の古民家には、南国の野菜が元気に育つあたいぐゎ(家庭菜園)があり、庭先や台所、室内の至るところでバーキ(ザル)やティール(かご)、サギジョーキ(蓋付きのかご)が馴染む、沖縄の原風景がありました。

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必要なものは 自分で作る

沖縄の豊かな自然に惹かれて移住した徳留さん。当時の古宇利島は屋我地島と橋で繋がったばかりの静かな集落で、昔ながらの黒糖作りを手伝ううちに、自然にあるものを形にする喜びに目覚めます。

偶然訪れた友人のお宅で、彼女が手作りした沖縄の民具が日常的に使われていることにも感動しました。

「民具は生きる人の知恵から生まれた道具で、昔の器用な人は、当たり前のように作っていたという話を聞いて。自分でこしらえた道具が暮らしの中で生きるっていいなあと。私もやってみようと思いました」

徳留さん
竹かご作りの話になると目がキラキラと輝く徳留さん

自然の恵みを 必要な分だけいただく

やんばるの森へ、道具作りの材料となる竹をいただきに行きます。

道路に飛び出た竹や農作業の邪魔になる竹、荒れた竹藪を切り出し、竹株を整備しながら加工にむいたものを選び、1本ずつ刈り取ります。

整備することで、来年生えてくる竹がより質の良いものになります。

「竹には虫食いの穴やキズがありますが、自然からいただいているものなので、なるべく無駄なく使えるように考えて材料にしています」と徳留さん。

葉っぱを切り落とします
根本から切り出した竹の上の方についている枝や葉っぱを切り落とします

持ち帰りやすいサイズにします
森にはナタやノコギリを持参し、収穫した竹の硬い節の部分を削り、竹を割り、持ち帰りやすいサイズにします

竹を均等に割る竹割りという作業
竹を均等に割る竹割りという作業。節に当たる音や竹が割れる音が気持ちいい。「自然を感じながらできるこの作業が好きだ」と徳留さん

ひごづくり
竹かごづくりの約7割をひごづくりに要します

山から持ち帰った竹を材料にするための作業をひごづくりと呼びます。丸々1本の竹を切り、幅や薄さをきれいに揃えて、あとは編むだけの状態にするまでに1日はかかる大変な作業。

「最初の半年ぐらいはひごづくりに慣れなくて、毎回全身筋肉痛でした。でも、どんなに大変でもやめようと思ったことはないんです。うまくできなくても、完成した達成感もあるし、それが生活の中で使えるものとして残るというのは、何ものにも代え難い喜びです」と徳留さん。

ひご
幅と薄さをきれいにそろえたひごを、丁寧に編み込んでいくと徐々に浮かび上がる幾何学模様。工程を重ねてさまざまな形が生まれます

古いものからヒントを得て、 今の暮らしに合う民具

徳留さんの竹細工は、古宇利島のカフェ「古宇利家」でも手に取ることができます。

「手の温もりが感じられ、都会のファッションにもマッチする徳留さんのバッグは、お土産品としても人気ですよ」と、お店の伊澤淳子さん。

青竹
丈夫な竹かごは青竹から色が変化し、使えば使うほどいい風合いに

コーヒードリッパー
沖縄での塩作りの水切りで使用していたかごをヒントに考えたコーヒードリッパー

野菜の収穫
あたいぐゎで採れる野菜の収穫に徳留さんのバーキが大活躍

また、今帰仁村運天港の雑貨店「パーラー番屋」にも時折、徳留さんのバーキが並びます。伊平屋島や伊是名島の人たちからのリクエストに応えて作ったもので、離島の太陽の下、徳留さんのバーキは、海人(うみんちゅ)や畑人(はるさー)の作業を支える本来の役目を果たしています。

師匠が 私たちに伝えたいこと

徳留さんは、「黙々100年塾 蔓草庵」を主宰する島袋正敏(せいびん)さんから竹細工づくりを教わっています。

「正敏先生の教室では、先生の子どものころのやんばるの暮らしや、道具をどう使っていたかなど、昔の話をたくさん聞かせてくださいます。話が本当にお上手でまるで映像が浮かぶよう。とても尊い時間です。

正敏先生の教室を通して、私たちはものを作ることだけじゃない大切なことを教わっている気がします。

これからも、いろいろな素材でたくさんの伝統の形を覚えたい。やんばるならではの作り方もあるようなので、それもできるようになって、微力ながら、先生の知識を次に繋いでいけるようになりたいなと思っています」

のムチンブサー
正敏さん私物のムチンブサー(蒸すためのカゴ)。昔の女性の嫁入り道具で、修理を繰り返しながら、長く大事に使われています。徳留さんは、現代の生活スタイルに合わせて、サイズの小さいムチンブサーを作っています

カフェ古宇利家

住所 /
沖縄県今帰仁村古宇利2248
TEL /
0980-56-3123
営業時間 /
11時〜21時(LO.20時)
定休日 /
水・木曜日
雑貨店「パーラー番屋」
沖縄県今帰仁村字上運天363-1
電話:0980-56-4701
営業時間:9時 〜 16時
定休日:台風や悪天で、船が出ない時
※タイミングによっては商品がない場合もあります。事前にお問い合わせください

tida teal 
https://www.instagram.com/hirokotoku

沖縄CLIP編集部

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放送日:2024.08.05 ~ 2024.08.09

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